9、あの娘の運命の人(達)〜攻略キャラのお話〜
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乙女ゲームに必須なもの、それは攻略対象たる男性キャラクターたちです。
彼らとヒロインの恋愛こそが、乙女ゲームと言われるものの肝なわけでして……今回はそんな攻略キャラクターたちについて語ってみたいと思います。
攻略キャラクターの平均人数は最近の傾向ですと隠しキャラ込みでだいたい六人前後でしょうか。もう少し多いものもありますが。
少なくて二人、多いと二十人超えとかもあります。
前者の場合は少人数であることを活かしたコンセプトや明確なテーマがあるものが多いですね。共通項のある攻略キャラクターをグループ分けしてシリーズ展開するものや、『彼氏と友人の間で揺れ動く恋』といったテーマのものなどがあります。こういった作品はゲームだけでなく、ドラマCDやシチュエーションCD(あるシチュエーションやキャラ設定に特化して声優さんが演じる類のCDのこと。例・羊を数えて眠りを促すシリーズなど)などが同時展開してることもあります。
後者の人数が多いものは既存のアニメ、小説、漫画などを乙女ゲーム化したものなどによくあるケースです(例・少年漫画である某庭球のプリンスを乙女ゲーム化した作品など)。
次に年齢設定ですが、ヒロインを16歳とした時、だいたい下はー5歳、上は+15歳くらいまでですかね。
下限はともかく、上限はないものとしても構わないと思います。
親子ほど離れた年齢差も少なくはないですし、人外長命設定であるなら数えるだけ無意味でしょうから。
年下キャラの将来性に期待するも良し、年上キャラの大人の魅力や垣間見える少年っぽさなどにキュンキュンするも良しですよ。
容姿は女神かと見紛うほどの美形から、某国民的アイドル集団のように身近なちょっとかっこいい男の子やフツメンまで様々です。
まあ、フツメンという設定でもそこは乙女ゲームですからキャラクターデザインはそれなりにかっこいいわけですが。
長身もいれば、中肉中背、時には年上だけどヒロインより低身長のキャラクターもいます。
あ、あと古今東西世界を問わず眼鏡キャラは人気があります。
私も眼鏡、大好きでして。
眼鏡は顔の一部って本当ですよね。
性格、ヒロインとの関係性などの属性について。
性格面は俺様、真面目、クール(クーデレ)、紳士、シャイ、天然、ドS、性悪、ツンデレ、ワイルド、ワンコ、やんちゃ、軟派、ヘタレ……などなどありますが、一つの方向に特化してるキャラクターもいれば複合性のあるキャラクターもいます。一見クールだけど実はシャイとか、ワイルド系紳士、俺様だけどヘタレとかですね。
ヤンデレは表層的なものであることは殆どないですね。そういう素質を持っているキャラクターがいて、ある瞬間に発露する傾向にあると思います。たまに目に見えてヤンデレってキャラもいるので一概には言えないですけど。
ヒロインとの関係性は同級生などの友人知人、幼馴染、義理の兄弟、従兄弟など縁戚関係、先輩後輩、主従関係、師弟関係や客と店員や上司部下といったものも。幼馴染で主従関係や従兄弟で先輩後輩など複合的な要素を持っている場合もありますね。
ゲーム開始時点からある程度接点があるパターン、一から関係を築いていくパターンがあります。
なろうではたまに『どっちがどっち』遊びを仕掛けるような双子の攻略キャラクターがいますが、実際には双子の攻略キャラクター自体少なく、そういう傍迷惑な真似も見かけることはありません。
双子のキャラクターは皆無ではないので、双子ならではのシンクロニシティや彼らのアイデンティティへの葛藤や鬱屈のようなものは攻略する上で鉄板なネタではあります。
ところで……乙女ゲームをプレイしているとたまに攻略キャラクターを張っ倒したくなる衝動に駆られることがあります。
リア充爆発しろとか、恥ずかしい台詞に悶えているからではありませんよ?
どういうことかと言いますと……
好感度が低い時のとっつきにくさはまだ許容できることもありますが人としての最低限の礼儀はどこ行った?な場合もありまして。
その他にも横柄な態度、口が悪いとされているキャラクターのあまりにも酷い暴言、描写不足によるものもありますが唐突感溢れる親愛表現、『おまえのため』と言いながら実は自分のために突き放す行為などなど……『おまえら人の話を聞けよ!』とか『ヒロインになにしてくれてんじゃあっ!』とディスプレイに向かって突っ込むことも数知れず。
先日、Twitterで即バッドエンドでもいいから攻略キャラクターを『殴る』という選択肢かコマンドがほしいというリツイートが回ってきました。
同意する乙女ゲームユーザー多数。
私も激しく同意します。
そういうユーザーは別に珍しくないかと……乙女ゲーム未プレイの方には意外に思えるかもしれませんが、事実なんですね、これが。
彼らは二次元だから存在を許されるのだと心から思います。
そんな風にイライラ、モヤっとするほど『見てろ!おまえなんかヒロインにメロメロにしたらぁっ』と闘志を燃やすわけですがね。
『めっちゃ、男前!それでこそヒーロー!!』みたいなキャラもいないわけではありませんが、そんなキャラクターであっても彼らは二次元の存在であって欲しいですね。
人間的に出来てるキャラクターに限って、抱えてるものや背負ってるもの、その他にも外的な要因で問題があることが多いもので。
そうでなくても攻略キャラクターという存在自体、規模は世界レベルから個人レベル、ハードルの高さもまちまちですが何かしらあるわけですよ。
ヒロインはカウンセラーよろしく彼らに関わる問題を解決し、艱難辛苦を乗り越えていく……乙女ゲームに於ける一般的な恋愛過程ですが、そこにヒロイン自身の問題も解決しなければいけないとなれば正直ライバルにまで手が回らないんじゃね?と思わなくもありません。
ヒロイン&攻略キャラクター的にも、製作陣的にも。
ちょっと話が逸れますが、ライバルキャラクターという存在は諸刃の刃だと思うんです。扱いによってはユーザーにドン引きされるリスクもありますから。ライバルを設定しない作品が多いのはそういうこともあるのかもしれませんね。
ユーザーは別にライバルにいびられるヒロインを見てイライラしたり、ざまぁしてやったと勝ち誇りたいわけでもない。
そんなことよりキュン萌えできるような恋愛をガッツリ描いてほしいものなのです。
もちろん、上手く効果的に描いてくれるなら好敵手でも悪役でもいてくれて構わないわけですが、個人的に誰かを蹴落とすっていうのは例え『ざまぁ』と思ってもあまり後味よろしいものではないので、安易に使って欲しくはないですけどね。
正直、イライラするのは攻略キャラクターの言動だけでお腹いっぱいです。
六話目で触れましたが、攻略キャラクターの女性問題は地雷とするユーザーが多いです。
元カノの存在を仄めかしたり、初恋を拗らせて引きずっているパターン、恋愛感情でなくともヒロインより大切な女性がいる。
私自身は自作などでもヒロインに切ない想いをさせるのが大好きな人間なので、恋愛のスパイスとしてはそういう設定はありだと思ってます。
年嵩の攻略キャラクターですと全く経験がない方が、納得のいく理由でもない限り首を傾げますし。
乙女ゲームでは最終的にヒロインを心から愛して、共にいることを選ぶハッピーエンドがある、という前提条件がありますけどね。
とにもかくにも攻略キャラクターには、ヒロインを大切に愛してくれる……そんな存在であることを望みます。
次回は世界観や乙女ゲームの舞台などについて触れたいと思います。




