第21話「逆転優勝」
『ファイナルラップ!ファイナルラップだよ!エイデンとのタイム差は0.7秒!どこかでオーバーテイクできる可能性もあるよ!』
ヘアピンでエイデンのイン側に飛び込もうとする。
しかし、エイデンも歴戦の猛者。
そう簡単には抜かせてもらえない。
「…タイヤを使いすぎたな。かなりカウンターステアが必要になってきた。」
エイデンはコーナーへの進入、脱出でカウンターステアを当てる頻度が増えてきていた。
彼が履いているタイヤはすでに20周以上走行したミディアムタイヤ。
『エイデン!後ろからネギシがものすごい勢いで追い上げているぞ!』
「わかっている!」
2台はコーナーが連続する最終セクターに差し掛かる。
「チャンスはもうほぼ残ってない…」
「KERS起動!」
愛はステアリングのKERSのボタンを押す。
「これでコーナーの脱出速度を稼ぐしか…」
エイデンの1号車と愛の38号車は2台並んだまま最終コーナーへ。
チェッカーフラッグが振られる。
2台が通過する。
「…!」
なんと同着。
しかし、その後、審議団が映像を見て繰り返し検証する。
レース後、結果が発表される。
審議の結果は
〈アイネギシとエイデン・タケダ・フィーレン アイネギシの1位が決定〉
なんとこの時、愛とエイデンの結果は0.001秒差。
ギリギリで愛のマシンのフロントノーズが先にゴールラインを超えた。
クールダウンラップを走っていた愛に無線が入る。
『愛!優勝だぁ!』
「え!私優勝!?」
『0.001秒差だって!ギリギリだった!』
「負けたと思ったぁ!」
『よくやった!おめでとう!』
監督も声をかけてくれる。
そしてトップ3がピットに戻ってくる。
2位のエイデンが声をかけてくる。
「アイ、おめでとう。とても僅差のバトル、楽しかったぞ。」
「こちらこそ!いいバトルありがとう」
2人は固く握手した。
その2人の奥で真結は他の投資家と話し合っていた。
その内容はもちろん来年の予算。
この瞬間、来季もWisteria GPは参戦できることが決まった。
表彰式が始まる。
ドライバーとチーム関係者が優勝したチームは表彰台に登壇できる。
愛と真結が表彰台に上がる。
プレゼンターから1位のトロフィーが渡される。
この日、2年ぶりの優勝トロフィーを獲得した。
熱狂冷めきらぬ中Elite Formula Seriesは終幕となった。




