第5話「問題点」
7周目。
「タイヤがもうグリップしない!タイヤ変えたい!」
『愛さん、後5周がんばってください。そうでないと、戦略が狂ってしまいます』
愛はもう使い物にならないタイヤで走っていく。
「本当に使えないタイヤだよもう…」
バックストレートに差し掛かった時、前の1台のマシンが3台くらいに重なって見える。
「まずい…!」
『この周ピットイン』
02号車はピットに滑り込む。
F1のようにジャッキアップされ、迅速に作業が進められる。
『GO!GO!』
愛が弾かれたようにピットを飛び出していく。
『P21、P21。前のマシンは1.2秒先』
『ファイナルラップ、ファイナルラップ。』
「なにも…何もできない…」
02号車は力なく残りの距離を走り続けていく。
そしてチェッカーフラッグの下を通過する。
『P19、P19。お疲れ様。初めてのEFSどうだった?』
「……戦えなくて…勝てないのが悔しい。」
『…!』
「でも、楽しかったよ」
『そう…これからもよろしくね』
「うん!」
その後、Wisteria GPは資金不足で残りの大会を断念することが決まった。
「愛、うちの資金がないばかりに、戦わせてやることができなくてごめん」
「いや、レースに出る出ないより、このチームを守ることが最優先事項だもん。」
「愛、残りの期間はどうするの?」
「もちろん、フィジカル面でのトレーニングをしてくるよ。しばらくスーパーフォーミュラも乗ってなかったし。」
「じゃあ、専属のトレーナーをつけてあげる」
「やった!」




