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9話 子供は意外と親のことを見ています



 上尾篤は困惑していた。妻である洋子から変な相談を受けていた。


「だから、一緒にお風呂に入った時に子供におちんちんの洗い方を教えてあげて」


 上尾篤は妻も大人なのだから別に恥ずかしがることはないだろうと考えたのだが、どうも勝手が違うらしかった。


「こういうのは男同士でしかわからない事もあるでしょう? 確かに私には弟はいたけど、一緒にお風呂とか入らなかったし、女の私ではわからない事もあると思うの」


 上尾篤からすれば、なぜ妻がこだわるのか分からなかったが、汚れを溜めるよりは良いのだろうと、息子とお風呂に入った時に息子におちんちんの洗い方を教えた。


 息子はすぐにお風呂で上せてしまう為、上尾篤は息子を先に上がらせていた。その時に必ず「洋子さん」と妻を呼んでいた。


「なんでパパはママのこと、ママじゃなくて、よーこさんって呼ぶの?」


 ある時、息子から質問をされた。


 上尾篤は、昔観たドラマで妻の事をママと呼ぶ事でドラマの妻がおかしくなっていくというストーリーを見たことがあり、子供と一緒になって妻の洋子の事を、あまりママと呼びたくなかった。


「僕もよーこさんって言った方がいい?」


 上尾篤は息子の質問に対して首を横に振って答えた。


「パパのママは、お婆ちゃんの事だよ。だから、パパが洋子さんの事をママって呼ぶのは変だと思ってるんだ。でも、お前はママって言うのが正しい。パパの真似をしなくて良いんだよ」


 子供に言うような理屈ではないが、上尾篤は息子に真剣に答えた。


「そっかー。パパのママは婆ちゃんなんだ。じゃあ、パパのパパは爺ちゃんなんだね」


 理解が早い息子に上尾篤は嬉しくなった。生まれた時に息子は少し人生にハンデを背負うかと彼は心配していたが、この賢さなら何とかなるかもしれないと考えたのだった。



 上尾洋子は夫が赴任先に旅立ったときに息子から質問された。


「パパはお仕事行っちゃったの? いつ帰ってくるの?」


 寂しそうな息子を見て、上尾洋子は息子を抱きしめながら答えた。


「そうね。次は1ヶ月後ね。寂しいの?」


「ママがいるから大丈夫だよ。ねえ、ママ? 1ヶ月後っていつ?」


 そう息子に言われて、上尾洋子は息子がまだ幼稚園生だと言うことを思い出してカレンダーを息子に見せた。


「このカレンダーで30個先の日よ。今日はここ。一緒に数えましょうね」


 上尾洋子と息子は指を動かしながら30を数えた。指を一緒に動かす為、息子を後ろから抱きしめていた。すると息子が彼女に訪ねた。


「ねえ、ママ? どうしてママはいつも僕にギューしてくれるの?」


「それは貴方のことが大好きだからよ」


「じゃあパパはママの事が大好きなんだ。いつもパパは帰ってくるとママをギューしてるもんね。ママもパパが大好き?」


 上尾洋子は、まさか息子にこんな事を言われるとは考えてなかったので急に恥ずかしくなった。同時に最近よく喋る息子が、周りに言いふらしていないか心配になった。


「もちろんママはパパの事が大好きよ。でも、周りに言ったら駄目よ。ママちょっと恥ずかしいからね」


 上尾洋子は、息子の質問に答えつつも釘を指すのを忘れなかった。


「僕もパパにもっとギューして欲しいな」


 息子の寂しそうな声を聞いて、父親の愛情が足りないのかなと上尾洋子は考えた。


 上尾洋子は夫が帰ってきて自分に抱きつこうとした時に、子供が起きていたら一緒にギューをするようにした。夫は少し不満そうな顔をしていたが、「息子も篤さんとギューってしたいんだって」と言ったら、抱きつく時は一緒にしてくれるようになった。


 上尾洋子は子供が寝てからも抱きしめに来てくれる夫の態度は嬉しかったが、子供が大きくなってきた事もあり、夫婦の営みが無くなっていることに不安を感じていた。


こうして、結婚記念日7年目の年は過ぎていった。

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