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村八分

青森県の奥地。その切り立った山脈の狭間に、外界から隔絶された村が存在した!


「「「しようぜ!村八分!」」」


宴席で決まった決定事項!

その対象は、ななな、なんと俺で〜〜!?!?!


〜アンケート調査結果〜

Q. なぜ、村八分に「鉢助」を選びましたか?


・若い癖に労働に参加しない

・生理的に受け付けない

・死んでほしい

・深夜にアニソンを流していて終わっている

・生理的に受け付けない


「というわけで村八分、スタートじゃぞ〜」

パチンッ


「金輪際、我々と関わるでないぞ」

「はやく死ぬんじゃぞ〜」

「仮に長生きしたとて、貴様は死ぬまで孤独じゃがの」


老人A、B、Cが立て続けにその口を開く


「「「なお、この条項に違反した場合、分子蒸融破壊兵器『Cyclone』を以て貴様の死を決定するものとする」」」


俺は宴会場から蹴り出されると、直ぐ目の前に激しく燃え上がる俺ん家を目撃する!


「……ワオ。」

茅葺屋根からは黒い煙が立ち上り、今まで生まれ育って来た一切の思い出が物理的に消失したと知る!


「……ったく、あいつら、八分したくてウズウズしてんじゃねーか、っての。」


俺は前髪を掻き上げると、燃え盛る家をバックに自撮りを1枚こしらえる。


『貴様の棲家はここじゃ。』

瞬間、村長からAirDropの通知が来る。

メッセージには、何やら新居の案内が添付されていた。


ガスはプロパン、四畳半、水道は井戸の汲み水……

指定された住所に辿り着いた俺「ふ〜ん、ここが俺の新しい棲家か……」ガラッ


扉を開けると、至る所に穴が空いていた。見上げると、天井を覆い尽くさんとする蜘蛛の巣が、俺の眼目まで迫りくるようだった。


「っシャア!かかってこいや!」


俺がガッツポーズを決める矢先、ジーンズの中に振動を感じる。AirDropだった。


『すまん、そこ、別の家じゃったわw』

『つまりそこはまだ村の領内、つまり貴様は村八分に失敗したことになるのう。』

『ルールはルール。時間切れじゃ』


『"Cyclone"、起動じゃ』

「な、何だって!?俺、死刑なのか!?」


「ギャーハハハ!あの穀潰し、まんまと騙されおったわ!」

「酒が美味いですな」


長机による宴会の席をお誕生日会とした時のお誕生日席の奥の壁側の上部分に有機ELディスプレイ(OLED,4k,240fps)が設置されている。画面には狼狽える鉢助の姿が映し出される。


「さ、お披露目といこうかの。」


老人Aが2回ほど手を叩くと、畳が左右にスライドする。開放された空間の中には、ただ、遠く、深く、底の見えない闇が広がっていた。


「ふぉふぉふぉ、久々にアレが見れるのう。」

村民達は、盃を片手に、その穴を見つめる。


ゴガゴゴゴゴゴコ……


少しづつ、しかし着実に。その気配は迫りつつあった。


ゴクリ。

老人たちは皆、唾を飲み込む。


そしてついに、地下世界から宴席と同じ標高まで姿を現した"Cyclone"。


パチパチパチパチ!!


宴会の席にその全貌を露わすと、宴会は拍手喝采に包まれる。


重々しいフォルム。その刺々しい輪郭は、西洋時代の甲冑を想起させるようだ。

だが、その体面積は、騎士と云うかは、横綱と呼んだほうが納得が行くだろう。

その漆黒より顕現せし姿は、完全な終焉を想起させる。


「来たのう、嘗て数多の血を吸い尽くした鬼神、Cyclone。」

「この世に神が居るとすれば、それはただ彼だけじゃ、唯一神Cyclone。」

「全てを滅ぼせしめし後には、塵すら残さぬ破壊神、Cyclone。」


「Cycloneには儂が乗るぞい」ヴィーン サイクロン アクティべーテッド


Cycloneの背殻が水蒸気とともに開放される。老人Aは外殻に乗り込む。再び背殻が閉じると、老人の姿はCycloneと完全に一体化した。


金属に含有される細々とした金属粒子が、黒光りする機体に囲炉裏の赤い炎を反射させている。

機体の前腕部と思わしき部位には、一定間隔毎に深い彫りが彫られており、その末端には巨大な口径を有する筒が、排熱用のヒートシンクの先端から円環状に延びていた。その機関部からは絶えずコイルモーターの駆動音が血を求めて叫び声を上げている。


「Cyclone、発進。Airタグを追跡。あの穀潰しを破壊せしめようぞ。」


前傾姿勢になったと思うと瞬間、強烈な風圧のみを残しCycloneはその姿を宴席から消した。


ピロリン!ライン♫

『宴が直ぐに終わってはつまらん。精々楽しませてみせよ。』

「ふーん、出してきたか、アイツを。」


俺は袖を捲ると、空高く手を掲げる。


「かかってこいよ!」

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