第9話「乱気流」
32周目。
「もうさすがにミディアムタイヤきつくなってきた!」
『わかりました。この周ピット、この周ピットです』
「了解」
『残りの周回数を考えると、ソフトタイヤで行けそうです。』
「はーい」
F1さながらの作業でタイヤ交換が行われていく。
2.8秒。
F1に近いタイムで作業を完了させる。
甲高いサウンドを響かせながらコースへと戻っていく。
41周目、100Rで17位のマシンに一気に近づく。
その時突然マシンの挙動が不安定になる。
「!?」
愛はとっさにステアリングを切り、ハーフスピンを収束させる。
真結はピットで原因を見抜いていた。
「タービュランス…EFSのマシンはガチガチの空力マシンだからね。後方へのひどい乱気流ができやすい。」
「山野代表、タービュランスへの対策が最重要ですかね?」
「そうだね。タービュランスに対処できる空力パーツが今必要かな。」
「じゃあ、もう開発を進めていきます」
「早いね。頼むよ。」
結果レースは18位で終わった。
「今日乗ってみて、あまり周りに台数がいない単独走行だと安定して走れたけど、台数が多いと走りにくくなっちゃう。乱気流のせいかな?」
『多分そう。だから、これから空力を改善するパーツを開発していくよ』
「じゃあ楽しみにしてる。」
決勝レース後、愛はスマホを取り出し、誰かに電話をかける。
「あ、もしもし?どう、最近」
「楽しい?よかったよかった。それで、来月の話は聞いてる?」
「あ、そうそう、イタリアでの練習走行の件」
「うん、チケットはこっちで用意しておくから。来週にでも、うちに取りに来て」
「じゃあ、イタリアでね」
「私の愛弟子がEFSデビュー。楽しみね。」
Wisteria GP一行はイタリアに向かった。




