part5――パン食い競争――
サブタイトル適当です(笑)
いうほどパン食い競争に触れません
自分の席に戻ると、数人の女子が星風と話していた。
どうやら不安がらないようにしていたらしい。
急に自分で渡すのが恥ずかしくなり、ちょうど競技から帰ってきた高藤に声をかける。
「悪い高藤、これ星風に渡しといてくれ」
「え? 自分で渡したらって、桐原君!?」
渡すように頼んでいると、星風がこちらに気付いた。
期待に満ちた顔でこちらを見ている。
無性に恥ずかしくなった俺は、高藤に無理やり押し付け、クラスの席を後にした。
クラスを離れて気付く。
時間はすでに十二時。
お昼である。
タオル事件で集中してて、時間を忘れていた。
幸いにも、午前は二百メートル走だけである。
競技をサボってはいない。
午後の競技は、初めにあるパン食い競争だ。
……食った後に運動する上に食べるのかよ。
ぐったりしながら教室に弁当をとりに行く。
教室で爽太と合流し、弁当を食べた後の、午後一時。
今はグラウンドのスタート地点に立っている。
そろそろ始まる時間なんだが。
みんなが不思議がりだした頃、放送が入った。
「えー今からパン食い競争が始まりますが、ここで参加生徒の皆さんに連絡です」
『なんだ?』、という声があちこちから聞こえてくる。
「このパン食い競争、一番タイムの悪い人は余ったパンの処理をしてもらいまーす。以上、皆さん頑張ってください!」
え?
グラウンドの参加者が絶句する中、観客の笑い声が会場を包む。
なんだそのルール。
聞いてないぞ!
「あっ、いい忘れていましたがパンはここ本部で、手伝いなしで食べてもらいまーす! 逃げられないのでご注意を!」
「「え゛、マジなの!?」」
参加生徒全員の声がグラウンドに響く。
その中で俺は一際大きな声を出した。
これ、俺にとってかなり不利だぞ!
心の中でそう叫ぶと、ゆっくりと後ろ歩きをする。
100%負ける勝負、しかも罰ゲームつきを俺がするわけがない。
さっさと逃げるに限る。
「マ~サ~? どこ行く気だ~?」
振り向き、走り出そうとした瞬間、爽太に肩をつかまれた。
ものすごい笑顔でこちらを見ている。
「ど、どこにも行かないよ? はは……」
「そうか。がんばれよー」
めちゃくちゃ怖かった……。
苦笑いを浮かべながら、答える。
爽太が怖いので、逃げるのをあきらめて真剣にやることにした。
何かいい方法がないか考えてみるが、特に浮かばない。
体力勝負に作戦無しはしんどいが……。
仕方ない、全力でぶっつけ本番か。
覚悟を決め、スタート地点から勢いよく飛び出す。
次回の更新は少し遅れると思います




