休憩入りまーす
「メスガキ煽り……終わったの?」
「魔王様、息切れてる…」
「羞恥心から深呼吸して休みたい」
五分近くもやらされてたんだから…懸念していた莉華ちゃんによる軽蔑の眼差しは私ではなくニアちゃんに向かって行ったのでひとまずは良しかな。
「……ミク、二つ選択肢をあげる」
「何?」
「一つは自力で全て演じきること」
「もう一つは?」
「アバターだけ残してログアウトして、そのアバターを私が扱い、残りを私が台本通りに演じきるか……どちらを選んでもボイスだけは自分で収録してもらうわよ」
これって要約すると、恥ずかしすぎて為りきれないなら私がその体使って代わりにやるから出って、ただし声だけは収録しておけって事だよね?
「最後までやります!」
「そう…次はお手本のムービーがあるからおおよそその通りに動いてね」
「質問なんだけど、背景とかって売りに出す時には編集で変わってるよね?」
「そうね。そもそも、この部屋の家具って大抵偽物だし、この空間そのものも偽物だからいくらでも編集で応用が効くから安心してね」
この空間の全てが偽物?どういう意味なんだろ?まあ、多分電子世界の空想の偽物って意味だよね。
「私、ミク、流華、莉華の四人は本物だから…私からあまり離れないようにね。ログアウト禁止エリアに足を踏み入れたが最後、私には親友に祈るぐらいしかできる事が無くなるから」
「え~と、それってどのくらいの距離ですか?」
「私の目の届く位置、即ちこの部屋は安全よ」
ニアちゃんの視界に入ってさえいれば……あれ?あの二人はずっと入ってないよね?大丈夫かな?
「部屋は安全だから…彼女も私の友人足りえる存在をむやみやたらと消したい訳ではないはずだからね。さてと、しばらく休憩よ」
「え、なんで?せっかくやる気になったのに」
「流華、クランメンバーに連絡を。内容は魔王様に倒される役を演じる事。報酬は完成品の割引ってところかしらね」
次はもしかして無双系?だとしたら一度ログアウトしてもらっていろいろと対策してもらってからの方がいいのでは?
「無双系は無双系でも無自覚系だから。これ台本なんだけど、この休憩中に覚えておいてね」
「了解」
「人数はどのくらい必要ですか?」
「希望者全員参加。足りないなら私が分身してかさましするから」
「そんな事できるんだ…」
「別に…慣れれば誰でもできる事よ」
これ多分ココロの得意分野だよねぇ…私にはきっと無理かな。
「これ私の魔王像壊れない?」
「貴女を知らないオタクを釣る為の餌だから。まあ、この世界に居ながら貴女を知らないプレイヤーなんて新規プレイヤーぐらいでしょうけどね」




