みくチェーンソー
「ここをこうしてっと。やっと組み立て終わった。それにしてもスケルトン遅いな」
「ミク様が気づいていないだけで既に届いてますよ?」
「え?」
集中し過ぎたみたいだ。あとはエンジンを組み立てるだけだ。《機械工学》はともかく《電子工学》はドライバーやスパナで螺子やナットを閉めていくだけで手に入るとは思えないんだよね。
「ねぇ、真宵。これで《電子工学》覚えることができるの?」
「エンジンの作業で溶接をおこないますからそこで覚えることができますよ」
「ならいいけど…」
「因みに私はスキルポイントを使ってスキルを覚えたことはありませんからね、ミク様」
「え?」
真宵さん…努力家なんですね。素直に尊敬します。
「ミク様、この程度で動揺していては精神系の状態異常に掛かりやすくなりますよ」
「顔に出てた?」
「一流の座敷わらしは仕えてる主の感情の変化ぐらい何気ない仕草の一つから推理して察することが条件の一つですから」
「それは分かったけど…雷嵐龍の心臓と嵐電竜の心臓どうするの?」
「エンジンの動力部に組み込みます」
「溶接で?」
「溶接です」
中学の授業で軽くやった程度なんだよな。
「プロ○ュートの兄貴みたく、『「ブッ殺す」と心の中で思ったならッ! その時スデに行動は終わっているんだッ!』とはいかないよね」
「プ○シュートの兄貴がどなたかは知りませんが、世の中そんな甘くないですよ」
「溶接頑張ります」
五分後…
「エンジンの完成ですね」
「完成だね。真宵、最後の仕上げお願いしていい?」
「覚悟を決めてください」
「『覚悟』はそうやすやすと持てるモノじゃないんだけど…頑張らせていただきます」
五分後…
「組み立て…完了…しました」
「お疲れ様です」
「ちょっと休憩」
「紅茶と一口ケーキをいくつか用意したので食堂へどうぞ」
「うん」
糖分が欲しい。まあ、意味ないかもだけどね。
「これはうみゃいですにゃ」
「ネコです?」
ねぇ、私の目が間違って無ければ私の一口ケーキを美味しそうに頬張っているように見えるのだけど?ねぇ、死にたいの?自殺願望があるの?ねぇ、ねぇ、ねぇ。
「ミク殿?」
「口に出さなきゃ分からない?」
「とんでもにゃいですにゃ」
「ならなんで私が怒ってるのか分かるよね?」
「大至急向こうで差し入れさせていただきますにゃ」
「その程度で赦すと思ってるの?」
「ココロ様絶賛のケーキを差し入れさせていただきますにゃ」
「ココロと私は別人だよ?味の好みが一緒とは限らないじゃない」
「にゃ~…逃げるが勝ちですにゃ」
「ニガサン、真宵」
「はい」
「にゃ!?」
「それ、試し切りの的にするから縛っておいて。あと忍連れて中庭に来て」
PK?知らない。真宵あたりに死なないように回復し続けてもらえばいいよね。
「真宵よ。主様に何があった?」
「こちらの大罪人に私がミク様用に用意しておいた一口ケーキを食べられてしまいまして…」
「GUILTY、絶対に赦してはならぬのじゃ」
「忍、いいところに。今からチェーンソーの試し切りに行くよ?」
「真宵よ、まさかとは思うが」
「忍様、こちらが現在の試し切りの的となっております」
「ネコよ、同情はせぬが、次からもじゃが、確認をとってから食べるべきじゃったな」
「んーんー(助けてにゃー)」
「いくぜ!てめえの自業自得だ!」
「んーんーんー(ご慈悲をにゃー)」
「慈悲など要らぬ、ブレードの錆びにしてくれるわ!」
食べ物の恨みは怖い




