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人外さんの異世界旅行記  作者: 洋風射手座
第四章 頑張る人外さん
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急展開

騎士男視点です。


ごゆっくりお読みください。

 王城の中は平和だ。もう私の心に積もりゆく心配事など皆無と言っていい。


 実際には魔族との戦争が待ち受けているわけだが……そのことは以前から覚悟の上、今の私にとっては些細なことのようにすら思える。


「最近は随分とご機嫌ですね、アレックス」


「クリスか。それも当然のことだろう?」


「……ええ、まぁ、あのお二人に煩わされることが無いと考えれば、貴方の苦労がどれほど軽くなったかも分かろうというものですが……」


 苦笑しながら答えるクリスティーナに、こちらも益々笑みが深まる。分かってくれる人がいたか、と。


「魔力ダダ漏れの勇者様に接近して落ち着かせたり、王女様について嘘を重ねたり……騎士団長のすべきことではなかったからな。今までがおかしかったんだ」


 王城の大食堂。使用人や騎士、魔導師たちが利用するここは、朝昼夜のいつでも食事が用意されている。料理人も腕の良い者たちばかりで、味は最高級だ。そこで昼食を終えた後の、ちょっとした談笑だ。


 数日前、シエル王女が改心し、ミドウ様が帰還なさった。


 私たちが色々と説明を求めると、ミドウ様はある程度の条件を付けて話し出した。


 条件というのは、シンイチ様に余計な手出しをしないこと、だった。無論承諾した。


 ミドウ様によれば、シンイチ様は元気にしておられるようだった。私としては嬉しいことだ。


 それと、予想してはいたが、シンイチ様と例の冒険者「S」は同一人物だった。詳細は省かれたものの、彼にも勇者としての力があったのだろう。


 もう一つ、喜ばしい話があった。


 どうやら魔族側では人間との共生を望む声があるらしいのだ。魔族のトップたる魔王がそれを掲げている、ということなので、もしかしたら戦争は起きないかもしれない。


 ただ、決して油断はできない。二派閥に分かれて意見をぶつけ合った結果、魔王側が負けてしまえばすぐにでも攻めてくるだろうからだ。


 情報源はシンイチ様だという。何があったのか魔族と出会い、そんな話を聞いたそうだ。


 ……その魔族に騙されている、なんてことは無いだろう。シンイチ様は知力に優れる方であるし、嘘など容易く見破ってしまうはずだ。


 何にせよ、僅かながらでも安心できる要素が生まれたのだ。


 食後の紅茶を飲みながらクリスティーナと世間話をする。休日に妻や子供とどんなことをして過ごしたかを聞かせたら、何故か機嫌を損ねてしまった。やはり他人にはつまらない話だったのだろうか?


「……少しくらい、私とも……」


 ぶつぶつと何事か呟くクリスティーナ。幼少の時からの一番の親友だが、未だにこの「独り言」で何を言っているのかは聞けたことが無い。


 まぁ、いつものことだ。そう気にすることでもないだろう。


 気がつけばカップが空になっていた。楽しい時間というのはあっという間だ。


「さて、そろそろ仕事に戻るか。今日は訓練は休みだが、書類が溜まってるんだよ」


「あっ……そう、ですね。私も幾つ処理したい案件がありましたし、新人魔導師の指導に行かないと」


 席を立つとクリスティーナが一瞬寂しそうな顔をしたが、すぐに元に戻った。毎度のことながら、何だというのだろう?


 疑問に思うものの、深く考えることはしなかった。クリスティーナは元々、一人で考え込む癖があるからな。私が口を挟んでも意味が無いのは、これまでの経験から学んでいる。


 と、その時。胸元にしまっていた通信用の魔導具が震えた。通信が来たという合図だ。


 相手は……ミドウ様? 王都を警邏中の部下からなら分かるが、どうしてあの人から……


「どうしたのですか?」


「……ミドウ様から通信が入った」


「え、それって、もしかして……」


 クリスティーナの表情が固くなる。恐らく、考え得る中でも最悪の想像をしたのだろう。


 私も少しだけ考えた。


 まさか、魔族が行動を始めたのではないか、と。


 魔導具に魔力を流し込むと、頭の中に直接ミドウ様の声が響いた。魔導具を用いた念話だ。


『ミドウです。騎士団長さんですか? 聞こえてます?』


「ええ、聞こえています。どうなさったのですか?」


 緊張が表れないよう、できる限り冷静に。


 クリスティーナが心配そうな面持ちでこちらを見ている。下手をすれば今からすぐに魔族との戦争に駆り出される可能性もあるのだ。無理もない。


 私たちの様子で何かを察したのか、大食堂で食事をしていた者たちが静まり返る。


『驚かないで欲しいんですけど……』


「………………………………え?」


 痛いくらいの沈黙の中、伝えられた驚きの事実に、私は間抜けな声を漏らしてしまった。


 呆然とする私に構うこともなくミドウ様は一言、二言残して通信を切ってしまった。


「ど、どうしたんです? 一体、何が……?」


 不安を隠すこともなく詰め寄るクリスティーナに、私は思考をまとめることもできないまま、教えられた事実だけを簡潔に述べた。











「……戦争、終わったって」















「「「……………………はい?」」」


 大食堂内にいた全ての人が同じ気持ちになった瞬間だった。




なんだよこの話は!


……って思われた方には申し訳ございません。


はい、四章が終了しました。変な終わり方なのは仕様だということで。


幕間は一話だけの予定です。人外さんの四ヶ月間はあんまり考えてませんので、書くことはないかと。


五章が最終章になる……はずです。ラストスパート頑張ります!


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