信じるも信じないもあなた次第です⇔シオンの説明
「ここは…」
今目の前には、芝生の地下グラウンドが広がっている。強度的な問題ってどこに行ったの?
「あっちに更衣室があるからジャージにでも着替えてきて」
「今日体育無かったから持ってないけど…」
「こころに頼んで回収してきたから置いてあるぞ」
「帰ったらこころにお仕置きだね」
「よろこぶだけだぞ」
「それってどっちの漢字なの」
「さぁ」
色々と変人が私の周りには多い気がする。
「着替えて来たけど」
「こっちに付いてきて」
「どこ行くの?」
「コールドスリープ研究の副産物であるVRカプセルに入ってもらうよ」
「気づいたらイベント終わっていたなんてことは無いよね?」
「怖じ気付いたのかい?」
「コールドスリープされる心配をしているだけど」
「コールドスリープは色々とめんどくさいからね。やらないよ、絶対に」
「ならいいけど…」
「この部屋の中央にいかにもな、カプセルベッドがあるからそこで寝てくれ。後の操作は外部から僕がやっておくからさ」
「VRならヘッドギアで良くない?」
「これからやるのは現実世界において君が出来る限界に挑戦してもらうんだ。ヘッドギアだとスキャンの精度が低すぎてあまりデータが参考にならないんだよ」
「SFの医療用の設備みたいなカプセルだね」
「ぶっちゃけ弟子を修行させるために創ったんだよね、それ」
「十年ぐらい前のニュースだと、VR技術は早くとも半世紀は先の未来って言ってたよね」
「面倒くさくて創らないだけで、タイムマシンの設計図とか普通にデバイスの中に入ってるからね…VR技術ぐらい半年も有れば確立させられるよ」
おぅふ。思わぬ返答が返ってきた。弟子の育成のためだけに文明を一歩先に進めるのか…あれ?
「タイムマシン造れるの?」
「絶対に使わなきゃ世界が滅びるとかじゃない限りはもう創らないよ。タイムパラドックスとかパラレルワールドとか色々とめんどくさいしがらみも有るしね」
「本当に私と同じ高一なの?」
もう創らないってことは創ったことがあることの証明みたいなものだし。
「どこぞのネコ型ロボットの世界じゃあるめーし、たかが一世紀程度で創れるのような代物じゃないんだよ。それにタイムマシンを創るぐれーならスペースコロニーを造る方が簡単なんだぜ」
とんでもない爆弾だね!但し、事実で有ればの話だけども。
「ま、信じるも信じないもあなた次第ですってやつだけどな」
無視して、寝よ。
「ここで寝転がればいいんだよね?」
「ああ、よし。グラン、VRカプセルを起動しろ」
『了解しました』
意識が…遠退…いて…いく…
「貴女誰?」
気がつくと、真っ白い空間に居て、紺色の髪と目を持つ少女がふわふわと浮かんで、こっちを見つめてくる。
「人に名を尋ねるときは自分からだっけ。私はシオン。FVOのGMの一人よ。普段は裏方でデバッグ作業をしてるけどね」
「あ、えっと、私はミクっていいます」
「プレイヤーネームミクか…検索に引っ掛かったね。相棒のテストをここで受けることになってるね」
「相棒?」
「ジャックのことだよ。相棒には色々と恩があるから、二人目の相棒として頑張るつもりだよ」
「それで、テストって何やるんですか?」
「体育でやるような体力テストからちょっと変わったゲームとか色々とあるからこれって断言はできないね」
「最初にやるテストは?」
「ズバリ、走ることだね」
走ること?簡単そうだけども…なにか怪しいな。




