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やる気ゼロ学生のLAST RUN  作者: 静寂の月光
7/9

part7――last lun1――

物語も終盤です

「本日の最終種目、学年別クラス対抗リレーに出る生徒は、今すぐ本部前に来てください。繰り返します……」


 校庭に放送が流れ、俺は四名のクラスメイトと共に席を後にする。

 リレーは五人一組で、一人二百メートル。

 しかも、代理というのに俺はアンカー。

 正直プレッシャーにつぶされそうだ……。


 本部前に着き、他に出る生徒を見渡す。

 少しでも情報を手に入れとかないと。

 運動ができない分、何とかして補わないといけない。

 俺の場合、身の周りにある情報だ。

 情報を頼りに、今までもこういう物事をどうにかしてきたんだ。

 今回だって。

 そう思い、周りを見渡すと、生徒会長の姿が見えた。

 リレーの生徒でも仕切るのか?

 と思ったが、その腕に生徒会の腕章はない。

 生徒会は、自分が出場する種目以外、腕に腕章をつけて生徒を誘導する。

 逆に言えば、生徒会も競技参加時は腕章をつけないということだ。

 そして今、会長は腕章をつけていない。

 会長は、足が速いことで有名で、陸上部部長でもある。

 この会長と爽太が、学年ツートップ、と言ったところだ。

 そんな相手もいる中でやるのかよ……。

 心の中でくじけながらも、他の生徒を見渡し、一息つく。

 他にも、何人か注意しないといけないレベルの生徒はいたが、会長ほどではない。

 あの人は別格だからな。


 自分の中で情報の処理が終わるころには、二年のリレーが始まろうとしていた。

 最初に走る生徒がトラックに入る。

 いよいよだ。

 朝の熱血教師の声が響き渡る。


「次二年! 全力で走れよ!」


 励ましの言葉を投げかけた直後、リレーは始まった。

 開始時点では、二組だけが、少しだけ遅れている感じだ。


「お、桐原! 珍しいな、お前がリレーに出るなんて」


 と、一人目が半分終わったあたりで会長に声をかけられた。

 にしても、誰にでも気さくに声かけるなー。

 なんかうらやましい……。

 ちなみに会長は遅れている二組だ。

 会長は俺の隣に座り、話を続ける。


「爽太の代理さ」


「爽太怪我したんだったな。大丈夫なのか?」


「ただの捻挫。そんなにひどくはないけど、やっぱ走るのは無理みたいだ」


 第一走者から第二走者へとバトンが移る。

 やはり会長の二組が、少し目立って遅れていた。

 俺のクラスは現在一位。

 このままいければ、ってとこである。


「なんか遅れてるけど、大丈夫なのか?」


「元から俺が抜かす作戦なんだ。俺としちゃ、よくやってくれてると思ってるぜ?」


 どこまですごいんだ。

 感心しながら今の話を聞いていた。

 クラスの足の速い代表が集まる中、アンカーがすっぱ抜きする作戦を立てるなんて、そうそうできるわけではない。

 それだけで、会長がどれだけ速いのかが窺える。

 正直、勝てる気なんてしない。

 

「そう言えば、桐原っていつ走るんだ? もう第三勝者だが」


「アンカー。なんか押し付けられたけど……会長がいるからだろこれ」


 現在、バトンは第三勝者。

 差はそんなに開いていない。

 どうやら、第二走者ではそこまで差は出なかったようだ。

 開いてくれないと俺やばいんだけど。

 しかしさっき気付いたが、なんで代理の俺がアンカーをやらされることになったのって、会長のせいかよ。

 代理なら、順番くらいいじれただろうに。

 あいつら、わかってて俺に押しつけやがったな。

 最悪だ……。


「いいじゃないか。俺は爽太の代わりがお前でラッキーだぜ?」


「どうせ、楽に抜かせるからだろ? ひどい話だ」


 苦笑いを浮かべながら、走者を見る。

 意外にも、俺のクラスが一位だ。

 どうやら俺のクラスは、俺が思ってるより運動ができるクラスらしい。

 最下位の二組との差は、大体三十メートル、と言ったところだ。

 そのまま、第四走者へとバトンが渡る。


「さて、俺たちもトラックに入るか」


 会長がそう言うころには、全組バトンを渡し終えていた。

 気合を入れながらトラックに入と、みんなそれぞれ、軽い体操等をやっている。


「最後に、俺のいいとこを星風に見せるかな」


 隣で会長が、ボソッとそんなことを言った。

 会長も星風狙いか。

 俺なんかに振り向くわけがない。

 ないとわかっているけど。


「会長、俺と勝負しよう。負けたら星風を諦める、でどう?」




次は早めに投稿します

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