出会いました
「そんなところで何してるんですか」
そのとき僕の後ろの方からよく響く綺麗な女の人の声がきこえた。
「ああ、凛ちゃん…と翔くんじゃないか」
この男性の知り合いらしい。僕は首をぐるっとひねると後ろを確認した。
そこには白いシャツに黒いベストを着て胸のあたりにブローチのように懐中時計をつけている女性と、髪の毛を白と黒のツートンカラーに染め上げた奇妙な柄のパーカーを羽織った青年が立っていた。
いかにも、青年は女性に首根っこを掴まれたまま引きづられる形になっていて、立っている、と言っていいのか分からないけど。
「お久しぶりです、京太郎さん」
女性は青年の首根っこを掴んだまま、ぺこりとお辞儀する。
書生のような格好の男性の名前は京太郎、と言うらしい。
「久しぶりだね、元気だったかい?」
知り合い同士特有の他愛もない会話が飛び交う。
それにしても女性の方はとても綺麗な人だ。
「ええ、まあ。京太郎さんそちらの方は?ここら辺で見ない顔ですが。」
唐突に自分に話を振られあたふたした。えっと、あの…とどもってるうちに京太郎さんが代わりに受け答えしてくれる。
「…この方は迷子だそうだ。そうだ、凛ちゃんが案内するというのはどうだろう」
名案だとでもいいたげに顔をぱぁっと明るくする。子供のような人だなと思った。対して、凛ちゃんと呼ばれた女性は顔を暗くする。
「わたしがですか??いや、でも…迷子なら探偵ではなく警察がいいんじゃないですか…?生憎わたしはこやつの子守りをしているので。」
と言いながら今の今まで黙って引きずっていたであろう奇妙な青年を目線で示した。この奇妙な青年な何故に黙って引きずられているのだろう。純粋な疑問である。
「また翔くんかい?凛ちゃんは大変だねぇ、そこまでしなくても大丈夫だろうに」
呆れ笑いのようなものを浮かべながら、京太郎さんも翔くんの方へ目を向ける。また、と言うことはいつも引きずられているのだろうか…?疑問が疑問がをよんでわけがわからない。
「起きろこのグズ」
女性はパッと青年の首根っこを話す。男性はうぐっといたそうなうめき声を出しながら地面に頭を打ち付けた。え、これ、大丈夫なのか?
「いっでぇ!!凛の起こし方いつもダイナミックすぎ!!」
気を失ったかと思ったが、ガバっと身体を起こすと服の汚れを払いながらゆっくりと起き上がった。
「あ、京太郎?久しぶりじゃん!!何してたのー、写真はどう?つか今どんな状況?そして、こいつだれ?」
こいつと言いながら俺を指差す、悪いことしてないのになんか責められてる気分だ。
「翔くん、一気に質問されても誰も答えられないから。」
続く→