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たとえば、十三夜の月が照らすこころに

作者: 逢乃 雫

樹々が手と手を


とり合うように並ぶ



秋木立の道で


木洩れ陽のミストを



浴びながら


見つめる先を舞いゆく



葉の一枚ごとに


空は昨日よりまた広く



太陽が空をめぐるたび


新しい明日はやってきて



月が宙をめぐるたび


人は何かを想い出す



太陽と月が


見つめ合う夕闇の



朱鷺(とき)色のひとときに


空に煌めく



宵の明星は風に


そっと


微笑むように




たとえば


情熱という太陽が


照らすこころに



やわらいでいく


秋の陽射しを浴びながら



時雨のあとの


月草の青い花びらの上で



ひと粒の白露が


煌めき出すように



情熱の太陽は


こころを


今日も照らしながら




たとえば


やさしさという月が


照らすこころに



神無月の夜空で


街並みを見つめる


十三夜の月



満ちては欠けて


欠けてはまた満ちゆく


月はこころのように



追いかけながら


問いかけながら



醸成月(かみなしづき)の空に


明日へと続く道を



今日には今日の


輝きがあり



明日には明日の


輝きがきっとあると信じて




月の光は


太陽からの贈りもの



誰かからもらった


そのやさしさを



また誰かへと


つないでいくように



やわらかに


こころへさしこむ



月の糸を紡いで


言の葉を編むように



風の中に瞬く


星草は光を


地上にちりばめて




太陽が空をめぐるたび


新しい明日はやってきて



月が宙をめぐるたび


人は何かを想い出す



光はきっと


つながるもの


つないでいくもの



明日の、


そして未来のこころに




たとえば


十三夜の月が、照らすこころに


















「十三夜」は、中秋の名月(十五夜)に次ぎ、またはそれと同様に月が美しいとされ、今年は10月15日です。「神無月かんなづき」「醸成月かみなしづき」は10月のことです。


月草(露草)は青い花で、花言葉は「小夜曲セレナーデ」です。星草は秋に白い花が咲き、花言葉は「純粋な心」です。朱鷺とき色はトキが羽を広げた時に見える淡い紅です。


満月ではない十三夜の月を、風流として大切にしてきた古の人々の心を感じます。「宵の明星」は金星のことです。


季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
 御神酒を浮かべる醸成月に浮かぶ月夜は、移ろう色合いに時の流れを感じれば心も穏やかになり、同じように月を観る人と繋がる、古の人々を想う月の暦を感じる詩ですね…☆ 「太陽と月が見つめ合う夕闇」  月や…
>月の光は 太陽からの贈りもの 誰かからもらった そのやさしさを また誰かへと つないでいくように やわらかに こころへさしこむ 月の糸を紡いで 言の葉を編むように このことばもとても印象的で心に残…
季節の色合いが美しくまた作品のリズム、押しては引き、引いては押すといった波のようなリズムが心地よいです。 中秋の名月を見る頃は、涼しいはずのですが、まだじんわりとですが暑い日がありますね。 体調に…
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