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人外さんの異世界旅行記  作者: 洋風射手座
第三章 旅、それは男のロマン
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人外VS古龍1

長かったので分割しました。そのせいで逆に短くなっちゃいましたが……


ごゆっくりお読みください。

『それじゃ、最初は僕から〜』


  一対一で戦うということで古龍たちが順番決めでもめていたが、一番手はノットになったみたいだ。ジャンケンをしていたように見えたのは気のせいか?


「なぁ、武器を使うのは反則じゃないよな?」


『ええ、構いませんよ。クフフフフフ』


  審判を務めるワースに確認して安心する。ハルを使えなかったら少し辛かっただろう。


『よろしくね〜』


「ああ、よろしくな」


  間の抜けたノットの声に気勢を削がれながらも、意識を身体に向ける。


『それではいきますよ? ……始めです!』


『【地龍槍】!』


  ワースの合図と同時にノットが魔法を放ったのか、足下から何本もの槍が飛び出してくる。


  それに対して、



「……ふっ!」


『えっ……?』



  七割の力で地を蹴り、突き出た槍が胴体に届く前にノットの懐に潜り込む。


  その対応が予想外だったのか、ノットは呆けた声を漏らした。


  のんびりしてんのは致命的だな。


「ハルッ!」


『了解です』


  ハルが事前に伝えていた形、ボクシングのグローブのように右の拳に纏わりつく。



「死ぬなよっ!」



  十五メートルはあろう黄色い巨躯の体側に、跳躍して全力に近いパンチを繰り出す。


  ノットは咄嗟に飛び上がろうとするが、遅い。


 

『ぐ、うぅあッ!!』



  拳が脇腹に当たり、衝撃を殺し切ることができなかったノットが数十メートル吹き飛ぶ。


  ……弾け飛んだりしなくてよかった。


『くぅぅ……凄い一撃だけど、まだ負けてないよ……ッ!』


  流石は古龍といったところか、少しよろめきながらも立ち上がった。



  けど、それをただ見てるわけが無い。



  着地と同時に駆け出していた俺は、再度ノットの脇腹目掛けて攻撃する。



「もう、一発ッ!」



『ガハァッ……!』



  先のものと同じ力で加えた追撃に、ノットはまたしても吹き飛んでいった。



  地面を滑っていき、止まる。今度は出方を伺ってみるが、ノットはピクリとも動かない。


『……ノット、戦闘不能ですね。クフフ、シンイチ様の勝利です!』


  倒れ伏すノットの状態を確認したワースが判定を告げる。その声には歓喜の成分が強く含まれている。


「……ふぅ、勝ったか」


  その場で大の字に寝転び、軽い悲鳴を上げる筋肉を休ませる。急に運動を止めるのは良くないらしいが、俺だし、いいだろう。


『ノットのヤツ、油断しやがって。だから言ったんだ、こいつはやるッてよォ』


『魔法よりのノットに対して、息もつかせぬ接近戦か……うん、いい戦い方だね』


『私たちではできそうもない戦法でしたがね、クフフフフッ!』


  観戦していたカインたちが楽しそうに批評を述べ始めた。ジンが気を失ったノットを運んでいくのが見えたので、俺は体を起こした。次の勝負だな……


『はいはーい! 私の番だよー! バロちんが認めたその力、見せてもらうよー?』


  フィトムが元気良く登場してきた。


  身体の痛みもほとんど抜けた。超回復の速度も相当に上がってるっぽいな。


『二人とも、用意はいいか?』


  審判であるジンの問いかけに、俺とフィトムは頷く。


『ノットみたいに簡単にはやられないよ?』


「そいつは手強い。ま、頑張らせてもらうよ」


  自信満々なフィトム。応える俺は適当だが、気は抜いていない。



『では参るぞ……始めっ!』



  開戦。



  その瞬間に、フィトムがエメラルドグリーンの残像を残して消えた。



  龍化したバロックの二分の一くらいの小柄なフィトムだが、その分スピードは誇れるものがあるらしい。



『あはっ、【風塵乱舞】!』



  背後から聞こえた笑い声。その後に続いた呪文によって、俺に周囲に視認できるほどの風の猛威が渦を巻いた。



「ハル、団扇」


『了解しました』



  迫り来る暴風に対し、巨大な団扇になったハルを掲げる。



『切り刻まれちゃえー!』



  可愛らしくも残酷なセリフが耳に入った直後、暴風が一気に狭まった。



「目には目を、風には風を……ってな!」

 


  しかし、俺が渾身の力で団扇状のハルを振り下ろすと、それによって巻き起こった風でフィトムの風塵乱舞は消し飛んだ。



『う、嘘っ!? キャアァァッ!』



  俺が起こした風はそれだけに留まらず、丁度滞空していたフィトムを巻き込んで地に叩き落とした。



「今だっ! ハル、棍棒!」


『鬼畜ですねマスター』


「うるせぇよっ!」



  失敬な言葉を吐きながら太い棍棒になったハルを掴み、起き上がろうとしたフィトムの頭を殴りつける。



『ッ……!』



  ゴガッ! という鈍い音がして、フィトムは呻き声すら漏らさず崩れ落ちた。


『勝者、ワタラセ シンイチ!』


  詳細を見ること無くジンが勝負を終わらせる。まぁ、今のはちょっとだけ手を抜いたから死んではないだろうけど……傍から見ると危ないシーンだよな。


『おいおいおいおいおいィ! フィトムまでのしちまッた! やっぱ強えじゃねェか、シンイチィ!』


『……ドラゴンの魔法を打ち消した? これは面白くなってきたね……!』


  カインにつられてディールまで興奮してきている。ぐったりとしたフィトムをジンが運んでいき、ノットの隣に横たえる。


  ……風塵乱舞とやらを消した時に生じた筋肉痛のような痛みは、もう引いている。


  意識を身体の奥底に落とし、力を引き出していく。ノットと戦う前よりも、出力のストックが増えている気がする。


『クフフ、お疲れですか? 今度は私がお相手しましょう……』


  純白で細身のドラゴン、ワースが正対する。相変わらず気持ちの悪い笑い方だな……


『オッシャァ! めんどくせェからちゃッちゃといくぜェ! 始めろォ!』


  自分の番を待ちきれないのだろう、カインが唐突にゴングを鳴らした。



『クフフフ、行きますよ……』



  翼を打って急上昇したワースは、滞空しながら身の丈ほどもある魔法陣を展開する。



『【氷結陣】!』



  高らかに謳うワースが大きく羽ばたき、凍てつく風が吹きつける。



  パキパキパキと、極寒の風が空気中の水分ごと全てを凍らせていく。



  地面が凍結していき、足下から徐々に侵食されていくが、俺は気にせずにハルに変形を求める。



「ハル、ブーメランになってくれ」


『……当ててくださいよ?』



  珍しく不安げなハルが、俺の上半身と同じサイズの特大ブーメランになる。



「外す気がしねぇな……!」



  空中から死の吹雪を放つワースに狙いを定め、振りかぶったハルを慎重に投げつける。



『クフフフッ! そんなものに当たるわけないでしょう!』



  魔法を中断したワースがハルを回避する。その隙に下半身を覆っていた氷を身じろぎだけで粉々に砕く。



『クフフ、それでは次の魔法をクハァッ!!』



  愉快そうに笑うワースは、しかしながら途中でそれを妨害される。



  そう、高速で旋回してきたハルに打ち据えられて。



  油断していた背後に時速四百キロ超かつ超重量のオリハルコンがモロに直撃したワースは、悶絶しながら墜落した。



「ハル! 球形になれ!」



  ワースにぶつかって真上に弾かれたハルがバスケットボール大の球になり、落下していく。



  その下には、痛みで起き上がれないワース。



『グホァアッ……!』



  ズドンッ!



  非力そうなワースには重すぎたのか、ハルの高所落下によって押し潰されてしまった。



『勝負ありだァ! ワースゥ、テメェもっと力つけろォ!』


  カインがヒキガエルのようになったワースを笑って、三回戦目が終了した。


『どんな形にもなる武器か……厄介だね』


『それに彼奴の身体能力、俺に匹敵するやもしれん。ふっ、久々に心踊るぞ』


  ディール、ジン、カイン。


  残る古龍は、この三体だ。




バトル回でした。


ちょっと晋一が不真面目に見えますかね?


誤字・脱字の指摘、感想、評価などをお待ちしております。

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