四天王③ レギオン 前編
四天王、レギオン
個にして無数
無数にして個
それは一匹の怪物ではない
小さな蟲の集合体――
だが一匹一匹が独立した意思を持ち、
同時に全体として一つの意思で動く
斬れば、分かれる
潰せば、散る
焼けば、逃げる
そして、逃げた先で、また増える
倒したはずなのに、再び復活する
それがレギオン。レギオンの脅威
王城には、
勇者たちからの報告が次々と届いた。
【ザインの手紙】
“数が多すぎる。
斬っても斬っても減らない。
正面からの殲滅は非効率だ。
俺は別の標的を探す“
「別の標的とは?」
「魔王……ですかしら?
また、前の発言を無かったことにされてますね」
【ゴーリオの手紙】
“ぶち潰した!
いっぱい潰した!!
でもまだいる!!
村が大変なことになってる!!“
「む、今度は被害報告が追加されているぞ」
「それを成長と捉えて喜ばしいと思うかどうか、今、私悩んでいるのですわ」
【ベルトリアスの手紙】
“たくさんいる。たくさんいる。たくさんいる。
つぶしても。つぶしても。
あちらこちらからでくるで。でてくる。
でてくるな。でてくるな。“
「なんか文体変わったか?」
「おそらく前回のスクリーマー戦の余韻が冷めないようですね。
もう少し時間がかかるかもしれません」
【ガリオンの手紙】
「個体数、推定数万。
生態系への影響を考慮すると――
(以下、被害予測と数式が延々)」
「結論は?」
「今回はどうも魔導具を作ろうとはされていませんね。
正直、どうしたらいいか分からない、みたいですね」
【ルシエンの手紙】
“戦えませんでした。
でも、村の人たちを森の外へ避難させました。
子どもとお年寄りが多かったです。
家や畑が壊れましたが怪我人がでなかったのは良かったです“
「……相変わらず、何をやっているのか、だな」
お父様の声は冷たかった。
「勇者は魔王を倒すために選ばれたのだぞ」
(……でも)
王女は手紙をもう一度読み返した。
この人は、被害を止めることを最優先と考えた。
その夜。
王城の書庫にいた。
ここには古今東西の文献が納められている。もしかしてここにレギオン討伐の秘密があるのではないかと思った。
分厚い魔物誌、古文書、過去の勇者譚を片っ端から調べた。
(古蠱……)
そこに記された魔物の記述はレギオンに酷似していた。
ページをめくる手が止まる。
「古蠱は音、特に笛の音に強く反応し集まる……これだわ」
すぐさま人を呼び、勇者様たち使いの者を送るように手配する。
“レギオンは笛の音に集まる可能性あり 王女より“
すぐさま使いの者たちが勇者たちの元へ走った。
四天王 未だ2体




