何も知らない変態野郎《Deviant》
――いらっしゃい。
ああ、あんたか。
やけに久しぶりな気がするが、よくよく考えてみればそうでもないのか。
どうやら、こちらがあんたの来店を待ち望んでいるらしい。
はは、いや、いいさ。
あんたにはあんたの都合があるんだ。
申し訳なさそうな顔はしないでくれ、こっちが恥じ入るばかりだ。
さて――今日はどういった用向きだい。
なに、恋愛小説を読みたい。それもファンタジー色の強い作品で?。
……。
…………。
………………。
以前にも同じようなことを言ったはずだが、この店に来るってことは、まともな恋愛の物語を期待しているわけじゃない、という判断でいいのか?
ふぅむ……。
国内外、恋愛小説というものは枚挙にいとまがないほどに「名作」が生まれ続けている。年間に一本二本という速度でなく、もっと早いペースで驚くほどだ。
それこそ、現在の「自由恋愛」ベースのものから、過去にあった「決められた将来」ものや、もっと未来では恋愛観はこう変わっていくだろうという「予言的なもの」まで、多種多様に。
でも、あんたが今日求めている恋愛小説はそんな「名作」を求めていないんだろう。名作が欲しかったら、わざわざこの店に来る必要がないものなあ。
ん――。
そうさな、ならあれはどうだ。
確か、奥の棚に……少し待ってってくれ。
――。
――――。
――――――。
お待ちどうさん。
これなんてどうだ?
あらすじとしちゃあ、化け物のような男がある日、とある少女に一目ぼれをする話だ。
ある理由がもとで一般的な情緒を知識の上でしか理解できなかった男と、小さなころから、いいや、生まれたときから「殺すこと」が正義だと思い込まされてきた少女の、過激な出会いから物語が始まっていくんだが……まあ、これより先は自分で確かめた方がいい。
で、どうするね。
おそらく、この店にはあんたの望む作品はこれしかないと思うが。
ほう――そうか、これにするのか。
じゃあ、包むから少し…………なに、ここで開いてく?
ふん、だったらいつもの席で待っててくれ。
すぐに珈琲を入れてやる。
最近は天気の悪い日も多い。
手元の明かりは点けて読むことをお勧めするよ。
なにせその作品は、理解に苦しく、少し気味が悪いからねぇ――。
ああ、あんたか。
やけに久しぶりな気がするが、よくよく考えてみればそうでもないのか。
どうやら、こちらがあんたの来店を待ち望んでいるらしい。
はは、いや、いいさ。
あんたにはあんたの都合があるんだ。
申し訳なさそうな顔はしないでくれ、こっちが恥じ入るばかりだ。
さて――今日はどういった用向きだい。
なに、恋愛小説を読みたい。それもファンタジー色の強い作品で?。
……。
…………。
………………。
以前にも同じようなことを言ったはずだが、この店に来るってことは、まともな恋愛の物語を期待しているわけじゃない、という判断でいいのか?
ふぅむ……。
国内外、恋愛小説というものは枚挙にいとまがないほどに「名作」が生まれ続けている。年間に一本二本という速度でなく、もっと早いペースで驚くほどだ。
それこそ、現在の「自由恋愛」ベースのものから、過去にあった「決められた将来」ものや、もっと未来では恋愛観はこう変わっていくだろうという「予言的なもの」まで、多種多様に。
でも、あんたが今日求めている恋愛小説はそんな「名作」を求めていないんだろう。名作が欲しかったら、わざわざこの店に来る必要がないものなあ。
ん――。
そうさな、ならあれはどうだ。
確か、奥の棚に……少し待ってってくれ。
――。
――――。
――――――。
お待ちどうさん。
これなんてどうだ?
あらすじとしちゃあ、化け物のような男がある日、とある少女に一目ぼれをする話だ。
ある理由がもとで一般的な情緒を知識の上でしか理解できなかった男と、小さなころから、いいや、生まれたときから「殺すこと」が正義だと思い込まされてきた少女の、過激な出会いから物語が始まっていくんだが……まあ、これより先は自分で確かめた方がいい。
で、どうするね。
おそらく、この店にはあんたの望む作品はこれしかないと思うが。
ほう――そうか、これにするのか。
じゃあ、包むから少し…………なに、ここで開いてく?
ふん、だったらいつもの席で待っててくれ。
すぐに珈琲を入れてやる。
最近は天気の悪い日も多い。
手元の明かりは点けて読むことをお勧めするよ。
なにせその作品は、理解に苦しく、少し気味が悪いからねぇ――。
一章 【 拉致誘拐 ―― 軟禁入省 】 一話 『 その名前、天月(あまつき) 天(そら) 』
2019/07/24 12:00
(改)
二話 「 部屋と弁当 」
2019/07/25 12:00
(改)
三話 「 やるかたない 」
2019/07/26 12:00
(改)
四話 「 平和に飽く 」
2019/07/27 12:00
(改)
五話 『 形相 』
2019/07/28 12:00
六話 『 正常な異常 』
2019/07/29 12:00
(改)
七話 『 柔らかい風 』
2019/07/30 12:00
八話 『 コミュニケーション 』
2019/07/31 12:00
(改)
九話 『 超常の常 』
2019/08/01 12:00
(改)
十話 『 超常の超 』
2019/08/02 12:00
(改)
十一話 『 当たり前のコト 』
2019/08/03 12:00
幕間
2019/08/04 12:00
二章 【 二人四脚 ―― 想像破綻 】 一話 「 顔のない顔 」
2019/08/05 12:00
(改)
二話 『 映す瞳に映らぬ世界 』
2019/08/06 12:00
(改)
三話 『 度を越えた変態 』
2019/08/07 12:00
四話 「 猫と少女と、新人巨漢 」
2019/08/08 12:00
五話 「 表現年齢 」
2019/08/09 12:00
六話 「 猫の溜息と絶対強者 」
2019/08/10 12:00
七話 「 信号 」
2019/08/11 12:00
八話 「 難しい問い 」
2019/08/12 12:00
幕間
2019/08/13 12:00
三章 【 絶対敗者 ―― 勉学平穏 】 一話 「 後悔に似た 」
2019/08/14 12:00
(改)
二話 「 透明に悶える 」
2019/08/15 12:00
三話 「 手中より生まれるもの《グラースプ・ザ・ワールド》 」
2019/08/16 12:00
四話 「 ぶち猫先生の苦難 」
2019/08/17 12:00
五話 「 組織の理由 」
2019/08/18 12:00
六話 「 真実の漂白 」
2019/08/19 12:00
七話 「 カミナリ と しっぽ 」
2019/08/20 12:00
八話 「 準備期間《プロローグ》から終末戦争《クライマックス》へ 」
2019/08/21 12:00
幕間
2019/08/22 12:00
四章 【 稚気乱暴 ―― 茫々終結 】 一話 「 絶望の爪先 」
2019/08/23 12:00
(改)
二話 「 無貌に光る 」
2019/08/24 12:00
三話 「 存亡に至る命題 」
2019/08/25 12:00
四話 「 生き埋めの変態野郎 」
2019/08/26 12:00
五話 「 杖持つ少女の采配 」
2019/08/27 12:00
六話 「 屋根に降る暴力 」
2019/08/28 12:00
七話 「 選ばれし少女 」
2019/08/29 12:00
八話 「 嘆きの淵 」
2019/08/30 12:00
九話 「 二百八十日の記憶 」
2019/08/31 12:00
十話 「 嗤う緑 」
2019/09/01 12:00
(改)
十一話 「 一本の芯 」
2019/09/02 12:00
十二話 「 刻限の刻 」
2019/09/03 12:00
十三話 「 刻限の限 」
2019/09/04 12:00
十四話 「 然したる茫々 」
2019/09/05 12:00
(改)
店長の話
2019/09/06 12:00
(改)