9 魔王討伐
討伐の旅はきつい。馬車もきついが歩きはもっときつい。
9 魔王討伐
明けて討伐の日なった。魔王城は直接で500キロメートル最短で2週間はかかる。男性用馬車2台女性用馬車1台、荷馬車1台だ。都内は整備されていて揺れも少ないが、都を出ると道がガタガタでユリには
辛い。他の女性を見ると平気そうなのでこんなものかと諦めた。時々フライを使って凌いだ。数日はこんな調子だ。昼間走った、夜は宿屋か馬車の中で泊まる。1週間が過ぎる。民家が疎らになって来た。北部地域に入って来た。馬車の揺れも大きい。今日泊まりは北部地域最大の街だ。お風呂に入れるのも今夜が最後だそうだ。ここから行けるとこまで馬車で行きそこからは徒歩だそうだ。通りでガッチリした女性が多いと思った。最後の風呂を楽しみ宿屋の良さを堪能して馬車に乗り込んだ。
3日目に馬車はここまでと言われた。私は中くらいのリュックサックを渡された私物と一日分の飲み物食べ物を入れるように指示された。私以外は王子を含め大きなリュックサックを背負い山道歩き出した。ユリにとっては苦行だった。フライや転移に頼り過ぎて長時間歩くことがない。ついて行くことが難しい。みんなが休憩しているところに追い付くとみこしたように出発する。何度となく繰り返す苦行に遂に座り込む。そんな私をこの中では細身で小柄な女性がリュックサックを男性に渡し私を抱いた。
「ここまで良く頑張ったね。今日はもう歩かなくていいわ。」
女性の逞しい腕の中で微睡んだ。
こんな日々が3日続くと集落がある。まさに今魔物に襲われている。メンバーは戦いに身を投じた。ユリも゙またメンバーの後を追った。
場所的に魔王城にほど近く危険な場所であることは誰もが認識している。旅立てるものは旅立った。しかし、家族を見放せないなど結局ほとんどどの村人は残った。別に日常的に攻撃してくるわけではない。魔王城の方に行くのは嫌だなというくらいだった。突然オ―クの集団が攻めてきた。柵があるので一時的には止められるが戦闘が出来る若者たちは多くが離村しており鍬を持って立ち向かおうとする村民の多くは女性だった。
ユリ達が村に到着したのはまさに戦いが始まった時だった。柵が破られ、オ―ク達が村に侵入を始めたところだメンバーはリュックサックを下ろして戦いに身を委ねた。ユリも同様だ。もう躊躇はない持てる能力を全て注ぎ込もう。
魔王城手前の村がオ―クに襲われている。ユリも躊躇なく救援に向かう。