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夫から見た妻

活動報告にあるリクエストでジルから見たリズの色気についてです。短め。

 私の妻は美しい人だ。


 本人は否定する、というか「そりゃあそこそこに整っている自覚はありますけど、絶世の美女ではない程度ですよ」とは本人の談だが、私にとっては誰よりも美しいと思っている。


 妻から言わせれば身内贔屓だと言われるのも理解しているが、それは仕方のない事だとも言える。私は彼女に惚れ込んで、紆余曲折の末にこの手に収める事が出来たのだから、容姿も性格も何もかも好きだ。

 ……そう目の前で言ったら照れて暫く顔を上げてくれなかった所も可愛いと思う。勿論、少々物理的な手段で上向かせたが。


「……あのですねジル、幾ら二人きりだからって、急にされても困るのですけど」


 唇を離して暫くとても他人には見せられないようなとろけた顔をしていた妻は、口の端から零れた唾液を拭いながら不満も露な眼差しを向けてくる。

 それが本気ではない事も分かっていたので、苦笑しつつまだふやけ気味な頬に口付けて宥めるように抱き締めたら、逆に腕の中でもがくリズ。恥ずかしい、と宣う彼女は二児の母で、互いに知らない事はないというのに恥じらうのだから、堪らない。可愛い奥さんだ。


「良いじゃないか、久し振りだろう」

「この間そう言ってベッドに引きずり込んだのは覚えてますからね。もう。一体何なのですか」

「リズは可愛いな、と」

「そりゃあそうでしょう、あなたの奥さんですからあなたにとっては物凄く可愛く見える補正がかかっていますもの」

「補正なしでも可愛いし綺麗だと思うけどね」


 する、と髪を手櫛で梳き額に口付けると、さっと赤らむ頬。


 リズはあまり信じていないようだけど、リズは可愛らしいし、少し私が触れ方を変えれば途端に色っぽくなる。


 結婚した当初はあどけなさが強かった容貌は、今や大人のもの。端整な顔立ちはそのままに、美しさに磨きがかかっている。

 義母であるセレン様の血が色濃く引き継がれているので、妖艶とは言わないが清楚な色香があった。


 口付ければ紅玉の瞳は直ぐに滴りそうな瑞々しさを産み出すし、白磁の肌は内側から火照り薔薇色に色付く。

 本人は気付いていないのかもしれないが、ねだるようにほんのり開かれた唇の艶やかさといったら、今すぐに吸い付きたくなる程。


 ヴェルフ様には程々にしておけよ、とご忠告頂いているので勿論無理強いはしないが、やはり最愛の妻を目の前にして我慢しきれるかといえば無理だろう。

 子供が居れば自制心が働くものの、二人きりだとどうしても触れたくなる。リズが嫌がらない範囲での触れ合いに留めるつもりではあったが、やはり、可愛い。


「全くもう。あなたってば、私に骨抜きですね?」

「昔からだろう、何を今更」

「……それもそうですね」


 ころころと笑ったリズに、私も苦笑してそのまま柔い頬に口付ける。

 今度は拒まずにくすぐったそうに瞳を細め、甘えるように喉を鳴らしたリズ。


 昔からリズに首ったけなのは、今更だろう。リズが思うよりも、私は長く想って来たのだから。

 最初は、庇護欲と敬愛から。それが異性としての情になったのは、いつからだっただろうか。女性らしさが増してきた頃には、もう好きだったような気がする。


 首筋に指を滑らせれば敏感に反応して鼻から抜けるような甘い声で囀ずる妻に、一瞬理性が飛びかけたものの頬を撫でるだけに留めておく。

 上気した頬に潤んだ瞳で見上げられて堪える事の出来た私を自画自賛したい。


 ……そうやって煽っている自覚がないのが一番質が悪いんだけどね。


 無意識に色香を出す愛しの妻に苦笑して、今は触れ合うだけに留めておこうと決めた、そんな昼下がりの事だった。

 大変私事でございますが本日でデビュー二周年です、いつも応援ありがとうございます!

 これからも佐伯と作品を応援していただければ幸いです!

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