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人外さんの異世界旅行記  作者: 洋風射手座
第三章 旅、それは男のロマン
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次の街へ

お気に入りが100件。読んでくださってありがとうございます!


ごゆっくりお読みください。

  うーん、さっぱり理解できない。恋する乙女のような仕草だなー、なんて思ってたら主従関係を突きつけてきましたよ。おかしいなー。


  いやいやいや、どういう思考回路でそうなったのか教えて欲しい。なんで恥ずかしそうにしながら「下僕になれ」なんて言うんだよ。こいつ俺に気があるのか、とか思った自分をぶん殴って埋めてやりたいよ。


「……バロック、それはどういうことなんだ? 脈絡が無さすぎてついていけない」


「わわ、ワタラセは我のことを、その、想ってくれているのだろう? ならば主従の契りを交わすのは当然のことで……言わせるな、恥ずかしい!」


  顔を手で覆って縮こまってしまった。頭から湯気が出てるぞ……


  一旦バロックを落ち着かせてから、再度説明を求めた。すると、今度は冷静になって答えをくれた。


  ドラゴンには結婚という概念は無く、そこにあるのは主従関係のみだとのこと。それ故、一生を添い遂げたい程に好きな(ドラゴン)がいたならば、相手を打ち負かして配下にすることで「自分のもの」とし、擬似的な婚姻を結ぶらしい。かなり無理やりな気がするが、自然と敗者は勝者を慕うようになるので問題は無いみたいだ。


  先程のバロックの発言は、簡潔に言えば「私のものになれ」ということだったわけだが、それがドラゴンにとっては告白に等しい行いだとしても、人間にとっては横暴以外の何ものでもない。


「そそそれで、ワタラセは我の下僕になってくれるか……?」


  訳「私と付き合ってくれますか……?」って感じか。そう考えると初々しさがあっていいかもしれないが、如何せん下僕なんだよな。


  まぁ、答えは一つだな。


「断る」


「ええっ!? 何故だ! お前は我の側にいたいのではなかったのか!?」


  そこが勘違いなんだよ。訂正したいところだが、ここで怒らせでもしたら町がまた大騒ぎになっちまうからな。適当に言いくるめることにしよう。


「バロック。人間は主従とか関係無く寄り添うことができるんだ。お互いを対等と認め合ってこそ、それができる」


「対、等……」


「そうだ。互いを思いあうだけでいいんだ。それだけで、一緒にいることができる」


「そんな考え方があるのか……」


  本当はそれだけではないんだけどな。あえて言う必要は無いだろう。


「ああ。俺は、対等な存在としてお前の側にいたいんだよ、バロック」


「あぅ……分かった、我とお前は対等だ……」


  誤解にブレーキは無い。アクセルをベタ踏みした俺は、真っ赤になってるバロックを見てやり方を間違えたかと思ったが、そんな後悔は無意味である。


「……お前さん、すけこましと言われたことはないか?」


  爺さん、何故分かった……






  爺さんとの話を終えた俺たちは、一日休んだ後に町を出ることにした。長時間滞在するとバロックのことがバレてしまうかもしれないからだ。既に数人にはバレてるし、これ以上広まっては堪らない。


「おお、ブル。久しぶりだなぁ」


  ブルルッと鼻を鳴らすブルの頭を撫でる。これからの旅ではこいつに活躍してもらうつもりだから、しっかり可愛がってやろう。


「ワタラセよ、これからどこに行くんだ?」


  後ろからバロックが聞いてくるが、それは昨日の内に言った。忘れたのか聞いてなかったのか。


「こっから北に行ったところにあるルーフィムって街だよ」


  俺たちが行こうとしているのは、マグジェミナ王国第二の都市、ルーフィム。そこには「迷宮」という場所があり、冒険者なら一度は行ってみるべきだと爺さんに言われたので、そうしてみることにしたのだ。


「よし、準備もできたし、出発するか。バロック、荷台に乗っとけー」


「む、我はお前の隣に座るぞ!」


  預けておいた馬車の御者台に座って出発の旨を告げると、バロックはそんなことを言いつつ御者台に飛び乗った。二人分のスペースはあるから問題無いが、こいつが近くにいるとブルが緊張するんだよな。バロックがドラゴンだと感じているのかもしれない。


  まぁ、いいか。荷台は尻が痛くなるからな。ずっとそこに座らせるのもなんだし、こっちの方が話すのも楽だからな。


「ブル、ルーフィムの位置は分かるか?」


  訊くと、首を縦に振った。冗談のつもりだったんだが、まさか知ってるとは。ハイスペックすぎる。


「そんじゃ、ルーフィムに向かってくれ」


  ブルは短く鼻を鳴らすと、ゆっくりと歩き出した。キュボエの町の門を出て、のんびりと進んでいく。ブルは魔物だから一匹でも馬車を引くだけの馬力があるが、無理はさせないようにしないとな。


  なんて思っていると、隣からボソッとこんな声が聞こえた。


「ワタラセの方が速いな……」


  その途端、ブルがスピードを上げた。前方にいた馬車を追い抜き、まだまだ加速していく。って、いきなりどうしたんだ。もしかして、バロックの呟きを「もっと速く走れ」という風に受け取ったのか?


「おおっ! 速くなったな!」


  はしゃぐなよ、色々とまずい。馬車の揺れでブルンブルンしてる物体がさらに揺れてるじゃないか。それに、たまに見えるブルの横顔が必死なものになってる。後でしっかり休ませてやろう。


  爺さんの話だと、ルーフィムまで二週間だったか? それよりも速く着きそうだな。


  テンション高めのバロックと話しつつ、この先にあるだろう迷宮に思いを馳せる。どんなとこなんだろうか? 少し楽しみだな。






 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






  一週間で着いた。死ぬ気で走ってたブルは、昼と夜の二回しか休憩をとらなかった。途中で青い角が生えてきたのにはビックリしたが、それ以降はさらに速くなった。どうやら身体能力が強化されてるらしい。自分の意思で生やせるんだな。


  そんなこんなで過労でぶっ倒れたブルを宿屋の裏庭で休ませてもらい、俺とバロックはギルドのルーフィム支部に来ていた。


「なんつーか、デカイな……」


「むぅ、我よりも大きいとは。人間もやるな!」


  バロックから危ない発言が出たが誰も聞いてなかったみたいで安心だ。宿屋に帰ったら照れ隠しの刑だな。


  それにしてもここのギルドはデカイ。龍化したバロックが二十メートルくらいなら、ルーフィムのギルドは三十メートルはある。


「それに、冒険者っぽい奴らが多いな……」


  軽装の剣士みたいな男やローブを着た魔術師風の女など、男女混合で結構な数がいそうだ。街に入ってからギルドに着くまでで百人以上は見てる気がする。


  なるほど。これがルーフィム、別名「迷宮都市」ってことか。迷宮を目指して来た冒険者が多いから、ギルドの規模も大きくなってるってところか。


  ギルドの扉を開け、中に入る。すると、外には届かなかった喧騒が一気に溢れ出した。聞こえてくるのは自慢話や迷宮をどう進むかの作戦会議など、一様に迷宮関連のことだ。


「すいません、迷宮についての話を聞きたいんですが」


「ルーフィムへようこそ。迷宮に行くのは初めて……ですよね。ギルドカードはお持ちでしょうか?」


  受付嬢の営業スマイルが優しいお姉さんのそれに変わる。冒険者だと思われてないのか? まぁ、武器も防具も装備しないで普通の服で来てるんだから当然か。


「持ってますよ。はい、これです」


「お持ちでしたか。では、失礼します……」


  差し出したギルドカードを受け取った受付嬢は、それを確認すると訝しげな目を向けてきた。


「……このギルドカード、本当にあなたのものですか? 失礼ながら、Aランクの実力があるようには見えないのですが」


  ……本当に失礼だな。見た目だけで判断するのは良くないと思うぞ。現に隣で興味深そうに辺りを見回してるアホっぽい女は、その実この世界では「絶対」と呼ばれる存在だからな。


「……ありますよ。ここで証明することはできませんけどね」


「いえ、ただいまステータスプレートをお持ちしますので。それで判りますよ?」


  そう言うと、受付嬢はカウンター奥の部屋に入っていった。


  ……ややこしいことになった。俺のステータスは常識外れにすぎるから、あまり知られたくないんだ。運悪く王都まで噂が流れていった日には徴兵されること確実。


  そういや、御堂は何をしてんだろうな。元気にしてるといいんだが。


  少しして、受付嬢が戻ってきた。手には板切れが一枚。本気で疑われてんのな。


「お待たせしました」


  渡されるステータスプレートとナイフ。


  ……ここで断ったりしたらどうなるんだろうか? まず間違い無く迷宮についての説明を受けられない。他の冒険者に聞いてもいいのだが、確実性を求めるならギルドだろう。


「……分かりました。ただし、どんなことがあっても俺のステータスを口外しないと約束できますか?」


「ええ、できますよ。個人の情報を漏らすなどという失態、ギルド職員が犯すはずありませんから」


  キリッとして答える受付嬢だが、キュボエ支部の彼女は思いっきり叫んじゃいましたよ? たぶんそのせいで二つ名がついちゃったんですよ?


  なんとなく不安になりながらも、指先を噛んで血を出し、プレートに垂らす。ナイフを使わない俺に受付嬢が怪訝な顔をしたが、すぐにその意味が分かるだろう。


  ボンヤリとプレートが光る。その光は徐々に形をなしていき……




  バタンッ!




  受付嬢がぶっ倒れた。それはもう見事な倒れっぷりだった。ギルド中の視線が集まるくらいに。


「む、何があったんだ?」


  キョロキョロしていたバロックがプレートを覗き込んだ。


「むむむ? ワタラセ、これはなんなんだ?」


  眉間に皺を寄せて尋ねてくる。どうやら理解できなかったみたいだ。ドラゴンにはステータスという概念は無かったのかもな。


「俺のステータス、要は能力値だ。別段すごいものでもないぞ?」


「能力値?」


「どれくらいの強さかってことだよ」


「ふーん、そんなことか。戦ってみれば分かることではないか」


  適当に説明しつつ、プレートをそっと伏せる。バロックも興味を失ったのか、今度はフラフラと依頼書が貼ってある掲示板の方へと歩いていった。


  ……ふぅ、危なかった。気絶してくれて助かったな。周りから注目されてるが、誰もプレートの数字は見えてなかったっぽい。


  倒れている受付嬢に目をやる。白目剥いてるけど怪我とかはなさそうだな。


  倒れるのも無理はない。


  だって……


 


ーーーーーーーーーーーーーーーー


  名前 ワタラセ シンイチ


  種族 人

 

  年齢 18

 

  性別 男

 

  ステータス

  ・体力 153000

  ・魔力 10

  ・筋力 >`}}~'(:8o+*>%#|:*<O://:k!"")&?*

  ・耐久 3452400

  ・知能 34500

 

  スキル

  ・完全言語


ーーーーーーーーーーーーーーーー




  また強くなってるんだもの。




はい、また人間から遠ざかりました。


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