忍の離脱
「パンジャン調整に入るね」
「私は効率の良い魔法を組もうかな」
「ん?」
「魔王様って呼ばれるぐらいだから魔法について詳しくないの?」
「私…生産職だから」
「ふうか、お姉ちゃんはこれでも初心者なんだよ」
初心者……だよね?最近魔王って呼ばれ過ぎて基礎の基の字しか知らない初心者って事を忘れそうになるんだよね。
「お姉ちゃんは機械系については語れるけど、魔法系は全く学んでいなかったはずだよ」
「それなら《パンジャン魔法》とか覚えない?」
……そんなのあるの?
「聞いたこと無い魔法ですね」
「パンジャンドラムに関わる魔法だから純粋な魔法使いは知らないはずだよ」
「……私も初めて聞きました」
「真宵も?」
「ええ、ミク様。この世界に存在する教育機関のほぼ全てで学んだ私ですら知らない魔法なので、ほぼユニーク魔法だと思います」
「へー、まあ、教えて欲しかったらいつでも言って。なんか免許皆伝とか言われたし」
「誰にですか?」
「この世界の創造神みたいな奴」
「上司を悪く言うの?」
「あれは多分そんな風に扱うと出世が遠退くよ」
「そう…」
なんやかんや茜ちゃんって占い得意だし、感とか結構当たるから助言は素直に受け止めておこう。実際パンジャン占いとか聞いたことの無い占いでPvPイベントの一位を全て当てるとか馬鹿げた偉業を成し遂げてるからね。
「ん!なんと!?」
「先代様どうかしたの?」
「明日から向こうでも世話になるのじゃ」
「もうなの?」
「調整の関係で抜けさせてもらうのじゃ」
「いってらっしゃい」
って!貴重な戦力が!
「では、こちらをどうぞ」
「魔導書?」
「【マジックマシンガン】を修得できる使い捨てのアーツブックです」
「アーツブック?」
「オリジナルアーツを継承する為の道具です。入学祝いとして受け取ってください」
私には無いんだね。
「ミク様には後程全ての継承できるモノをじっくりと教えて差し上げますから」
なんか怖いんだけど!って訳で、
「要らぬ」
「了解しました」
ただでさえアーツ数が多いのに使いこなせる気がしないよ。
「この魔法ヤバくない?」
「ええ、今回の状況で一番役にたった魔法です」
「秒間百発って……」
「もちろんデメリットもありますよ。それは術者のMPが装弾数に直結すると言ったところです。私と二人でこちらの割合回復型のマナポーションを飲めば速く終わるので殺りましょうか」
……真宵って一応メイドなんだよね?私が言うのもなんだけど、流石に物騒過ぎない?