村九分
ピピー……ピピピピ……
「艦長、通信が途絶えました。」
「クソッ、逆探知されたか……」
東京都。江戸川区。地下364m。”裏スカイツリー"
そこには、日本政府による極秘のオペレーション・ルームが存在した。
「艦長、先ほど受信したデータは一体?」
黒光りする激エロスーツをぴっちりと身に纏ったドスケベ丸眼鏡のエロ女エージェントが口を開く。
「構造解析を行い信号を復元できましたが、対量子ハッシュに完全時不変シード関数……。こんなプロトコル、今まで一度も見たことがありません。間違いなくウィザード級の、いいや、国家レベルの相手が裏で動いています。」
首元に大量のバッジを付けた、白い軍服の大男が髭で覆われた口を動かす。
「この作戦は完全に極秘だ。私の権限をもってしても話す訳にはいかん。」
ビーッ、ビーッ、ビーッ(黒電話)
「もしもし艦長です」ガチャ
「ッッッッッ!!!!」
艦長は、膝から崩れ落ち四つん這いになり、胸元から落ちた家族の写真を眺めながら涙を流す。
「先ほどの信号の発信源は……青森県山奥の因習カルト組織、『ムラハチ』からだ。」
「ムラハチ……?確か、私が産まれた年に解散宣言をした極左組織だと聞いていますが……」
「それはブラフだ。彼らは西日本の特殊治安維持部隊を襲撃してから30年間、未だその場所を拠点に、世界各地でテロを起こし続けている。」
「ッッッ!!!!なぜ、そんな危険な団体を野放しにしているのですか?」
女は座席を立ち、勢い余って机の上のコップを倒す。
「隠したのさ。日本政府が、その存在を。」
「そんな……テロ組織を日本政府が隠蔽していると知れ渡ったら、世界中から非難の的になりますよ!?」
艦長は、四つん這いになりながらも顔だけは正面の女の方を向き、涙を流しながら話を続ける。
「いいや、もっとヤバい事情があるのさ。」
「日本政府が世界中から非難されることよりも恐れている事情?そんなものがあるんですか?」
「それは、当時開発されていた最新鋭の蒸融合兵器、『Cyclone』だ。」
「サ……サイクロン?」
艦長は四つん這いのまま右手を懐に差し込み、リモコンを取り出す(両足と左手だけ全身を支えている)
その端末を操作すると、コントロール・ルームの天井から巨大なセンターディスプレイが降下してくる(48k,244Hz,OLEDモニタ,応答速度0.03ms)。
「この人型の鉄塊が……サイクロン……?」
「鉄ではない。超硬質メッシュさ。これはまだ完成後のイメージ画像だがな。こいつは二足歩行で動き、銃弾、大砲、核、あらゆる攻撃を無効化する。西日本の特殊治安維持部隊は当時、この兵器の開発途中にあった。だが、その開発は途中で停止された。」
「それは一体なぜ……?」
艦長は四つん這いで左手をディスプレイに向ける(右手はリモコンを持ったままディスプレイに向けているため、両足の筋肉だけで全身を支えている状態)
「強すぎたのさ。ブツの右腕に螺旋状のキャノンが見えるだろう。コイツが『蒸融砲』だ。あらゆる物質を融点まで溶かし、完全に蒸発させる。いわば核兵器の上位互換さ。」
「つまり……この存在が知れ渡っただけで、核によって保たれている現世界のパワーバランスが崩れる……と……」
艦長は四つん這いのまま、左足を背面に伸ばす(右足だけで全身を支えている)
「ご明答。だが、どこからかその兵器の存在を知ったムラハチの構成員が、開発停止中だった部隊の研究設備を襲撃。当時の部隊長が自爆することで事でどうにか設計図を消し去ることに成功した。」
「では何故、先程サイクロンの固有周波信号を受信したのでしょうか。」
「そうだ。ありえない筈なんだ……いくら研究設備の残骸が残っているとしても、アインシュタインレベルの技術士が居ない限り、サイクロンの復元は不可能なはずなんだ……。」
艦長は泣きながら、四つん這いの姿勢で残った右脚を背面に伸ばすと、そのまま宙に浮く。
「こんな情報を、何故私に教えてくれたんですか?」
「―――日本政府は先ほど、この作戦の重要度を『レベルファイブ』に指定した。つまり、君と私はもう、ここから生きては出られんよ。作戦終了後、情報漏洩を防ぐため、システムはフォーマットされ、この部屋には毒ガスが充満する。つまり、君に話さない理由がなくなったのさ。」
「ッッッ!!!」
「なに、サイクロンが出動した可能性がある以上、失敗した時はどの道世界の終わりさ。我々はアルティメット公務員として、責務を全うせねばならん」
エロエージェント女「がんばるぞ!!」
勝手に頑張れ!




