パーティー戦五分前
「お姉ちゃん起きて」
「ココロ?」
あー、思い出した。
「忍、ココロは私の体に何もしてないよね?」
「そうじゃな、してないはずじゃよ。まあ、起きて最初に聞くことがそれとは、よくあることなのじゃな」
「いつも催眠術と睡眠薬で眠らされるから、その時にマッサージと称していろいろやってるみたいだからね。それよりココロ、私が微睡みの館に行く可能性があるのになんで眠らせたの?」
「今回はお姉ちゃんを気絶させるように眠らせたから微睡むことができなかったはずだよね、お姉ちゃん」
気絶ねぇ…あまり分かんないや。
「それよりお主ら時間は大丈夫か?」
「え?あ!パーティー戦五分前だ!」
「お姉ちゃん、みんなを出して」
えーと、一番エースの[マギテックチェーンソー]、二番搦め手の[遠き幻想の鍬]、三番新入りの[ドリルスコップ]っと。
「本当に浮いてるよ、お姉ちゃん」
「付喪神の特徴の一つじゃな」
「みんな、これからたくさん血を吸わせてあげるね」
「お姉ちゃんその発言外ではしないでね」
そんな顔しなくても今の発言が一般的にはアウトなのは知ってるって。
「百鬼夜行としてのロールプレイの一環だから気にしないで」
「まあ、主様から労われたり、誉められたりすると喜んで強く成っていくじゃろうな、こやつら。しかし、ダメな所はしっかりとダメ出ししておくのじゃぞ!こやつらを想うならな」
「了解!忍……あれ?ココロ一人欠けてるよね?」
確か、パーティー戦はMAX六人パーティーで、このパーティーは私、ココロ、マギテックチェーンソー、遠き幻想の鍬、ドリルスコップっと五人しか居ないからもう一人いるはず。
「ミク殿……吾が輩、もう素材提供しなくてもいいにゃ?」
「最後の一人はネコですか!」
私の影に隠れてたんだ……怯えてるのが治ったらスカート覗きかけてるって罪で蹴るか。実際覗いたかもだし。
「お姉ちゃん、お姉ちゃんの指示でお姉ちゃんの為に拷問を耐え抜いた相手に対する態度ではないよね、それ」
拷…問?私が指示した?………あ!
「もしかして、目玉をくりぬかれて、戦力外通知になったとか?」
やれるかを聞いただけで指示になるならこれから質問する時は慎重にならないとね。
「お姉ちゃん、私が無能みたいに言わないでよ」
「ごめんココロ。え?ならなんでネコですが怯えてるの?」
「吾が輩の素材に価値があるという理由で皮まで剥がされたにゃ」
……かなりの致命的な失敗をしない限り絶対に私が指示しない内容だね、それ。
付喪神…それは古くより大切にされ続けた道具に意志が宿った怪異を指す




