人外の魔力量………
二話目です。ごゆっくりお読みください
※「四千倍以上の」→「四百倍以上の」に修正しました。御堂が人外になるところだった……
見知らぬ少女のとんでもない電波発言の後、俺たちは何の説明も無いままに王の間へと連れていかれた。
その間、何故か御堂は俺の側を離れようとせず、ピッタリとくっついたままだった。もしかしたら不安なのかもしれないな。
「よくぞいらっしゃった勇者殿」
王の間では既に豪華な玉座に王が腰掛けていた。
とゆうか、また勇者か。やっぱり勇者なのか。
「失礼かとは思いますが、一つ質問をよろしいでしょうか?」
片手を挙げて尋ねる。本当は御堂に任せようと思ったが、緊張や恐怖からか御堂は隣で小さく肩を震わせているので、代わりに俺がやる。
「構わん。何だ?」
「ありがとうございます。ではお聞きしますが、その『勇者』というのは何のことなんでしょうか?それと今の状況を教えて欲しいのですが」
一つと言いながら二つ質問したけど、まぁ、いいだろう。
「それについては今から説明しようと思っていたところだ」
どうやら無駄な質問をしてしまったようだ。
王やその側近の説明によると、俺たちは勇者として異世界に召喚されたらしい。
一応腕を抓ってみたが、普通に痛かった。夢ではないようだ。
俺たちを召喚したのは異世界「アーク」における最大の人間国家であるマグジェミナ王国。アークに四つある大陸の一つ、東のリオス大陸の最東端に位置している。
そもそも何故彼らが俺たちを召喚したのかというと、原因は「魔族」であるとのこと。
魔族というのは角と羽の生えた知能を持つ人型の魔物であり、魔物ではあるが魔物とは明確に区別されている。
魔族は人間と比べて高い身体能力と膨大な魔力を有しており、人間とは犬猿の仲であるらしく過去何度も戦争を繰り返したそうだ。
因みに、明らかに実力差のある魔族と戦ってどうして人間が生きていられるのかというと、魔族はその絶対数が少なく、戦力は五分五分であるからだという。
ここ数年、そんな魔族による被害が激増しており、しかも最近になって魔族が人間に対して宣戦布告してきたというのだ。
それで、魔族に負けるわけにはいかないと、伝承にある勇者召喚の儀を行い俺たちがやって来た、ということらしい。
正直、迷惑極まりない話だ。要は戦争の道具になれというのだろう、誰が進んでそんなことをしようか。
帰る方法はあるかと聞いたら、なんと無いと言うではないか。
いくらなんでもそれはない。
俺は別に構わないが、御堂にとっては大問題だろう。
そう思って御堂を見たが、意外なことに平気そうな顔をしていた。平静を装っているだけかもしれないが、よく分からない。まぁ、俺が考えても仕方のないことだ。
一通りの説明を聞き終えた俺たちは、王国の騎士団長だという男に連れられて、王城の一室に通された。
部屋の中央には真っ黒の薄いプレートが設置されており、プレートの手前の台座には手形が彫り込まれている。
「これは『魔力量』を測定する魔導具だ。ギルドに設置されてる『ステータスプレート』みたいに魔力以外の能力値が表示されはしないが、戦争で重要なのは魔法だから、問題はないだろう」
騎士団長はそう言いながら、手形に合わせて手を置く。すると、プレートに「12000」の数字が浮かび上がった。
魔力とは魔法を使うのに必要な力のことだ。人間の魔力量は平均して2000ぐらいだと言うので、彼の魔力量は相当高いということになる。
まぁ、魔族の魔力量は最低でも五桁らしいのだが。
「じゃあ、まずはそっちの嬢ちゃんの方からやってみてくれ」
促されるまま、御堂が台座に手を置く。プレートに表れた数字は、驚くべきものだった。
『875000』
一般的な人間の四百倍以上の魔力量。
「こ、これが勇者……! これなら魔族にだって……!!」
騎士団長は興奮した様に呟くと、期待に満ちた目で俺を見る。
「さぁ、次は君の番だ!」
テンション上がりまくりの騎士団長に引きながらも、言われた通り台座に手を置く。
プレートに表れた数字は、御堂のそれよりも強いインパクトをもって俺たちを絶句させた。
『10』
まさかすぎる低スペックだった。
誤字・脱字などがありましたら、適当にご指摘ください。