1.二人の行動
まず元勇者のとおるを見てみよう。なにか部下に怒っているようだ。顔を燃え盛る火炎のように真っ赤にしている。
「なんで君たちは花を枯らしてしまうんだ!キチンと育てなければいけないじゃないか!」明らかにとおるは魔王らしからぬ事で怒っている。部下のがいこつやスライムたちは唖然としながら花に毒の水をあげていた。
するとまたとおるだ。
「毒の水なんかあげたら育たないだろーが!馬鹿か君たちは!」案外正論だったので部下たちは普通の水をくみにいった。とおるはひと段落つくと勇者デス・サイザーに勝つための作戦を練る事にした。
次にサイザーを見てみよう。
どうやら王様と揉めているようだ。
「なんだと⁉ゴブリンを倒せだと?俺たち魔界のやつらにとってはお前ら人間がゴブリンみたいなもんだろ!」とサイザーは罵倒を浴びせる。だがなかなか王様は引かずに
「君は勇者になったんだ。これくらいのクエストはクリアしてもらわないと困るんだ。」サイザーは叫ぶ。
「こまんねーよおおぉぉ!別にゴブリンくらいじゃレベル上がらねーよ!俺は元魔王だぞ!なめてんのか!?」サイザーのいうとおりゴブリンじゃとてもレベルが上がらない。
今サイザーは995Lv。因みにとおるは87Lvだ。当然魔物と人間はレベルの限界値が違う。魔物は1000Lvが限界。人間は100Lvが限界だ。だが魔物よりも圧倒的に人間の方が数が多いため、魔物に勝つ手段はいくらでもある。しかも人間には転生ができる。限界レベルの能力を引き継いだまま、また1Lvに戻れるという最強の儀式だ。とおるくんは8回転生をしている。人間的にはかなり強い。
サイザーと戦うと一人では到底かなわないが、愛と勇気の力で仲間と協力する事で勝てるのが人間。でも魔王が勝つ事もよくある。
有名なRPGでも大量の勇者が負けている。つまり有名なRPGは奇跡的に勝った勇者の物語を画いているだけなのだ。だがそんな事はどうでもいい。
魔王は瞬く間に手からゴブリンを召喚した。
「こいつを五匹倒せばいいんだな?」魔王が余裕の表情でゴブリンを睨む。やはりゴブリンは怯えている。
「魔王様っ!?私達を殺さないで下さい!仲間じゃありませんか!!」すると魔王は身体に嫌気がさすほどの怖い顔でゴブリンを睨む。
「今は勇者だ。お前達を殺すのも容易」そこで王様が正論を。
「いや、ここで召喚したゴブリン殺しても意味ないから。サイザーくん。」魔王は諦めたのか
「分かったよ。五匹ゴブリン殺せばいいんだろ?どこだ。どこで狩ればいいんだ?」ゴブリンは怖かったのかすぐさま逃げだした。王様は逃げたゴブリンを無視して、質問に答えた。
「ジャスロ村だ。」