プロローグ
初投稿
ピンポーン!
「はーい」
「宅配でーす」
宅配のお兄さんからソコソコ大きな箱を受け取りました。宛先は百鬼こころ……どうやら妹宛てみたい。
「お疲れ様です」
「ではこれで」
宅配のお兄さんを見送り、玄関に鍵を掛けてから2階にいる妹を呼んでリビングに運びます。
物はセブンスコーポレーションから届き、『大会入賞景品』と書かれてますね。妹のこころはプロゲーマーだし何が届いたのやら。
「来たみたいだね、お姉ちゃん?」
「ソコソコ大きいけど、何これ?」
「ファンタジーバーチャルオンラインと最新のフルダイブ型VR機器!」
そう言いながら豪快に段ボールからガムテープを剥がし開封作業を進める妹。中からは2つの箱が出てきました。
「はい、これお姉ちゃんの分」
「こころの景品でしょ?」
「お姉ちゃんのクラスメイトのジャックさんからのプレゼントだよ」
「え、何で?」
私のクラスメイトのジャックと言うと、お金持ちでアスリート並みの身体能力に凄い学力を持つ、これぞ人生の成功者みたいな人だよね?いつの間に知り合ったの?そんな疑問が頭の中をぐるぐる駆け巡る。そんな疑問を知ってか知らずか妹の答えは、
「ジャックさんは私の事務所の社長だよ、お姉ちゃん」
「そうなの?」
「そーなんす!」
明後日の方向で疑問の答えが返って来たけど、根本的な疑問の解決には至らない。
「おふざけは置いといて、この前とあるゲームの大会で優勝した時におねだりしてみたら『いいよ』の二つ返事でOKしてくれたんだ」
「事務所の社長なんだよね?ジャックくんて」
「厳密にはセブンスグループの社長だからある程度融通が効くんだよ、お姉ちゃん」
疑問は解決したけど、本当に何やってるだろ、あの人。
「お姉ちゃんの趣味はさ、リアルだと周りに迷惑が掛かってできないでしょ?」
「つまり、ゲームの中でやれと」
「Exactly、噴水広場で待ってるからね、お姉ちゃん」
妹は箱を押し付けると嵐のように自分の部屋へ去っていった。
「妹の期待に応えるのも姉の務めか」
言われた通り、私も自分の部屋に戻りゲームの準備を始める。渡された箱の中に入っていたのは、手紙とゲーム機本体だけ。とりあえず手紙を読む。
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百鬼ミクへ
この手紙はゲームソフトのダウンロードコードと簡単な説明書をかねている。まず、本体とコンセントを充電ケーブルで繋ぎ、ベッドの上で本体を頭に被る。そして電源ボタンを押せば後は本体の音声案内でどうにかなるはず。
ダウンロードコード:■■■ー■■■ー■■■
ps:この本体は特別版だからネットに関しては何もしなくていいよ。あと妹のこころちゃんはベータプレイヤーの中でトップ組だよ。
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何だろう、この敗北感。とりあえず本体設定を進めるか。
『ようこそ。私はサポートAIになります。これよりVR機器の初期設定を行います。必要項目の入力をして下さい』
AIに従い思考操作によって項目を埋めていく。
『身体情報は目安で構いません。そのデータを元にスキャンが行われます』
身長は……155で体重が確か50ぐらいだったっけ?最近量ってないなぁ。
『スキャンの注意事項です。枕も使用せず掛け布団などは体から離し、力を抜いて仰向けでお待ち下さい。スキャンを開始しますか?』
ちょっと待って……枕を隅っこに……掛け布団もどけて、仰向けで……よし。
『スキャン開始……そのままお待ち下さい』
10パーセント刻みで進行を教えてくれるAIの声を聞きながら静かに待つ。
『…………スキャンが完了しました。身長155センチ、体重49キロ、――』
なんとも丁寧に身体データを言ってくれるAIを軽くスルーして、それでいいと許可を出す。すると目の前に自分のホログラムが出てきた。実に見慣れた姿。スキャンの精度が凄いと言わざるを得ないな、これ。
『こちらが基礎データになります。この基礎データは様々な物で使用される事になります。ゲームでしたらクリエイト時に読み込まれ、ゲームごとに補正が入り、そこから更にご自身でそれを弄ることになるでしょう。この基礎データの更新はオプションで出来ます』
どうやら初期設定が終わったようだ。
『これで初期設定を終了します。何をしますか?』
次は……ゲームのインストール。
『インストール方法を選択して下さい』
今回はダウンロードだからダウンロードコードを入力し、インストールを始める。
『読み込み中です…………ファンタジーバーチャルオンライン……通称FVOが読み込まれました。インストールを開始しますか?』
YES。
『インストールを開始します。……終了しました。ゲームを開始しますか?』
「YES!」
モチベーションが続く限りは書き続ける予定です(無くてもストックは出しきる)