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小さな恋
中学2年生。
「ヤッホー」
「おっはー
今年は同クラだといいねー」
甲高い声を響かせるのは
私達だけじゃない
誰もが浮かれている
まだ肌寒い春
クラス替え
ドキドキもするし
ワクワクもする
「「ぇーっと」」
私と百合[ユリ]は張り出された紙を順に見る
「2組」
「6組」
ガッカリもする
あぁーあ
と嘆息をもらして
2人はそれぞれの教室に入る
百合は1階の教室
私は2階の教室
ガラッ
教室を一望して1つ。
『知り合いいないし!!』
しかも静か。
私を一瞥する瞳がズラリ
『あ…』
私の座るべき席の近く
一段と厳しい瞳を向ける
げぇ…元カレ
引きずるな私
と 心で呟き
席につく
『ぉ?』
広い背中と肩幅
やたらと凛々しい目線
骨ばった手
長い指
焼けた肌
何よりロン毛♪
『めっちゃタイプっっ♪』
ガン見していると
早く本を読め
と先生に目で訴えられる
慌てて本を読むと
「その本 面白い?」
と小声で話しかけられた
私はガン見してたコトがバレたのかと思った
「…ううん」
心臓がバクバク音をたてる
「ふーん」
ヤバい
声もカッコいい…
この日
小さな恋が芽吹いた