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最強のVRMMOプレイヤーは、ウチの飼い猫でした ~ボクだけペットの言葉がわかる~  作者: 椎名 富比路
第二章 ここほれニャンニャン

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第13話 大家さん襲来

 ボクたちが驚いていると、ベルさんが口を抑えて話を続けた。

 

「ええ? だって、ある程度親グモにダメージを与えると、倒れてお腹から子グモをワラワラワラーって生むのよ。知らないの?」 


 ベルさんも、あのダンジョンを攻略済みだ。

 しかし、ボクたちとはボスの倒し方が違うみたい。


 話によると、毒液を避けつつ、背中の入れ墨を執拗に攻撃してやっと倒したという。

 だがその後、子グモたちがワラワラと襲ってきて大変だったらしい。


「なんとか、勝てたけどね。あたしもナインも一点集中型の攻撃パターンでしょ? 囲まれると弱いのよ」


 ベルさんはガンナーで、ペットのナインくんはニンジャだ。

 どちらも動きが素早いけど、範囲攻撃をあまり所持していない。


 たしかに、大多数の敵を相手にするのは大変そうだ。


「だから、狭い通路におびき寄せて少しずつ撃退したのよ。あれはもう、二度とやりたくないわね。範囲攻撃の手段を考えることにしたわ」

 

 そうか。まともに戦うとそういう攻略法なんだね。


「ケントたちは、違ったの?」


「すいません。ボクたち違うルートから、ボスの部屋に入っちゃったみたいで」


 ボクはビビのスキルについて、包み隠さず話す。

 ベルさんになら、知られても別に痛くない。ベルさんだって、ボクの知らない特殊なスキルを多数持っていたし。


「なるほど……裏道があるのね?」


「そうですそうです」


「いいわね、ケント! それ! 楽しそう!」


 ベルさんは、プラスに解釈してくれたみたい。


「でも、ラクして勝ったみたいで、申し訳ないと思っています」


「とんでもないわよ、ケントッ! 活用できるなら、ガンガンするべきよ!」


 ボクが卑屈になると、ベルさんが励ましてくれた。


 やはりトップランカーは、ゲームに対する姿勢が違う。

 

「やっつけ方が複数あるモンスターって、面白いギミックね。そうやって手に入れたアイテムも、特別感がありそう」


「ベルさんは、何を手に入れたんです?」


「これよ」


 ベルさんが手に入れたのは、【毒ポーション】だった。解毒効果はない。武器に毒を付与するものだ。


「すごいのよ。銃弾にも毒が回るの。しかも、永久になくならないのよ。効果は弱いんだけど」


「それはすごいっ」


 ずっと毒効果を、武器にもたらしてくれるとは。


 これ、ビビの武器よりすごいかも?

 でも、毒ダメージの威力までは追加されないから、いいのか。ビビの刀と違って、解毒効果もないし。


「でも、ケントたちのほうが、すごい報酬アイテムなのよ。クモの糸が、恒久的に採れるなんて」

 

 ちなみに、ベルさんが受け取った報酬は、装備ひとつにつき一度きりのアイテムらしい。


 そっちの差別化でもあるのか。


 ベルさんたちは攻撃主体、ボクたちは防御主体のアイテムを手に入れたと、考えたらいいんだね。


「じゃあ、ボクたちが手に入れたクモって……」


「ええ。あたしたちが子グモだと思っていた、クモかもね」


 ううううう、と、ベルさんがうなる。


「そっかー! そっちルートで行くと、ちゃんと永続アイテムが採れるのかー! 失敗したぁ……」


 残念がったベルさんが、ぶっ倒れた。


「リトライ、ってわけには?」


「再戦自体は、できるのよ。でも、アイテムのテーブルは決まっているの」


 一度ボス専用のアイテムを取ってしまうと、別の攻略法で戦ってもノーマルのアイテムしかドロップしないという。


 いわゆる、「取り返しのつかない要素」らしい。 


「でも、あきらめるのは早いわ!」


 ベルさんが、ガバッと起き上がった。 

 

「これから出てくるボスも、おそらくそういったパターンがあるのね。ペットの特性を活かして、ボスを攻略するなんて、イカしたゲームじゃない!」


「そうですね。ペットを連れているって感じがして、面白いです」


 お話をしていると、部屋のチャイムが。

 

「あ、すいません。誰か来たみたいなので」

 

「宅配かしら?」


 たしかに今は、ゲーム内でビビに買ってあげた荷物が届く頃だ。ちょっと遅い時間だけど。

 

「じゃあ、あたしは落ちるわね。ナインを寝かせるわ」


「ボクもアウトします。ではまた」


 さて、ビビを撫でて、出ますかね。


「ビビ、おやつ楽しみだねー」


 ボクは、ビビに呼びかける。


 だが、ビビは「にゃーん」と鳴くだけで、言葉を話さない。


 やはりペットと話せる現象は、ゲームの中だけなのか。


「はいー」


 ドアを開けると、モデルのように痩せた女性が、耐熱容器を持って立っていた。

 大家さんだ。ウチの真下に住んでいて、旦那さんと二人のお子さんがいる。


 またこの人は、ボクの通っていた高校の先輩でもあった。


 ペットと住める部屋探しの相談をしていたら、「うちに住みなよ」と声をかけてくれたのだ。


 おかげでボクは、ビビといっしょに過ごせている。


「こんばんはー。これ、今日の残りだよー」


 大家さんが、お家で余ったという肉じゃがをくれた。


 ボクと大家さんは、ネコの飼い主同士である。よくビビのおやつや、ごはんも分けて合っているのだ。

 

「ありがとうございます。でも、こんな時間に、どうしたんです?」


「実は、ゲームのセッティング方法がわからなくて」

 

 大家さんが手に持っているパッケージは、P(ペット)R(ラン)F(ファクトリー)だった。


(第二章 おしまい)

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