第18話「最後の戦いへ」
カタール大会。
またシャッターが降りたままのWisteria GPのピット。
38号車、機材も到着していたが、スタッフはいない。
この週末、レースを制したのはRuvisse racingの周静麗。
Elite Formula Series参戦後初優勝を決めた。
そして、安達に代わった愛舞も盤石な走りを続け、今回初入賞を決めた。
Elite Formula Series最終戦。
アラブ首長国連邦、ヤス・マリーナ・サーキット。
Wisteria GPのマシン、機材も無事カタールから輸送され、サーキットに到着。
真結は気持ちが揺らいでいた。
「結局、代役のドライバーはなしか…」
そう呟く真結は愛と同じWisteria GPのレーシングスーツを着ていた。
バーレーンでのクラッシュの後、代役ドライバーを探したが、どのドライバーもEFSに参戦するのに必要なライセンスを保有せず。
真結自身もBOSS GPやフェラーリ・チャレンジ、ランボルギーニ・スーパートロフェオへの参戦経験があったため、
出場することにしていた。
「今日私が最下位とかでレースを終えれば、出資は打ち切られる。そうすればチームも解散できる。ははっ、短かったなぁ、レースの挑戦…」
「山野代表、ミーティングの時間です」
「わかった」
真結はトランスポーターのミーティングルームに向かう。
「あれ?真結、遅かったじゃん。どうしたの?レーシングスーツなんか着て」
「そっちこそ、病院は?」
「え、退院してOKって言われたから即刻抜けてきた」
「で、でもあなたは乗せられない。」
「真結聞いて。」
「な、なに」
「あなたがなんと言おうと、最後がどんな結末だろうと、目が見えなくなろうと、歩けなくなろうと、私は乗る。ここで選手生命が終わってもいい。あなたのチームを潰すわけにはいかない。」
「…」
「やっぱあんたのレースへの思いすごいわ。負けた。じゃあ、乗ってくれる?」
「もっちろん!」
スタート直前、ドライバー登録を山野から愛に変更することが発表された。
「愛、今日は予選走れてないから特例で最後尾からのスタートが認められた。だからってマシンに無茶させないようにね?もちろん愛自身にも。」
「わかってる。優勝は狙うよ」
「最後尾から追い上げられば奇跡ね。」
「1周1台抜けば37周目でトップになれるよ!」
「単純な計算ね…(笑)」




