第20話「優勝へ」
ボロボロの38号車が戻って来る。
「さぁ!メカニックたち!仕事だよ!」
メカニックたちがマシンを囲み、作業を開始する。
装着されていたミディアムタイヤは1セットだけ残っていたソフトタイヤに交換。
当てられた左のサイドポッドは大きな穴が空いており、修理しても走行は難しいということでスペアのものに置き換えることになった。
用意されたのはカーボン剥き出しのサイドポッド。
これに急造のスポンサーステッカーを貼りレースで使えるようにした。
マシンに乗り込んだまま再開を待っていた愛に真結が声をかける。
「愛、マシン、直ったよ!」
「ほんと!?よかった!」
「愛、今4位だからね。優勝できる可能性も大いにあるよ!」
「わかってるって!表彰台の一番高いところ連れて行ってあげるから!」
そしてアナウンスでレース再開が宣言される。
「愛、頼んだよ!」
「任せておいてよ!」
その会話を最後にマシンのエンジンに火が入る。
そして一度アクセルを吹かす。
一気に回転数が上がり、甲高い音が響く。
「よし、エンジンの吹け上がりもOK。行くよ、相棒」
そしてフォーメーションラップのためにコースへ。
タイヤを温めるためにウィービングを行い、グリッドに戻って来る。
リタイアした8台を除く29台がグリッドに集結する。
愛は4位。
残された周回数で逆転することはできるのか。
真の最後のレースが幕を開ける。
トップ4が勢いよくグリッドを飛び出していく。
その時、3位のマシンの発進がもたつく。
「3位もらった!」
そのまま1コーナーでオーバーテイク。
3位浮上。
あと残るは2台。
2位との差もそこまで広くない。
スリップストリームなどを使えばすぐに追い抜ける状況。
「この差なら、バックストレートでDRSで抜ける!」
2台がバックストレートに差し掛かる。
「DRS ON!」
DRSのボタンを押す。
リアウイングの一部が開いて空気の流れが変わる。
みるみると伸びていく最高速。
ロングストレートの末のシケインで2位のイン側に飛び込む。
「2位…1位まで後少し…」
エイデンがミラーを見て後続車を確認する。
「…!来た。日本のアイネギシ。待っていたぞ。」
2台はそのままファイナルラップに突入していく。




