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進行

メルーシュの水障壁(アクアベール)と焔の強化された火龍繚乱がぶつかり爆発が起きた。

水蒸気爆発、非常に温度が高いものが水と接触した時

水が気化されて起こる爆発現象。

魔法ではなく化学の分野この世界でもその道に進んでいるものならばわかったかもしれない。

しかし、この場にいるものは魔法の道を進んでいるもの。だから当然理解することは出来ない。

「爆・・・発?」

焔は困惑に囚われていた。

彼女は水を全て蒸発させ今度こそメルーシュを焼き尽くすのだと思っていた。

そこには小さめのクレーターができていてメルーシュはそこを挟んで反対側へ吹き飛んでいる。

とりあえず勝ったのだと安心してレイに近寄る。

「あなたのおかげで助かったわ。ありがとう」

普段ツンツンツンツンしていてもこういう素直なところは焔の美点だとレイは思った。

「なにを・・・しやがった」

声の主は吹き飛ばされたメルーシュだった。

フラフラと立ち上がりレイと焔を睨みつけている。

先程までの雰囲気はもう残っていない。

怒りをあらわにしている。

しかし、戦闘は怒らなかった。

メルーシュは咄嗟に身体強化(ブースト)で守ったとはいえ爆発をもろに食らっている。

早く治療しなければならない傷だ。

さらに連れてきていた雑兵(ぞうひょう)は既に全滅させられている。

それぐらいのことを判断する冷静さをまだ残していた。

「近いうちに殺しにやって参ります」

状況を整理するうちにメルーシュは段々と落ち着きを取り戻した。

召喚(サモン)

どこからともなく大きな鷹があらわれメルーシュを乗せて飛び立った。

追撃を狙うレイ達ではあったが、メルーシュに呼び出されたのは鷹だけではなかった。

大きな熊が遅れてあらわれ、レイと焔に向かって突っ込んできた。それを獄炎剣(インフェルノ)で焼き払った時にはメルーシュの姿はなかった。おそらく鷹を強化して移動速度をあげたのだろう。

二人は先程のメルーシュの言葉から第2陣に備えて火炎の国で体勢を整えることにした。


メルーシュは火炎の国と熾火の国の両方からだいたい20キロの地点にある進行軍本陣へ戻って来ていた。

「何があった」

本陣の中央に建てられたメルーシュのテント。

その中でメルーシュは大きな水晶玉へ膝をついていた。

水晶から聞こえる声に怒りはない。むしろ何があったのか純粋に疑問に思っているという感じだった。

メルーシュは火炎の国で起こったことを詳細に報告した。

彼が今話しているのは、正真正銘この世界の魔王である。メルーシュは魔王の顔を見たことがない。

魔王は姿を殆ど見せない。話があればいつも通話の魔法かカーテンなどの向こう側にいるのである。

その理由をメルーシュは尋ねたことがある。

魔王は絶対王政を好まない。常に部下(殆どが七勇士)

に1度意見を求める。よってある程度のことは気軽に質問できるのだ。

魔王が殆ど姿を見せない理由は、もし今ここにいるものが相手に捕まり、拷問を受けた時、少しでも自身の情報を漏らさないためだというのだ。

そのため魔王の姿を見たことがあるのはただ一人、

魔王七勇士の1人にして1番頭の切れるテルである。

身の回りの世話から作戦立案まで基本彼がこなす。

「テル、お前はどう思う」

彼は勿論この会話に参加している。

「その謎の爆発というのはおそらく水蒸気爆発でしょう。これの対処は簡単です。防御の方法を水障壁から無属性の障壁(バリア)に変更するだけです。

そして、攻撃手段ですが、陸と空から同時に攻めるべきだと思います。

メルーシュの話を聞く限り警戒すべき者は2人、そのうち1人はメルーシュで押さえられるのであれば戦力を分散させるべきでしょう」

「そうか、火炎の国は熾火と違い魔法が未だに発展していない。しかし、そこを落とせれば間違いなく人間どもを滅ぼすきっかけになるだろう。

メルーシュ、足りない物資や必要なモンスターはいるか?」

「では、ドラゴンを50匹ほど、ガーゴイルでは役不足ですので」

「わかった、手配しておこう。期待しているぞ」

「おまかせあれ」

通信が切れ、水晶が光を失った。それと同時にメルーシュの体に入っていた力が抜ける。

魔王は話のわかる方ではあるが同時に非常に冷酷である。もし彼に使えないと思われた時は死を意味する。

魔王軍に加わり幾星霜、今まで失敗しなかった彼には彼なりのプライドが存在した。それを踏みにじった2人を必ず自身の手で殺すと誓い装備を整える。

「これを使うのは久しぶりですねぇ」

彼が取り出したのは年季の入った木箱の中で禍々しい魔力を放つ杖であった。

出陣の準備が整い魔物たちが出撃の合図を待っている。

「我らは今から魔王様のため命をかけて国取りを行う

思い出せ、元々我らは種属ごとに生き人間どもに駆除されるだけの運命だった。

魔王様があらわれ今は我々が奴らを狩る番だ。

火炎の国が落ちれば我らの天下はすぐそことなる。

魔王軍の英雄となるのは他の誰でもないここにいる我々なのだ。敵の主力は私が抑えようお前たちは残りの有象無象をうち倒せば良いのだ。行くぞ!!!」

メルーシュの演説に喝采が起こる。自身のキャラを変えてでも味方の指揮をあげるカリスマ性そこが魔王がメルーシュを七勇士の一人とした1番の理由だった。



1日お疲れ様でした。今回は魔王側にスポットを当てて書いて見ました。今1番欲しいのはネーミングセンスですねぇ。魔王の名前がまだ決まりません泣

今回も楽しんで頂けましたら幸いです。

感想評価ブックマークをしていただけると幸いです。

今回の雑学

「ブルータス、お前もかという有名な言葉、ここで言われている人の名前はブルータスではなく

ブルトゥス。カエサルが叫んだ

ブルートゥス、お前もかが日本人に言いやすくなったと思われる」

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