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異世界は非常識だ!! と思ったら私がただの世間知らずだった件

作者: シグレ

はじめまして。

初投稿です。

今回は僕の考える異世界の政治や、スラムについての短編小説を作ってみました。

まだまだ表現が拙く、誤字脱字が多いかと思いますが、ようで頂き、感想をいただけたら嬉しいです。

よろしくお願いします。

 皆さんこんにちは。

 いきなりですが、私異世界転生したみたいなのです。

 前世では、ADHDという障害を持ったせいで上手く人と接することも出来ず、仕事も上手く行かず大変な人生を送ってきたと思います。

死因や死んだ歳などは覚えていませんが、あまりいい人生では無かったような気がします。

 ですが、気がついたら子供に戻っていて、生まれ育った日本とは似ても似つかない街並みが目の前にあるのです。おそらくは中世ヨーロッパのような街並みで生活している街の方々を見ると文明もそこまで発展しているようではありませんでした。

 この街並みを見て私はよくある転生物の知識チートで成り上がれると喜び、今度の人生では必ず幸せになってやると決意しました。


 現実はそんなに甘くなかったみたいです…


 まず、私の取り巻く状況から説明したいと思います。

 私は実は貧民街出身でお金もなければ家もない、そして家族もいない。異世界の記憶が甦る前の記憶を漁ってみましょう。

 父の記憶は全くありませんでした。母は貧民街で娼婦の様な仕事をしていたような気がします。おそらく私は母が娼婦として働いていた時に出来た子供なのでしょう。そして7歳になった時急にいなくなった…邪魔になって捨てられたのでしょう。そのショックにより前世を思い出したのかも知れません。全てが推測ですが、間違っていないと思います。前世ではここまで考えることが出来ませんでしたが、今はモヤが晴れた様にはっきりと思考出来るので生まれ変わって良かった点かもですね。

 

 何日か生活をしてみての感想ですが、ここは本当に酷いところでした。子供に出来る仕事もなく、食べる物も余りない。唯一国の貧民街支援策として、街の真ん中に井戸を作り一日に2回大量に炊いたお米が鍋ごと井戸の近くに置かれるので、それを勝手に自分で持っているお皿に入れて食べることが出来るのです。

 ですが、お米はしっかり洗われていないのか、ぬかが余り取れていない様な…前世の記憶にあるお米とは似ても似つかない美味しくないものでした。ですが、食べなければ死んでしまいますし、盗みをするよりは全然マシなのでそれだけで私はなんとか15歳まで生き残りました。


 この世界では15歳で成人とされ職業につくことが出来るのですが、貧民街出身の子はなれても冒険者、ほとんどの人間はその街で男ならヤクザの様な仕事を、女は娼婦をやって生計を立てます。

 私は娼婦になるのなんか絶対に嫌だったので、冒険者になるべく、15歳になったその日にギルドへ向かいます。


 冒険者ギルドでは、よくある転生物の小説とは違い、登録にお金は入りませんが、半年間の訓練が必要で、その訓練を受けなければお仕事を紹介して貰えません。一応半年間は無料で2畳ほどの小さな部屋を借りることが出来、食事もギルドから出るのですが、簡素な食事でお金も稼ぐことが出来ないので私の不満はどんどんと募るばかりでした。


 なんとか半年間の訓練が終わり冒険者となりました。

 冒険者にはランクがAからFまであり、皆必ずFから始まります。まあ、なったばかりでいきなり難しい依頼など出来ないので当然のことかとは思いますが、Fランクの依頼の報酬など大したことがないので早く上げなければ生活もままなりません。

 冒険者ギルドのサービスとして、Eランクまでは訓練時に使用した部屋を借りて良いことになってる様なので私はこのまま部屋を借りひたすら頑張ることにしたのです。


 冒険者ランクがEになったことで、少し遠出する依頼を受けれるようになったのですが、1人では受けることが出来ないようで、ギルドから紹介されたCランク冒険者の方と一緒に依頼を受けることになりました。

 『Cランク冒険者のシンだ。よろしく頼む。』

一緒に依頼を受けるのはシンさんという方のようです。

 『私はEランク冒険者のリサと申します。至らないことがあると思いますがよろしくお願いします。』


 さすがCランク冒険者といったところでしょうか、かなりの知識と経験があるようで、色々と教えて頂き、助けられながら目的の場所までいきます。

 そしてその日の夜営では、

 『今日はここで夜営を行う。食事は持ってきた米を炊いて、さっき狩ったウサギを焼こう。』

 今日の夜ご飯はお米とウサギのお肉のようです。というか、普通に泊まりがけの依頼なのに私食料は干し肉しか持って来てません。なんともお恥ずかしいかぎりで…

『さあ、出来たぞ。君も一緒に食べなさい。』

『私何も用意してないのですが…』

『構わない、そのための先輩冒険者だ。君がさらに経験を積み、自分より下の冒険者と夜営することになったら同じことをしてやればいい。』

 シンさんは前世の上司と同じようなことをいい、お米をよそってくれました。

 前世でも似たようなことを言われた気がするのですが、その時はふーんとしか思わなかった言葉が、このような状況下では本当に心に響きます。


 さて、頂いたお米ですが、貧民街で食べたお米を思い出し躊躇しながら食べてみると、かなり美味しい。びっくりです。お肉も塩や胡椒がきいているのか、凄く美味しい。不覚にも涙が出てしまいました。

『どうした!!口に合わなかったか?』

シンさんはオロオロしながら聞いてきます。

『いえ、こんなに美味しいものは初めて食べたので…』

『そうか、喜んでもらえたようで嬉しい。』

シンさんは微笑みながらそう言いました。

 シンさんはなんでも知っているし、色々と丁寧に教えてくれる。私のこの世界に来てからの疑問も答えてくれるのではないか?そう思い、疑問を投げかけることにしました。

『シンさん、私は幼少の頃貧民街で過ごしました。貧民街で出されるお米は凄く美味しくなくて辛い毎日を過ごしていました。国の支援ならばもう少し美味しく炊けたのではないのかと私は思うのです。それに国の支援は食事だけで住むところもないし、街の整備もされない。何故なのでしょう。』

 そう、日本でならされそうな支援がここではされない、文明の違いもあるのだろうがその生活を強いられてきた私には納得の行かないことなのでずっと考えてきたことでした。

『少し難しい問題だね。でもリサ、少し考えてごらん。住むところがあってご飯もただで食べれたら君は冒険者になったかい?』

 なるほど、おそらくはならなかったかもしれません。知識チートをしようと無駄に過ごしてた自信があります。

『ですがある程度支援を強化していただいていたら、他の職業にもなることが出来たかとも思います。それに子供があのような場所で育たないといけないとは大変酷い話かとも思います。』

 私のこの返答を聞きシンさんは少し驚いたような顔をしています。

『なるほど…もしかして君は異世界きらの転生者かな?この世界に普通に生まれた人はそこまで思わない。こういうものだど理解する。』

『はい、そうです。地球の日本というところから来ました。だからこそこの世界は非常識に感じるのです。』

『なるほど…ね、実は僕も同じところからの転生者なんだよ。』

 驚きです。なんとシンさんも転生者だったみたいです。ですが、なぜこの世界の状況を飲み込めているのでしょうか?

『そもそも、国が貧民街に支援する義理はないんじゃないかな?貧民街の人達は税金を一切払えない。』

『そうかもしれませんが子供は関係ないですよね?子供には罪がありません。』

シンさんは正論を言いますが子供としてあそこで育った私としてはそれでは納得出来ません。

『そうだね、だけど子供に責任はなくてもその親には責任があるはずだよ?子供を育てる力がない人が子供を作ればそれは不幸な結果しか産まないのはどの世界でも同じことだ。』

 つまりは親のせいで私は不幸なのであってそれを国のせいにするのは間違っているということか。

『ですが、もう少し支援があっても…』

『そもそも、井戸、お米、冒険者の教育、低ランク時の部屋の貸し出し、全て貧民街の子供の為の支援なんだよ。』

 私は驚きました。ですがよくよく考えて見ると、お米は殆ど子供しか取りに来ていないし、冒険者の教育時期に部屋を借りているのは貧民街のものばかりで普通の街で育った人はお家に帰ってました。

『え…あ…確かに考えて見ると意外と支援されてます…』

『だろ?さっきも言ったけど十分な支援をすると貧民街の子供は仕事をすることを覚えない。それに貧民街からの税金は全くない為整備も出来ない。リサはなぜ大人達が貧民街で暮らしていると思う?』

 次は私が問われる番です。思いつく限りを言ってみようかと思います。

『例えば冒険者になって大怪我をしたとか?元々障害を持っていて仕事しても出来ない為に行かざるを得なかったとか?あとは騙されたとか?』

 前世の日本でもこんなことが有れば貧乏生活真っしぐらです。異世界ともなれば貧民街に落ちるのではないでしょうか?

 私も前世では障害をもち周りからひたすらに避難を受けました。なぜ出来ないのか?言われたことを覚えないのか?

ですが、私の病気だったものはそう言ったものは全て否定するもので、理解能力の欠如、記憶障害も引き起こします。

この世界でそんな障害を持ってしまったら生きていける自信がありません。

『リサ、この世界にも実は障害者年金のようなものや、支援が実はあるんだ。』

シンさんの話では、職業に就くと報酬から10%ほどが税金、10%ほど障害者年金ように引かれ、障害者になる、もしくは年をとって働けなくなったら普通に年金がもらえるとのこと、そして障害者用の職業もしっかりとありそこで働けば貧民街に落ちることはないとのこと。

そして詐欺にあって、借金を負わされても、前世と同様に自己破産が出来、一からやり直すことができるし、職業の斡旋もされる。

ではなぜ貧民街があるのか…

『世の中には、仕事が出来るのにしたくない、ていう人たちもいる。前世でいう、ニートだね。それが対人恐怖症とかなら障害と認められるが全く関係ない人たちは養ってくれる人が居なくなったら、税金を納めず、家を追い出され貧民街にたどり着く。』

 なるほど、貧民街に落ちる人はなるべくしてなったということらしい。

そして貧民街は整備等しない代わりに税金も取らない、未成年に手を出さなきゃ全て犯罪にすらならないと。

そう考えると私が非常識だと考えていた世界は、しっかりと常識的なところであり私がただただ世間知らずだったようだ。

 いや、おそらくは前世から合わせてもそうなのかも知れない。私は障害者で出来ないのは当たり前なのになんで皆、私を責めるんだ。そんなことばかり思っていたが、今なら分かるかも。皆私を助けてくれていたのだろう。ただただ私がすぐに混乱し、思い詰めていたようだ。

 だが、ADHDとはそんな病気だ。だが、いまの私は病気ではない。そして私ならそう言った障害なども誰よりも理解出来るだろう。


 もし叶うのならば、この異世界で…

 知識チートを使うのであらば…

 今まで助けて来てくれた皆さんのように…

 私は支えていきたい。


夜営をしながら、そう誓うのであった。

皆様ここまで読んでいただき、本当に感謝しかありません。色々と感想をいただけたら次に繋がれると思いますので宜しければ感想をお願いします。

本当にありがとうございました。

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