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人外さんの異世界旅行記  作者: 洋風射手座
第三章 旅、それは男のロマン
55/93

人外さん、魔族に出逢う

遅れてしまい、申し訳ありませんでした。


ごゆっくりお読みください。

  さて、時は流れて翌日。


  バロックとの一件が終わる頃には既に暗くなり始めていたので、とりあえず近くの町まで降りて宿屋に直行。別れ際にディールから、


『困ったことがあったら言ってくれよ? 僕たちが力を貸す……まぁ、君に貸す意味があるかは分からないけどね』


  と心強い言葉を貰った。後半のセリフは要らなかったと思うが、俺の力が認められたということなんだと認識しておこう。一応、王らしいし。


  カインに乗せてもらってスカイウォールの麓に降りた時にはもう真っ暗だった。苦労して町を見つけ、もう明かりがついていない宿屋に無理を言って泊まらせて頂いた。少し悪い気がしたが、宿屋の主がバロックを見て鼻の下を伸ばしてたから別にいいだろう。


  で、一人部屋を借りて即行就寝。これについては、俺の独断では無かったとだけ言っておく。


  そして朝である。すぐ隣でぐっすり眠るバロックの頬を一撫でし、起こさないようにこっそりとベッドから抜け出す。完全に疲れもとれたし、今日一日頑張っていきますか……と軽い伸びをしたところで。


「………………!!」


  外から悲鳴のようなものが聞こえた。


  町の大通りに面した窓を開け放ち何が起きてるのかを確認する。


「助けてーーー!!」


  あっちか!


  女性の声だ。窓から飛び出し、声の聞こえた方に向かって駆ける。人外の聴力と脚力を活かして十秒かけずに現場に赴く。


  そこにいたのは尻餅をついて顔を真っ青にしている女性と、浅黒い肌に真っ黒な角と羽を持つ男がいた。


  いや、男というのは正しくないか。


  それは、魔族だった。


  姿形は王城で聞いたものと合致している。側頭部に生えた角は捻じ曲がっており、背から見える羽は蝙蝠のそれだ。それ以外は人間となんら変わりがないというのが不気味に思える。


  魔族が口を開く。


「キャアーーーーー!!」


  それに怯えた女性が悲鳴を上げた。


  傍から見れば魔族が人間の女性を襲おうとしているように見えるのだろう。


  しかし、今のやりとりで俺はその可能性を捨て去った。


「だ、大丈夫ですかー」


  混乱している女性に駆け寄って、我ながらあり得ないほどに棒読みで声をかけた。俺に気づいた女性は安堵の表情を浮かべ、魔族はビクッと反応した。


「俺は冒険者です。ここは任せて、早く逃げてください」


  コクコクと頷いて立ち上がり、脇目も振らずに逃げていった女性の背中に嘆息し、突っ立ってるだけの魔族の相手をする。


「で、お前は何を聞きたかったんだ?」


「え、あ、あれ? 魔族語が分かるの……?」


「ああ、不思議なことにな」


「あ〜よかった。やっと話ができる人がいたよ〜」


  先ほどの女性以上に安堵した様子の魔族。見た目とのギャップが恐ろしい。


  俺が「女性が魔族に襲われている」という可能性を捨てた理由が分かっただろうか?


  この魔族はさっき口を開いた時、こう言っていたのだ。


『あの、聞きたいことが……』


  その先は女性の叫びで掻き消されたけど、それが聞き取れれば十分。こいつに悪意や害意なんて無いだろう。


「僕、ゾフォンって言うんだ。君は?」


「俺は渡良瀬 晋一だ」


「シンイチだね。早速で悪いんだけど、ここってどこ? リオス大陸みたいだけど……」


  ん? その口ぶりだと、分かっててここに来たわけじゃなさそうだが……


「ここはリオスだ。ゾフォンはなんでここに来たんだ?」


「んー、それは僕にも分からないんだよね。魔王城の廊下を歩いてたら急に飛ばされちゃって、気がついたらここにいたんだ」


  道が分からなくて聞こうとしたんだけどね、と力なく笑うゾフォン。その結果として叫ばれたら泣きたくなるな、少なくとも俺は。


  というか、魔王城か。魔王いるんだな。その中を歩いてるこいつはそこそこに位の高い魔族で、飛ばされたのは誰かの陰謀か何かか?


「お前、魔族ではどんな立ち位置なんだ?」


「へ? 一応、魔王側近、もとい摂政だね。国政を一手に任されてるけど……いきなりどうしたの?」


「いや、気になったんでな」


  実質的なトップだった……


  つーか、そのレベルの人員が飛ばされるとか、魔族の国は荒れてんのか。それに魔王は政治ができないらしいな。


「ゾフォン。ここでのんびりしててもいいのか? 結構マズイと思うんだが」


「あれ、よく分かったね。今、ノーグラスは大変でさ〜。政敵が多い多い! 改革派が現魔王を引き摺り下ろそうとしてるんだよね〜。僕も忙しくて仕方な……」


  大変なのか、と思っていたらゾフォンの表情が固まった。


「あー! そうだよ、大変なんだよ! 早く戻らないと書類の処理が追いつかないー!!」


  頭を抱えて転げ回るゾフォン。なんだこれ。魔族って人間のこと襲うんじゃなかったか? こいつを見てるとどうもそんな感じはしないんだが……


「じゃ、じゃあねシンイチ……って僕転移術使えない!? どど、どうすれば……!」


  アワアワし始める。


  ……心配なのは書類だけなのか? 改革派とやらが魔王に危害を加えるとは考えないのだろうか。


  それとどうしても気にならずにはいられないことがあるんだよな。


「なあゾフォン。人間に対して宣戦布告してきたのって、お前らか?」


「ちっがーう! あれは改革派の独断! 僕たちは穏健派で、人間とも共生しようと考えてたんだよ!」


「そ、そうか。なんとなく予想はついてたけどさ、確認しようとしたんだ」


  現魔王は悪い奴ではない。その側近であるゾフォンも、まぁ、悪い奴ではなさそうだ。それなら……


「あー、ゾフォン? 送ってってやろうか?」


  宣戦布告が来てからもう二ヶ月近く経ってる。大きなラグがあると思っていたが、それは現魔王やゾフォンが抑えていたからなのだろう。このまま改革派を潰して戦争が無くなれば、亜人娘たちを危険に晒す可能性が大きく減るだろうから、という打算から来た提案なんだが……


「本当!? 是非、お願いするよ!!」


  ……双方に利益があれば問題無し。こいつは早く戻って書類をどうにかしたい。俺はこいつを戻して穏健派を安定させたい。オールオッケーだ。


「じゃ、ちょっと待っててくれ」


  合掌して俺を拝み倒しているゾフォンにそう言い残して、俺は宿屋へと走っていった。






 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「あばばばばばばばばばばば」


「おい、しっかりしろ。もうすぐ着くぞ」


『シンイチ! ご褒美が欲しいぞ!』


「後でなー!」


  高度六千メートル程を高速で飛行するのは、深紫の巨大なドラゴン。異世界「アーク」において最強の座に(最近まで)君臨していた存在の一角、バロックである。宿屋に戻った俺は寝ぼけ眼のバロックを連れてゾフォンの所に行き、一旦町から離れてことを始めた。とは言っても、バロックが龍化しただけだったが。


  最初は綺麗な人だね、とか溢してたゾフォンだったが、ドラゴンになったバロックの威圧に中てられて白目を剥いて泡を吹き出した。魔族も絶対種には勝てないのか。仕方なく首根っこを掴んで空の旅へ、というわけである。


  頭一撫でで超加速したバロックのおかげで、僅か十分程でノーグラス上空にやってこれた。前方遥か下に大きな城が見えるが、あれが魔王城だろうか。


「バロック! もうそろそろ降りてくれ!」


『分かったぞ!』


  一気に降下する。ものの数十秒で着陸し、バロックの背中から飛び降りる。未だに失神しているゾフォンの頬をペチペチ叩く。ここで力加減を間違えたら真っ赤な華が咲くことになるので、慎重に。


「おーい、起きろー」


「ぶっ! くべっ! ぶばっ! い、痛い痛い!」


  お、気づいたか。


「うぅ……ってあれ? あれ!? ノーグラスじゃないか! 一体どうやって……」


「どうでもいいだろう。ほら、早く戻ってやれ」


「え、う、うん。そうだね。よく分かんないけど、ありがとうシンイチ! このお礼はいつか必ずー!」


  首を傾げつつも、羽をはためかせて魔王城へと飛んでいくゾフォン。また会えるかは不明だがな。


  ……起こす前にバロックを人化させといて正解だな。どうやらドラゴン云々のことは忘れてたっぽいし、それならそれで都合が良い。


「シンイチー!」


「ん? ああ、ご褒美ね」


  飛びついてきたバロックを抱き止めて、ギュッとしながら撫で撫での連撃を繰り出す。それだけで幸せそうに蕩けていくバロックは、見ていて面白い。


「ふへぇ〜……」


「よし、もう帰ろう。向こうに着いたら美味しいもの沢山食べていいぞー」


「本当か! 我は聞いたからな!」


  勢い込んで服を脱ぎ、ちゃっちゃと龍化する。龍化の前に服を脱ぐのは経済的な理由からであって、俺の趣味とかでは断じてない。ないのである。


  にしても、食欲は相変わらずか。なんつーか、こいつは色気より食い気だな。


  そんなことを思いながら、不毛の荒野が続くノーグラス大陸に別れを告げた。


  意外と早く「お礼」を受け取ることになるとは、この時の俺は考えてもいなかった。






 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「シンイチぃ、は、速すぎだぞぉ……」


「悪い。バロックなら耐えられるかと思ったんだが……」


  口許に手をやってしゃがみ込むバロックの背中を優しく摩ってやる。


  今は昼ピッタリ。ゾフォンを送ってから四時間後だ。


  ここはキュボエの町の入り口。さっきまでリオス北部の町にいたのに何故南部のキュボエにいるのかと言うと……俺が走った、で理由としては十分だろう。


  その過程で背負われていたバロックが酔ってしまったらしい。必死に朝食が逆流するのを堪えてる姿に罪悪感を感じてしまう。次にやる時は気をつけよう。


「やっと落ち着いてきた……もういけるぞ、シンイチ」


「そうか? 無理はしなくていいからな」


  ゆっくりとギルドに向かい、ゲルグの爺さんの部屋に直行。途中で若い冒険者にサインを強請られたが、丁重に断らせてもらった。なんか「虹の覇王」とか言われてたけど、それは俺のことじゃない。ないったらない。


「……お前さん、遠慮ってもんが無いの。別に構わんが」


  あ、アポ無しで来ちまった。マナーがなってないな、それは。今後は扉をノックするくらいはしよう。


「爺さん、ステータスプレートを使わせてくれ」


「勘違いして欲しくないが、ここはステータスを見る場所ではないぞい?」


  なんだかんだ言って一枚の板切れを出してくれた爺さんに感謝し、歯で指を傷つけて流れた血をプレートに押しつける。


  さあ、古龍たちとの連戦の成果はどうなってるかな……


  出てきた数字を確認し……プレートをそっと伏せる。


「なんじゃ、また上昇しておったのか? どれどれ……」


  裏返しになったプレートを手に取り、直後に無表情になった爺さん。俺と同様に、そっとプレートを伏せる。


「………………」


「………………」


  無言。


「シンイチ、何があったんだ? これが原因か?」


  無表情でプレートを見つめ続ける俺と爺さんを訝しんだバロックが、プレートを確認して眉を顰める。


「……? ただの数字の羅列ではないか。どうしたんだ?」


  爺さんと見合わせ、同時に大きな溜息を吐く。不思議そうにしてるドラゴン様が羨ましいと、思わないでもない。


  それもそのはずだ。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


  名前 ワタラセ シンイチ


  種族 人

 

  年齢 18

 

  性別 男

 

  ステータス

  ・体力 612000

  ・魔力 10

  ・筋力 "#&%**>"&#%&$)}*}*:/]@"#67¥

  ・耐久 69629600

  ・知能 34500

 

  スキル

  ・完全言語


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


  こんなステータスを見たならば。




アーチェリーしてたら書く時間が無かった。

ただ、それだけのこと。


申し訳ありませんでした!

多分、次の更新も遅れると思います。場合によっては週に一、二回の更新になることもあると思うのですが、続けてお読み頂ければ幸いです。


ゾフォンと会った町ですが、騒ぎにはなってません。女性が喧伝しなかったからです。


あと、晋一のステータスがインフレ起こしてるのは仕様です。想定より高くなったけど、仕様なんです。


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