第8話「シーズン開幕」
静岡県富士スピードウェイ。
ここで今年のElite Formula Seriesが開幕する。
Wisteria GPは今週末、新パーツを大量に投入し、改善を目指していた。
「新設計のサイドポッド、リアウイング、フロントウイング、サスペンションアーム、リアディフューザー。手を付けられるところはすべて手を付けた感じだね」
「私たちの本気のマシンよ。愛、期待してる。」
「もちろん。この新設計のエンジンも楽しみだし。」
「アストンマーティンヴァルキリーに搭載されているV12エンジンをこのレースの規定に適合させたエンジンね。私たちの総力を詰め込んだエンジン。楽しみにしててよ、きっと驚くよ。」
「そんなに高評価なら楽しみ」
練習走行が終わった後、愛の顔には眩しすぎるほどの笑顔が浮かんでいた。
「すっごいよ!去年のマシンと全然違う!」
「よかった。愛がそう評価してくれるならよかった」
「これなら、今年表彰台に上がれるかも!」
「だね。今年こそ、ポイント獲得、表彰台だ!」
「「おー!」」
愛と真結が約束した。
スタート前。
02号車はゼッケンを登録し直し、愛がスーパーフォーミュラでつけていた38番に変更した。
愛いわく
「こっちのほうが、あの頃思い出せて速く走れそう」とのこと。
1台甲高いエンジン音を響かせながらスタートを待っているマシンがいた。
『愛。今日はとにかく走りきって。クルマを壊さなければ次につながる。』
「わかってる。」
愛は一度開けていたヘルメットのバイザーを再び下げる。
周りから見れば一気に表情が見えなくなる。
彼らにとってはスイッチが入った瞬間。
今シーズン、リーグ制度導入前最後の年ということで去年から12台増の37台となった。
今年、この中でチームランキング15位までに残れると来季、GPシリーズに所属することになる。
『愛、スタートの準備が整った。シグナルに集中』
愛の目線の先のシグナルが一つずつ光っていく。
ライツアウト。
37台のマシンがグリッドから勢いよく走り出していく。
愛はスーパーフォーミュラで鍛えられた反射神経でスタートダッシュを決める。
3台を一気にオーバーテイクし、4位まで順位を上げる。




