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悪魔様の正体


 尋問したのに理由がある。理恵子は実家に帰りたかったのだ。帰りたいは帰りたいが、実際には帰ることができない。あの悪魔様が出てきた日に帰らなくて良かったと本気で思った。悪魔様が、「家族をどうするかなー」と脅し始めたのだ。実家にいつかは母の急病や家族の葬式でいずれは帰るだろう。その時の為に情報が必要だったのだ。




痛みは相変わらず負わされている。でも、負けてられない。「姪っ子達はお姉ちゃんが護るよ。」ヒロイン気取りで頑張っていた。




「そして、私は、負けない。悪魔になんて殺されない。」と呟き、赤ワインを片手に「今だって人生を楽しんでるもん。」と音楽を聴きながら、天井を見てピースをして見せた。ここまで悪魔様の姿を見てはいない。人間とは不思議だ。声がすると、天井、空にそういうものがいるのだろうと思い込む。

悪魔様は、理恵子の心に住んでいるというのに…




―負けない!明日へ。セーラ○エール♪ゼッタイ、見つけるよ、セーラ○スター♪例の曲が流れ出した。



理恵子には姪っ子が二人いる。優子とゆりだ。




理恵子は優子が苦手だった。



もう一人のゆりは気立てが良く、スーパーに行くと母(妹)の好きなジュースを買いたいといつも、ばーばに話していた。目鼻立ちがかわいいのもあり、妹は姪っ子達を贔屓していると言われてきた。でも原因があった。




理恵子は、幼少期から回し飲みや人が触った物を食べることができないのだ。鍋なんてもっての外だ。姪っ子の優子は、鉛筆の後ろや髪の毛を口に咥えたりするし、お姉ちゃん(理恵子)は病気になりたくないからそれをやめてほしいとずっと伝えて来た。




一向に治らないのだ。それが原因で姉妹同士で喧嘩になり、妹に髪の毛を引っ張られた。幼少期に悪いことをして髪の毛を母に引っ張られたこともトラウマでもある。



ある時、神様に「優子ちゃんの指しゃぶりや、髪を咥えたりするのをやめますように。」と祈った。



するとあの時の、誘拐犯から守ってくれた天使?守護霊?の姉さんの声がして来た。



「あなただって、お尻を掻いたりする時があるじゃない。」と伝えられた。ハッとして、ずっと護って貰えたんだと思い嬉しかった。きっと天使だったのだろう。聖書では一人につき天使が一人与えられ護ってくれているとの話があった。



ずっとあの時のことが忘れられずにいた。

 



  〈理恵子の幼少期の誘拐未遂?事件〉



 幼少期の時私立の小学校に通っていた。バスと電車で乗り継ぐ。



帰宅するバスで居眠りをすることが多かった。気付くと終点に着く。乗り過ごしてしまったようだ。



「乗り過ごしたみたい。」と理恵子は言った。すると知らないおじさんが、「お嬢ちゃん、乗り過ごしたの?おじさんが交番まで連れて行こうか?」と伝えて来た。



「お願いします。」と理恵子が言い、ついて行くことにした。


すると、どこからか、お姉さんの声が片耳から聞こえる。誰もいないのにだ。


「その人は本当に良い人?」



理恵子は、不思議に思ったが、誘拐犯だったら困る。でも、こんな人気がないところで逃げても、土地勘もないし、直ぐに捕まってしまうだろう。

理恵子は、人が集まっているところまでおじさんに付いて行くことにした。



奇跡にも知っている駅に到着した。 



いつも、おばあちゃんの家に行く駅だと理恵子は思った。



「ここまでくれば帰れます。ありがとうございます。」と、伝えて切符を買い改札の中に入った。



おじさんが不服そうに怖い目つきで睨んでいた。

 


本当におじさんは、誘拐犯だったのかもしれない。



理恵子は、天使だか守護霊だかわからぬ者にずっと感謝していた。その時の声が忘れられなかった。



あのいなくなってしまった天使様がいてくれた。凄く嬉しかった。




それを境に守護霊の声が聞こえるようになった。守護霊達は交代するようで、理恵子には色々な天使?守護霊の声が聞こえていた。




カラオケ屋さんで働いていた時には、「お前は、淑女の振りをしている。」と聞こえてきた。その前に憑いていた守護霊は、「目の整形を後悔して抜糸した傷が治りそうだぞ、心配するな。」と私に何度も声をかけてくれたのだ。




その人は、もう修行を終えたそうで「もう天国に帰るな、今までありがとう。」と私にお礼を伝えてきた。



ショックだった。おじさんの後についたお兄さん?の守護霊は、ヤンチャっぽい兄さんで性格が悪く、何か私が新しい仕事を始めようとすると、茶化し続けた。



―またあのお姉さんや、おじさんの励ましが聞きたい。



神様に何度も何故、守護霊さんを変えられたのですか?新しい守護霊さんは性格が悪すぎます。もっと優しい方を守護霊にしてください。と理恵子は祈った。



今まで護られてきた経験からずっと、天使?もしくは守護霊がいるのだと思っていたのだ。




またある時では、警告夢と思われる夢を観た。母は家を買おうとしている。マンションのローンを払ってはいるが、介護や姪っ子達が大きくなることを考えて、広い家に移り住んだ方がいいと思っているようだ。



私はそのことに乗り気ではなかった。相続するのにもローンがかかる。妹はパートなので、名義はどうしても母がしなくてはならない。母が無くなった時、ローンを払っていけるのだろうか心配でもあったからだ。



そのこともあり、母はお仕事を掛け持ちしていた。




その日の夜、警告夢とおぼしき夢を見た。夢では助手席に妹。運転席に母が座っていた。後ろの席には理恵子が座っている。さらに理恵子の席の隣には、直感的に母の守護霊だと思う人が立っていた。



道路には幼稚園生と思う子たちが、横断歩道を渡っている。



慌てて、お母さん達を起こしことなきを得るという夢だった。



母の守護霊は優秀だと思った。

免許を取ったばかりの妹にもこのことを伝えた。




妹と母は「呑気に事故なんかしないよ。」と言っていた。



その3日後妹は、交通事故だったらしい。あれ程警告したのに交通事故をまた起こした。また神様に護られたみたいだ。



お母さんが癌になった時も、神様に祈り無事に手術が上手くいった。妹が幼少期に交通事故に遭った時も無事だった。更に飼っていたワンコのモカも散歩中に首輪が抜け、トラックの前に飛び出した時も神様にお祈りをすると、無事に今まで過ごすことが出来た。


だからずっと神様を信じてきた。



それが今、どうしたことか悪魔達が二人も私に憑いている。



―神様って何?この世界って何?私って何処から生まれて来たの?死んだら何処に行くの?それを考えるととても怖くなった。



それで話を戻すと、母の守護霊が優秀で、私の守護霊がポンコツだと責めてしまったのである。



その1週間後が例の歯医者の日で、悪魔様達が出て来た日でもあった。



それも何か関係があるのか?




     〈飼い犬モカとの思い出〉



理恵子の幼少期にお気に入りの愛車でモカとお散歩に行くことにした。ギアがついた自転車で、坂の上でもスイスイ走れる優れものだ。妹も一緒に行く。幼稚園の時に遠足で行った公園で、歩道が狭いので飼い犬のモカちゃんには安全の為、前カゴに座って頂くことにした。自転車の前カゴに急に乗せられたモカは立ったまま震え出した。



これから何をされるだろうかと、身を委ねることが出来ず震えている。



「理恵子にモカ座って。」と命令される。



座ろうとするが自転車を引いて歩き出すと、モカが立ち上がった。



「モカ駄目じゃない。座って。」とまた命令なのかお願いなのか、バカ娘に言われてまた座らされた。




それを繰り返すこと、30分程歩くと幼稚園の時に遠足に行った思い出の公園が現れた。

モカを降そうとすると、前カゴの穴にモカの爪が引っかかり、モカは痛くて暴れていた。




一悶着あってやっと降ろされたモカちゃんは、ホッとしているようだった。そして、「暴れるからカゴに爪が引っ掛ったでしよ。」と二重に怒られた。




ここの公園は、珍しい花が沢山飾られていること、広さもあり自転車に乗りながら、リードに繋がれたモカが自由に走れる広さもあって好きだった。




足が速いモカは、自転車で軽く漕ぐぐらいのスピードが丁度いい。前カゴに座らされて震えていたモカだったが、ご機嫌上場になっていた。




帰宅する頃には、安心したのか、前カゴに爪が入られないするためか、いくら揺れてもきちんとお利口さんに座っているモカだった。




そんなモカが保育の専門学校の文化祭に行っている間に天国へと旅立った。夢で1週間もモカが出てきて家族の膝の上に変わるがわる座る夢だった。幸せだったよという感情が伝わる夢で、モカが空へと昇っていく夢だった。




 ずっと神様を信じて来たが、悪魔に襲われてから一向に神様は現れなかった。それどころか悪魔さんに信じられないことを言われた。 



「今までの守護霊のその声は俺なんだ。悪いな。後なシキとアオトと名前を付けてくれたが、全員一人なんだ。」と、言って来た。



えっどうしよう。頭が真っ白になり混乱した。




通りでシキ様とアオト様の笑いのツボが一緒だと思った。笑い上戸を調べたことがある。



 笑いのツボが浅い人は、普段から感情を抑制しているそうだ。普段感情を抑制している分、何かの拍子にリミッターが外れやすいようだ。

ずっと一人きりで何億光年も、私の体で一人で過ごしてきたのか、誰とも話さず私の体を住処にして。私はいつしか悪魔様に同情をしてしまっていた。




  だってそう考えなくては、私が今こんな目に遭っている理由は何なのか。天使は何故悪魔になったのか?ある時天使は、何故人間の為に魂を運ぶのか問われたことがある。今まで考えたことなんて無かった。それほどの恨みって何なのか?




天使ってどのくらいの時間働いているのか?交代制なのか?申し訳なくなってくる。




 きっと悪魔になった理由は、よっぽどのことがあったに違いない。



 悪魔様に人間みたいに過ごして貰いたいと思っていた。私を接待するとしたらどこに連れて行きたいか?と問われた。



    〈碧斗さんとすぐに行けそうな場所〉


本屋

プラネタリウム

花火

水族館 音楽や光生きている動物の生命力

イルミネーション

公園散策

バラや紫陽花 花巡り

花見

登山、紅葉巡り



 水族館は、音楽や生きている動物の生命力を感じられるからどうか、海は眺めているだけで心が現れるから良いのではないか。花見や登山などの自然巡りは、きっと天使の時にはゆっくり観ることが出来なかったからゆっくり過ごして貰いたい。イルミネーションは光が重なり合う瞬間を見て欲しいし、プラネタリウムも音楽と癒しのボイスを聴いて頂きたい。



 理恵子は理由も付けて提案した。悪魔様、元天使様は娯楽もなかったのだろう。手始めに本屋さんやゲーセンを勧めた。



 悪魔様とお出かけするのは初めてだった。晴れやかな空という意味で、アオトさんを碧斗アオトさんとこの日から呼ぶことにした。



 碧斗さんは凄く美形な目鼻立ちだった。この日を境に碧斗さんは、姿を表してくれた。



碧斗さんとゲーセンに行き、理恵子の手を添えるだけで不思議と理恵子の手を操作することが出来た。大好きなおやつを取って貰い、ルンルンだ。



「碧斗さんは、俺これやりたい。」と太鼓の達人をやりたいと言いだした。


「碧斗さん、音楽全然知らないじゃないですか?恥じかしいから嫌です。」隣の太鼓の達人には、先客がいた。



「下手でも良いじゃないか、むしろお前を辱めたい。」と言ってきたので、一緒にやることにした。



 結果は惨敗だったが、久しぶりのゲーム遊びに心がときめいた。碧斗さん嬉しそう。



最近は姿を表してくれている。普通に人のそれみたいに見えて、物体も動かすことができる。



 理恵子は碧斗さんに、人間みたいに癒しの時間を送って欲しかった。



少しでも人間を怨む気持ちが無くなって、晴れやかな気持ちになって貰いたい。



 ちっぽけな人間の友達第一号からの願いです。



………………………………………………………………………



そして、理恵子は碧斗さんと話してみる。ある時は尋問してみたり、ある時は友達みたいにだ。



ある日理恵子は悪魔に犬のフリをして言った。使役された犬ごっこだ。



「ご主人様、ここの家人はバカですよ。部屋も汚いですし、ご主人様の住処には相応しくないです。他所に行きましょうワン。」と理恵子は碧斗さんに言った。理恵子のアパートから碧斗さんが外へ飛び出すように誘導した。



するとまた、碧斗はまた室内でケタケタして笑い出した。



「こいつアホだ。変人!そうだな。悪魔がペットを飼うのも良いかもな。お前は豚だかな。でも、豚って美味いんだよな。お前の魂も美味そうだ。」と話し出した。


少しでもご機嫌を取りたい理恵子だった。



―笑ってはくれたが出て行ってくれることはなかった。このまま優しい碧斗さんでいて欲しい。また怖い碧斗さんになってしまうのか不安。



…………………………………………………………………………

    


     〈悪魔様、テレビ出演される〉



「碧斗さんテレビに出演されてますよ?アオトさん達が、この人の意識を奪ったんじゃないですか?」理恵子は悪魔達をちゃかした。



 某推理ホラー番組でサウナに入ってから倒れてしまったようだ。



悪魔様は、理恵子が悪魔に恐れをなさず茶化すので思わず笑い出した。



続けて、理恵子は伝える。



「悪魔様、このおじさんをもしかして瞬間移動させました?」



「おい、おい、おい!俺テレビに出てる訳?面白い奴だな。」と笑い出した。



テレビ出演メンバーが、次々と推理し出した。



回答は、男性客がサウナのドア前で倒れてしまい、サウナ室のドアを塞いだので、男性客を1時間も閉じ込めてしまっていたという物だった。




「お前も、サウナには気をつけろよ。俺もお前を閉じ込めるかもな。」と碧斗様が言った。




その瞬間ぞっとした。私も悪魔様に殺されるかもしれない。サウナはゼッタイに行かないと心に決めるのだった。


………………………………………………………………………



 この前悪魔様達にカラオケという娯楽を知って頂こうと、某サイトで歌ってもらったのだが、テレビを観た時に某アイドル二人組が、モノマネをしている時にトイレに立たれるのが嫌だと話していた。



そしてカラオケの時には、必ず合いの手を入れて欲しいと話していた。



理恵子は碧斗様に、悪魔の場合は「合いの手ってどうするんですか?と聞いてきた。



「おい!おい!おい!ぶっころす〜」「おいおいおいだ。」



理恵子には、変わった性癖がある。ドM過ぎて、悪魔様の「おい!おい!おい!」や「おまえ。」にどうしても胸が躍ってしまうのだ。



恋のときめきのなんちゃらにかかってしまっていた?


「理恵子は旦那もいるんだぞ、おいおいおい!目を覚ませよ!」理恵子はアオト様にメロメロにされてしまっていた?



「恋とかじゃないです。今までの碧斗さんのギャップ姿に感動してるんです。ずっとこのまま優しい碧斗さんでいて欲しいです。少女漫画のヒロインやヒーロー漫画の敵が味方になったのを味わってる感じなんですよ?わかりますか?」



「お前、漫画見過ぎ!」と、こつんと頭を叩かれた。


本当に優しい悪魔様になってくれて良かった。




 と思ったら、悪魔様に体をくすぐられた。



「はーん、えっちぃ、理恵子の声エチエチ、俺人間の女の悲鳴が好きな悪魔なんだ。」



くすぐったくて身を捩った。なんでか分からないけどくすぐったくて涙が出てくる。



「悪かかったな、理恵子、俺悪魔なんだよ。旦那には興味ないから安心しろよ。」と旦那さんがいないところでくすぐられた。



「また痛みの幻覚がいいか?耐えろよ、理恵子?」




………………………………………………………………



理恵子は、またまた悪魔様に翻弄された。

今後も悪魔様に振り回されるのか、仲良しの友達になれるのか……どうなることやら…


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