第6話「エンジン」
その頃、Wisteria GP開発本部。
「ねぇ、照、あの噂の新型エンジンはどう?」
「あ、山野代表、お疲れ様です。」
「好調ですよ!新サプライヤーのアストンマーチンのV12エンジン。」
エンジンベンチマーク室ではV12エンジンの猛々しくも美しい甲高い音が響き渡っていた。
「1万2000回転で、800馬力まで回っちゃってるよ」
「こりゃあ、リストリクターとかでパワー下げなきゃだな」
リストリクターとは、吸気リストリクターのことで、エンジンに吸気される空気の量を制限することでパワーを下げる装置のこと。
「ただ、この高回転は維持したいですね」
「だな。直線の伸びもいいし」
Wisteria GPは来年の飛躍を目指して総力を結集して開発を進めていた。
アラブ首長国連邦、ヤス・マリーナ・サーキット。
ここではElite Formula Series最終戦後のオフシーズンテストが行われていた。
唯一シャッターが降りているところがあった。
それは今回出場を辞退したWisteria GP。
どのチームもピットに3つ以上のエンジンが並んでいた。
Elite Formula Seriesではこのテストでのみ、同じ会社の別のエンジンを使うことが許可されている。
ちなみにだが、EFSにエンジンを供給するのは以下の通りだ。
Toyota
・A90スープラの直列6気筒ツインターボをベースとしたもの
・LEXUS RCF GT3に搭載されているV8自然吸気エンジン
・スーパーフォーミュラに供給している直列4気筒シングルターボエンジン。
Toyotaは信頼性が高く、このシリーズでも多くのシェアを誇っている。
Ferrari
・フェラーリ458で使われたV8自然吸気エンジン
・フェラーリ296GTBに搭載されているV6ツインターボエンジン
レースで鍛えられた速さと信頼性でToyotaに並ぶシェアを誇っている。
VERTEX Corporation
・自社設計の直列4気筒エンジン
・F1で鍛えた設計技術で開発したV6シングルターボエンジン
一昨年チームとして参戦を開始したのに合わせてエンジンサプライヤーとしても参戦を開始した企業。使っているのはまだ自チームとSRDPのみ。
メルセデス
・V6シングルターボ
F1のPU設計をそのまま流用したエンジン。かつての栄光を誇るエンジンへの信頼は高く、かなりのチームが使用を希望しているが、使用枠は少なく、取り合いとなっている。
アストンマーティン
・ヴァンテージに搭載されているV8エンジン
・ヴァルキリーに搭載されているV12エンジン
愛が初めて参戦した年からサプライヤーとしての参入を決めたイギリスの名門スーパーカーブランド。
まだ、戦闘力は未知数であり、どのチームも使いたがろうとはしていない。
上記の5つのメーカーがElite Formula Seriesにエンジンを供給している。




