part1——やる気ゼロ——
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九月某日。夏のような日差しが容赦なく照らす。
本来なら、週末で遊び呆けている日曜日に、俺、桐浜 雅人は額に汗を流しながら校庭に立っていた。
今、校長が前で体育祭の注意について話している。
そう、校長が言っている通り今日は体育祭。
高校生にもなって、いまさら何を改まって注意する必要があるのだろうか? などと考え、暇をつぶす。
俺は今日、まったくと言っていいほど乗り気ではない。理由は簡単、運動が苦手なのだ。
そんな俺に比べ、周りのみんなはやる気に満ち溢れている。
それもそのはず。
体育祭と言えば、女子にいいかっこを見せるのに最適な場所。
好きな女子がいる奴はやる気が出ないわけがない。
さらに、今の我が校、橘榛高校にはマドンナ的存在がいる。
星風 七夏だ。
成績、ルックスともに完璧で、運動もできる。しかも、誰にも分け隔てなく話し、人を嫌うことがない。
さらには、男子全体の九割が入っている非公認のファンクラブまである。まさにマドンナ。ちなみに同じクラスである。
なかなかテンションの上がる状況だ。
あれから五分。
校長の話が終わり、生徒は、それぞれのクラスごとにトラック上半分を囲むように用意されている席——生徒の席と反対側に設置された本部から見て、左が一年、正面が二年、右には三年——に戻る。
その途中、『星風さんに、星風さんに俺のかっこいい姿を!』、『貴様なんぞには星風さんは振り向かんわ! 俺に振り向くんだ!』、『なにを言っている、この俺だ!』、などの口論があちこちから聞こえてきた。
俺も星風のことは嫌いではない。
むしろ好きだ。
だが、さっきも言った通り、俺は運動が苦手である。
運動部を含む、生徒のほとんどが本気を出しまくる中、活躍できるわけがない。
俺は早速、この『星風争奪戦』もどきから降りることにした。
体育祭にはふさわしい、すっきりした秋晴れの中、ため息をつきながら自分の席に着く。
「相変わらずやる気なさそうだな、マサ」
競技開始までの間、何をしようかと考えていると、隣の男子生徒、親友の松原 爽太が声をかけてきた。
誰にでも優しく、イケメン。
髪は茶髪で耳がぎりぎり隠れるくらい。
俺と違い、運動が得意な人間だ。そのため、自信とやる気に満ち溢れている。
俺も爽太みたいに運動ができたらな。
などと、ありもしない空想を思い描きながら、再びため息をついた。
「そっちはやる気すごいな。まさかの星風狙いか?」
「俺はちげーよ。運動できりゃいいんだって。」
「お前はそうだろな。確認するまでもなかったわ」
と、苦笑いを浮かべる。
爽太は、運動ができればいい人なのであんまり恋愛に興味がない。
そのおかげで、星風のことを想っている俺ばかりいじられているけど。
応援や罵声の声を聞きながら、普段通り爽太と話していると、第一種目の時間、九時十五分になった。
俺の出番は第三競技の二百メートル走なので、もう少し後になる。正直、めんどい。
そこからは、クラスの奴らを混ぜながら話を続ける。
雑音として、火薬の発砲音に似た音を何度も聞いていると、放送が入った。
「二百メートル走に出る生徒は、トラックのスタート地点に来てください。繰り返します……」
「お、マサの出番か」
「みたいだな。んじゃ、行ってくるわ」
放送がかかり、俺の出る種目、二百メートル走の呼び出しがかかる。クラスメイトに声をかけられながら、席を後にした。
次回の投稿は未定です。
もうすぐテストなので……




