聞いてみれば
裏山には、300年住続けている亀のタルじいさんがいた。
亀のタルじいさんは物知りで色んな事を知っていた。
季節のこと、天気のこと、食べ物のこと。
亀のタルじいさんは自分で調べたわけではないが、気が付いたら色んな仲間が、色んなことを教えてくれた。
それで、気が付いたら物知り亀のタルじいさんと呼ばれるようになった。
ある日たぬきのぴょんは、川の横を通り、そして、木の横を通り過ぎた。
たぬきのぴょんは自分の周りにあるもの全てに興味津々だった。
木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのか。
気になりだしたらどうしても理由が知りたくなって仕方がなくなった。
この日から、たぬきのぴょんは毎日毎日朝から木の前に立ち。
毎日毎日昼から川の前に立っていた。
一か月二か月いつもの場所で、変わらない日々を過ごしていた。
そして、気が付くと1年が経ち、2年が経ち、いつの間にか5年が経っていた。
しかし、ずーっと見続けても、理由はわからないままだった。
ある時、たぬきのぴょんのそばをキツネのコンが通りかかった。
「たぬきのぴょんはなぜ毎日毎日朝から夕方まで、木と川の前に立っているんだ?」
毎日毎日、遠くからたぬきのぴょんを見ていたきつねのコンは不思議に思ってたずねてみた。
「僕が毎日毎日同じ所に立っているのは、なぜ木の色が変わるのか?なぜ川が流れるのか?知りたいんだ。毎日眺めていれば、いつかわかるかもしれないだろ」
たぬきのぴょんは困った顔できつねのコンに返事をした。
「ふ~ん、それで、毎日見ていて何かわかったのかい?」
きつねのコンは何か成果があったかを、たぬきのぴょんにたずねてみた。
「春になると、木にはつぼみが付き、川には小さな魚たちが泳ぎ始めるんだ。夏になると、木には緑色の元気な葉っぱが木全体に咲き乱れる、川には大きな魚や虫たちが元気に飛び交っている。秋になると、木は茶色に色が変わるんだ、川はつがいの魚たちやつがいの虫たちであふれかえる。冬になると、木から葉っぱがなくなり、川の両側は凍ってしまい、川の中央が緩やかに流れて行くんだ。しかし、なぜ木の色が変わるのかはわからないんだ。それに、なぜ川が1年中流れているのかわからないんだ」
たぬきのぴょんはまじめな顔で、でも、困った顔は変わらず一生懸命きつねのコンに分かったことを伝えた。
「たぬきのぴょんは不思議な事を考えるんだな。裏山に物知りな300年生きている亀のタルじいさんが住んでいるから、1度聞いてみたらどうだ?」
きつねのコンはそんなに知りたいなら、この辺りで一番物知りな亀のタルじいさんに聞いてみればいいと考え、その事をたぬきのぴょんに伝えた。
「そうか、わかった。亀のタルじいさんに聞いてみるよ。きつねのコン、教えてくれてどうもありがとう」
たぬきのぴょんから困った顔がなくなり、明るい笑顔になっていた。
きつねのコンと別れた後、たぬきのぴょんは裏山に300年住んでいる亀のタルじいさんの所に向かうことにした。
裏山に向かう途中に、前から歩いてきたことりのピヨから声をかけられた。
「たぬきのぴょん、今日はいつもの所に立っていないんだピヨ?」
「うん、今日は裏山に300年住んでいる亀のタルじいさんの所に行って、木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのかを教えてもらいに行くんだ。ところで、ことりのピヨは木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのか理由を知っているかい?」
たぬきのぴょんは亀のタルじいさんの所に行く前に、ことりのピヨに聞いてみようと思った。
「よくわからないけど、春になると木になったつぼみでおいしいケーキを作れるよ。そして、川では子供たちが飛ぶ練習をするんだ、川があると落ちても痛くないだろ」
ことりのピヨは突然、難しい質問をされて困ってしまったが、自分の考える理由をたぬきのぴょんに伝えた。
「そうなんだ。教えてくれてどうもありがとう」
自分が知りたい理由とは違ったが、知らないことが聞けてとてもうれしかった。それで、元気に感謝を込めてことりのピヨにお礼をした。
ことりのピヨの次に、前から歩いてきたねこのミーヤから声をかけられた。
「たぬきのぴょん、今日はいつもの所に立っていないんだミーヤ?」
「うん、今日は裏山に300年住んでいる亀のタルじいさんの所に行って、木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのかを教えてもらいに行くんだ。ところで、ねこのミーヤは木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのか理由を知っているかい?」
たぬきのぴょんは亀のタルじいさんの所に行く前に、ねこのミーヤに聞いてみようと思った。
「よくわからないけど、夏になるとたくさんの蝉さんたちと遊べるんだ。そして、夏になると川に入って泳いで涼むのさ、と~ても気持ちいいよ」
ねこのミーヤは突然、難しい質問をされて困ってしまったが、自分の考える理由をたぬきのぴょんに伝えた。
「そうなんだ。教えてくれてどうもありがとう」
自分が知りたい理由とは違ったが、知らないことが聞けてとてもうれしかった。それで、元気に感謝を込めてねこのミーヤにお礼をした。
ねこのミーヤの次に、前から歩いてきたねずみのチュウから声をかけられた。
「たぬきのぴょん、今日はいつもの所に立っていないんだチュウ?」
「うん、今日は裏山に300年住んでいる亀のタルじいさんの所に行って、木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのかを教えてもらいに行くんだ。ところで、ねずみのチュウは木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのか理由を知っているかい?」
たぬきのぴょんは亀のタルじいさんの所に行く前に、ねずみのチュウに聞いてみようと思った。
「よくわからないけど、秋になるとどんぐりでおいしいパンが作れるんだよ。そして、川を流れてきた葉っぱでおうちを直すんだ。とても使いやすいんだ」
ねずみのチュウは突然、難しい質問をされて困ってしまったが、自分の考える理由をたぬきのぴょんに伝えた。
「そうなんだ。教えてくれてどうもありがとう」
自分が知りたい理由とは違ったが、知らないことが聞けてとてもうれしかった。それで、元気に感謝を込めてねずみのチュウにお礼をした。
ねずみのチュウの次に、前から歩いてきたくまのポンから声をかけられた。
「たぬきのぴょん、今日はいつもの所に立っていないんだポン?」
「うん、今日は裏山に300年住んでいる亀のタルじいさんの所に行って、木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのかを教えてもらいに行くんだ。ところで、くまのポンは木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのか理由を知っているかい?」
たぬきのぴょんは亀のタルじいさんの所に行く前に、くまのポンに聞いてみようと思った。
「よくわからないけど、冬になると木の枝で冬眠するためのベットを作るんだ。そして、川に出来た氷をおうちに持って帰って、冬眠中の飲み水にするんだ。冷たくておいしいよ」
くまのポンは突然、難しい質問をされて困ってしまったが、自分の考える理由をたぬきのぴょんに伝えた。
「そうなんだ。教えてくれてどうもありがとう」
自分が知りたい理由とは違ったが、知らないことが聞けてとてもうれしかった。それで、元気に感謝を込めてくまのポンにお礼をした。
たぬきのぴょんは、ことりのピヨのお話、ねこのミーヤのお話、ネズミのチュウのお話、くまのポンのお話を聞いてみんな僕の知らないことをたくさん知っているんだと感心した。
そして、知らないことがまだまだたくさんあるんだと思いながら、裏山の亀のタルじいさんの住んでいるところまでやってきた。
「亀のタルじいさんなら、木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのかしっているかな。知っているといいな」
たぬきのぴょんは裏山に上り、亀のタルじいさんが住んでいる所の前までやってきた。
「こんにちは、亀のタルじいさん、聴きたいことがあるんだけど、教えてくれませんか?」
「ああ、いいよ、こんにちは。でも、たぬきのぴょん、今日はいつもの所に立たなくてよかったのかい?」
「はい、木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのかをどうしても知りたくて、物知りの亀のタルじいさんに聞きに来ました」
何か僕のしらない新しい事が聞けるのではないかと、目を輝かせて亀のタルじいさんにたずねてみた。
「たぬきのぴょんは木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのかについてしりたいんじゃな?じゃが、わしがしっておるのは、木の恵みとして、つぼみで作るおいしいケーキや、どんぐりでつくるおいしいパン、気に集まる蝉さんたちと遊べて、木の枝でベットまで作れる。川の恵みとして、落ちてもいたくないように飛ぶ練習が出来て、暑い日に泳いで涼むことが出来、おうちを直せる葉っぱを運んでくれる。それだけでなく、水自体を運ぶことも出来るんだ。わかるかい?たぬきのぴょん」
「はい、ここに来るまでに色々と教えてもらいました。でも、木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのかについての理由ではありませんでした。僕が知りたいのはその理由なんです」
「理由とははたまた難しいことに興味をもっておるんじゃな。わしも、300年生きておるが、「木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのか」についてはわかっておらん、しかし、木と川の恵みは皆からお話を聞いて知っておる。もしかすると、皆のお話の中心にある「木の色がなぜ変わるのか、川がなぜ流れるのか」についてわかる日が来るかもしれん。どうじゃ、わしと一緒に探してみてはどうかのう?」
「皆からお話を聞いていけば、もしかすると理由がわかる日が来るかもしれません。木と川の恵みについてのお話についても興味深いものでいっぱいでした。これから、色んなお話を聞いて、何時か理由を知る日が来るのを楽しみにしています。どうもありがとうございました」
この日より、たぬきのぴょんは色々な仲間から木と川の恵みに関するお話を聞くようになりました。そして、いつの日かたぬきのぴょんは物知りたぬきのぴょんと呼ばれるようになりました。
児童向けの童話として書いてみました。
最後が少し難しいかもしれません。
読みやすくなるための案があれば教えて下さい。
感想や意見などもいただけると嬉しいです。