ただの不審者より妹の方が怖い
「ねぇココロ。私に会う時はさ、魅了耐性のある装備品を着て来て欲しいんだけど」
「分かった…今すぐ調達してくるから待っててね、お姉ちゃん」
クランの…もといファンの皆さん、妹がご迷惑をおかけします。なんか、俺らはそれが生き甲斐になってるんだ!なんて幻聴が聞こえた気がするな。
「現在の装備品に魅了耐性を付ける事なら素材さえ有ればできますよ」
「真宵!」
そんな技術があるんだね。知らなかったや。まあ、リアルでできる加工技術ならだいたいできるし、知ってるけど、ファンタジー世界の加工方法ってあまり勉強したことなかったや。あ、それよりもアレについて聞かなきゃ。
「ただいま戻りました」
「デバイスはどうなったの?」
「どうやら師匠より上の権限で名義変更を禁止されてしまったらしくて、当分はお預けになります」
それは…残念だ。あのギルガメッシュの真似をしてみたかったのにな…って今の私だと射出されるの全て鍬になりそうだな。木製でもいいからスコップや斧、槍とかも作っておかなきゃね。剣?数本は売り物として作るかもだけど私が使うモノとしては木製は絶対に作らないよ。木刀は別だけどね。ん?上の権限か…月曜日にジャックくんを殴るついでに許可もらえないか聞いてみよ。
「真宵さん、魅了耐性の素材は何を持ってくればいい?できればお姉ちゃんに加工して欲しいけど」
知らないってば加工方法なんてさ。まあ、ココロのことだし、私が真宵に教えてもらいながら加工すればいいって考えてそうだけどね。
「絶対に欠かせないのが[チャーミングバタフライの鱗粉]、[チャームアップル]、[チャームグラス]の三つになります。他は魅了効果のあるモノから取れた素材が有れば強化できますよ」
「真宵さん、三つとも聞いたことが無いんですけど」
「モノロスでも一応入手できる品ですよ」
「真宵、それ以上は自分でやらせなさい」
「了解しました」
あまり甘やかすと、私の身に何か災いが訪れそうな気がするんだよな…
「ココロ、何見てるの?」
「イベント公式、ソロのバトロワ部門の掲示板だよ、お姉ちゃん」
「ナニコレちょっと不愉快なんですけど」
「喧嘩するなら我の目に留まらぬ所でやって欲しいのじゃよ」
よし、ならば掲示板で語り合うか。
「スレ違い通報が絶えないのじゃが、遠回しにイタズラするのをやめて欲しいのじゃが…」
「「分かった」」
こうなったらリアルだと、懐か毒物の関係で安心してスイーツを食べられないから、こっちで死ぬほど食らいつくしてやろ。まあ、後者は普通あり得ないはずだけどね。睡眠薬盛らないで欲しいな…ココロ。




