四天王④ エメルギア 前編
四天王、エメルギア
魔物というよりも、完全にして無欠の兵器
全身を覆うは神聖金属オリハルコン
魔法を弾き、
刃を拒み、
衝撃を吸収する
破壊することは困難を極め、四天王最強にして文字通り最後の砦
王城にエメルギアとの戦いの報告が次々に送られてきた。
【ザインの手紙】
“剣が、俺様の愛剣バルバトスが折れた……
こんなバカなことがあるか。もう俺は戦わん。
今から俺はバルバトスに代わる真に俺にふさわしい剣を求めて旅に出る
さらばだ”
「えっと、これって……」
「リタイア宣言ですわ。剣だけではなく心も折れたみたいです。多分もう戻ってこないと思います」
【ゴーリオの手紙】
“ぶん殴った!!
全力でぶん殴った!!
拳が痛い!!
エメルギア、硬すぎ!!
ちょっと休む。けど、また殴りに行く!!”
「前の文体に戻ったぞ。さすがにオリハルコンに素手は無謀だと思うが」
「相変わらず、折れてはいないようですが、このままだと拳の方が折れるかもしれませんね。
ほどほどが良いと思います」
【ガリオンの手紙】
“オリハルコン装甲は完全結合構造。
推定耐久値、理論上は破壊不能。”
(その後、ゴーレムに基礎理論や倒し方の考察が五十枚ほど続く)
「やっぱり新しい魔道具を作ろうとしているのか?」
「そのようです」
「うーん、また10年後ってことか。気が長いのぉ」
【ルシエンの手紙】
”がんばったけど、駄目でした。
何をやっても傷一つつかないんです。
あっちの攻撃はどれもすごくて、盾でも鎧でも簡単に穴が開いてします。
当たったらきっと死んでしまうと思います。とても怖いです”
「ふむ。これもギブアップ宣言か?
ここへきて八方ふさがりか」
「四天王最後ですからね。このぐらいのことは想定内だと思います。
もう少し長い目でみてみましょう」
と、お父様を慰めたものの、このままではどうにもならないかもしれないという予感もしていました。
その夜の事です。
攻略のヒントはないものかとガリオン様からの手紙を読んでいた時です、コアという単語に引っかかりました。
ガリオン様の見立てでは、エメルギア自体はゴーレムの一種であるとのことです。ゴーレムであればコアがあって、それさえ破壊してしまえば活動を停止するとのことです。
ならばやはりそのコアを探すことが攻略の糸口となる。そう思えました。
そのことを手紙に書いて各勇者様へと送りました。
しばらく後、勇者様たちからの手紙が帰ってきました。
”コアってなんだ。
分からん。殴って止めれば済むことだ”
ゴーリオ様からです。
まあ、この方には最初から期待はしておりませんでしたので……
ガリオン様から十枚ほどの抗議文が帰ってきました。
要約すると、いらないお世話だ、と言うことらしいです。
ザイン様からの返信はありません。本当に折れてしまわれたご様子です。
やはり、だれも私の話など聞いてはくれないのかと思っていたところへあの方からの手紙が来ました。
”コアの位置とかよく分かりません。
でもちょっと気になることがありました。
あのエメルギアという敵は、攻撃をするとキーンといい音を立てるのですが、
なぜか右ひざのところだけ、濁った音を立てます。
なんででしょうか。とても気になるのです”
ルシエン様からの手紙でした。それを読んだとたん、心臓がバクバクと音を立てて震えました。
エメルギアのコア。それは右ひざにあると確信しました。
しかし……
(では、どうやって破壊不能なオリハルコンの装甲を破り、コアを破壊すればよいのでしょう?)
それが大問題でした。
ザイン様 リタイア 勇者残り3名
四天王 残り未だ1体
ちなみに、ガリオンからの返事はこんな感じでした。
”そんなことは分かっています。その点についてはすでに先の手紙の13ページ目と21ページ目に書かせていた第折りますのでそれを参照ください。
また、それがどんなに難しいかも、続く22ページ目から34ページに簡潔に書かせていただいております。
大変失礼ですが、王女様は分かっておられないのです。
いらぬことで王を惑わし、ひいては僕らの活動の妨げになるようなことは慎んでいただきたい”




