サーニャの休養
「寝たきりってしんどいね」
いや、私が悪いのは分かってるけどさ。普段なら舞を踊った後は全身が痛くなるはずなのに……。
「首…痛い」
神経痛かな?普段は関節を痛めてることが大半だけど……これって上達したのかな。
「お腹すいたよ」
無意味に独り言を呟くけどこれも痛みと寂しさを紛らわす為だけど、余り意味ないんだよね。
「なら、お粥でも食べるか?サーニャ」
「義姉さん?」
いるはずの無い書類上の、戸籍上の義理の姉の声がする。
「言っとくが幻聴ではなく暇だから見舞いに来ただけだからな」
「姿見えないけど?」
「そりゃあ、死角に居るから見えないわな」
ん……確かにこの部屋の中に気配は存在しているね。普段なら気配を消しているから隣に居ても気づかないことの方が多いしね。
「禁酒一週間だとよ」
「うん……私と比べると楽な罰に聞こえるけど…」
「アタシにとっては死活問題だよ」
そうだよね。リザさんは仕事の呼び出しが完全に無いと分かると直ぐにお酒を飲み始めるから……あれ?
「完全オフの日で酔ってない時って有るの?」
「ん…無いかもな」
「完全に呑兵衛じゃん」
「ふふ」
「どうかしたの?」
「いや、アタシを姉と慕ってくれる奴はいくらでも居るが、そいつらはアタシに恋してる様なもんでな。七面倒臭いんだわ。その点サーニャはアタシのことを純粋な姉として見てくれる。昔からこんな妹が欲しいと思っていたからさ。ボスの提案はちょうどよかったんだわ」
私を必要としてくれている。それだけで嬉しいと思える。生みの親より育ての親ってまさしくこの事なのかな。
「ま、ボスを指示無く裏切らない限りアタシはサーニャの味方であり続けると誓うよ」
「こんな簡単に誓っていいの?」
「大丈夫だ、問題無い」
「飯野くん」
「このネタは色褪せること無い伝説のネタだからな」
「そんなことよりお粥くれ」
「了解っと」
お腹が空いては治るモノも治らないからね。ん…リザさんって料理できたっけ?メシマズでは無いことを祈るしかないね。
「思ったんだか、対抗馬が[仮面戦隊]だけってのも味気無いよな」
「では運営でクランを作り、戦わせるんですね」
「んにゃ、違う。エリクサーとフルポーションは準備できたか?」
「サーニャ一人では無理よね」
「二学期からうちの学校、それも同じクラスに入る予定のアイツをメンバーに入れる。ついでにファントムガールズの誰か最低一人もメンバーに加えて最低三人で暴れさせるわ」
「ファントムガールズだけでいいと思うけど?」
「……そうするか」
(リアルでも)首痛い




