管理者とメルト
「ふーむ、こっちはアレだからこっちのヤツにするか」
「毎度!」
「……何やってるの?」
見覚えのある顔の有名人がいるのだけど。
「ん?ああメルトか」
「いや、何故開発者が露店で買い物してるのよ!」
そう、その相手とはクラスメイトのジャックって奴だったのよ。
「明日のイベントで雰囲気がガラッと変わりそうだからその前に散策しておきたくてね」
「……PVP申し込んだら受けてくれるかしら?」
「いいけど……勝てない戦いに挑む理由は?」
「聞いてみただけよ」
「……ビルド方針とか悩みがあるなら相談乗るけどどうする?」
「頼むわ」
「こっちについておいで」
裏路地?何処に連れてかれるのかしら。
「ここかな?絶望の花を」
「添えるのは」
「暗殺者の務め」
「どうぞ」
「ほら、ついておいでよ」
……その不敵な笑みが恐ろしく見えるわね。
「ここは?」
「モノロスに点在する転移ゲートの一つかな」
「そんな物があるのね」
「一応入る時の合言葉によって転移先が変わるんだよね」
「そう…それで何処に行くの?」
「僕のこの世界における拠点の一つ…まあ、君にこれからあげる予定物件名の内見かな?」
……私、クランホームという立派な拠点があるはずなのだけど…少し不安になるわ。
「それでいつ転移するのかしら?」
「普通はカプセルを使って転移するんだけど面倒臭いから空間歪めて転移先に到着済みだよ」
「なら何処に…」
「バトルフィールド」
……扉を開ければ立派な闘技場が…ッ!?
「気づいた?ここモノロスの上空でね、今はちょうど真下に[音無組]のクランホームが存在するんだぜ」
「天空の城……」
「んにゃ、モノホンはもっとデカイし、ラストダンジョンだぞ」
「そんな情報渡してもいいの?」
「ん…現状だと極限られた一部のNPCの連中しか到達できそうにないからな」
つまるとこ、私の良心に委ねるのね。
「この浮島の最高時速は三十キロ。君が対応したスキルを持っていればもっと上げることもできるけどね」
「……本当にくれるの?」
「君のファンからのプレゼントってことで」
「いろいろと使わせてもらうわ」
「あと、推測でしか無いけど、魔法を覚えるなら水と風が君にはオススメかな」
「……何故わかったの?」
「なんとなくかな」
「そう…」
「水は君をより美しく際立たせることができるし、風は自身に使えばスピードを上げることだってできる。まあ、移動系と風を極めれば地上からここまで自力で登ってこれるようになるとおもうけどね。じゃあ、また明日学校で」
消える時は霧のように消えるのね。ゲートの合言葉も覚えたし、いろいろやってみようかしか?




