とある家政婦の仕事
時は西暦2085年。
少子高齢化真っ只中の現代では10人に7人が高齢者と言う時代となっていた。
その中、私はとある家の家政婦として働いていた。
私の名前は『石崎 洋子』今年で38になる独身女だ。
「よし、洗濯終わり!」
干した衣類をチェックして洗濯漏れが無いのを確認した後部屋の掃除に移る。
若者が減ると共に科学技術が発展し、工場なんかは殆ど機械が働く様になり仕事が本格的に無くなっていた。
その中で家政婦と言う仕事が出来る私は幸せ者なのだろう。
「よし、これで全部完了ね!」
掃除用エプロンを外して手を洗ってから食卓に着く。
そこには既に用意されていた料理が在り両手を合わせて祈りを捧げる。
「今日も美味しい食事をありがとうございます。いただきます」
今日は白米に味噌汁、煮物に漬物と言う古来から日本人が愛して止まない和食である。
ゆっくりと味わいながら一口一口を堪能して食事を済ませる。
「ご馳走様でした」
食べ終わりお茶を飲んでいると襖が開いた。
そこに立っていたのはこの家の家主で雇い主の父親である。
若い頃にネット小説が大ヒットしてアニメ化にハリウッド映画化と一躍有名人となった人物である、だがそれも過去の話・・・
今は何処にでも居るボケた老人であった。
「良子さんや、飯はまだかね?」
これもいつも聞かれる台詞だ。
だから私はいつもの様に返す。
「さっき食べたでしょお爺ちゃん、それに私は良子さんではなく洋子ですよ」
「あ~そうじゃったか・・・」
ションボリとして奥の部屋へと戻っていくその姿を見送りお茶をもう一口頂く。
つい10分前の事すらも忘れてしまうボケたお爺さんの世話も私の仕事なのだ。
それでも下の世話が掛からないだけまだマシである、老人とは言え男性の下半身を見るのにはやはり抵抗が在った。
「さて、そろそろかしらね」
いつもの時間に玄関のドアが開いた。
私は立ち上がり玄関の方へ移動する。
「お帰りなさい良子さん」
「ただいま戻りました洋子さん、いつもありがとうございます。なにかありましたか?」
「いえ、いつも通り平和なものでしたよ」
「ありがとうございます」
「それでは私はこれで・・・」
そう言って私は良子さんの家から出て行く。
これで今日の仕事は全部終わりだ。
私は愛車に乗り自宅へと向かうのであった・・・
「洋子さんは本当によく働いてくれるわね」
帰ってきた良子は洗濯や部屋の掃除がしっかり行なわれているのを見て感心しながら着替えを終えてリビングへ移動した。
食べ終わったお皿が置かれたテーブルを見て、美味しく食べてくれたのだと微笑み、片付けようとしたときに襖が開いた。
「良子さんや、飯はまだかね?」
祖父はもう数年前からボケが始まっていてさっきの事すら忘れる始末だ。
私が子供の頃はあんなに立派で頭が良かったのに・・・
そう昔を思い出しながら食卓に手を翳して告げる。
「お爺ちゃん、さっきこれ全部食べたんでしょ?」
「あ~そうじゃったか・・・」
ションボリとして奥への部屋へ戻っていく祖父の姿をただ見送るのであった・・・
完
暫く忙しくて更新出来なさそうなので短編書いてみました。
・・・あれ?www




