表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています  作者: Karamimi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/46

第39話:開花した力

 ワイアーム様が、その場に倒れ込んで動かない。


「ワイアーム様、なんて事を!」


 必死にワイアーム様の元に向かおうとするが、壁の様な物が邪魔をして、やはりワイアーム様の元に向かう事が出来ないのだ。


 “セーラ、もうあの男はいないよ。さあ、私の元に…”


「触らないで下さい。私はあなたを絶対に許さない!」


 キース様を泣きながら睨みつけた。


 “セーラ、そんな顔をしないでくれ。あぁ…君はやっぱり、ネリーヌの血を色濃く受け継ぎすぎているのだね…あの子もそうだった。とにかくあの男は、今すぐ地上に返そう”


 キース様が何やらワイアーム様に向けて、光を放とうとしている。


「お止めください。もうこれ以上、ワイアーム様を傷つけさせませんわ。ワイアーム様、今あなた様の元に向かいます」


 こんな壁に、邪魔されてたまるものですか!


 なぜだろう、体中から力がみなぎる。もしかしてこの力が、私の持つ力なのかしら。この力を使えば、壁を壊せそうな気がする。


 一気に力をこめ、目いっぱい壁を押した。すると…


 パリンと何かが割れる音が聞こえたと思うと、壁が無くなったのだ。


「ワイアーム様、ごめんなさい。私のせいで!」


 急いでワイアーム様の元に駆け寄り、彼の頭を自分の膝に乗せた。口からはかなりの血を流している。それでもワイアーム様は、温かい。


 すると


「セ…ラ」


 赤い瞳と目が合ったのだ。


「ワイアーム様、よかった。生きていらしたのですね。一緒に地上に戻りましょう」


 ギュッとワイアーム様を抱きしめた。


 “まだ生きていたのか!どれほどしぶとい男なんだ。今度こそ息の根を止めてやる!セーラは私のものだ!”


 そうはさせないわ。でも、一体どうすればいいのかしら?このままでは本当にワイアーム様が死んでしまう!


 その時だった。


 “ネリーヌは治癒力に優れた力を持っていたのだよ”


 “セーラ様の歌には、治癒の力がおありなのでしょうか?セーラ様がお歌いになったら、殿下の容態が劇的によくなりました”


 お兄様と執事の言葉が、脳裏に浮かんだ。


 もしかして…


 ワイアーム様をギュッと抱きしめ、そして歌を歌った。


 “止めなさい、セーラ。そんな男の為に、君の大切な力を使ってはダメだ。それにそんな事をしても無駄だよ。たとえ地上に戻れても、君はもう、幸せにはなれない!”


 キース様が必死に叫んでいる。やはり私は歌を歌う事で、力を発揮するのね。正直私の力がどんな物なのか分からない。でも…


 お願い、私の中に眠る力よ。どうかワイアーム様を助けて。そして、私たちを地上に戻して。


 “セーラ、止めるんだ。セーラ!”


 止めろと言われて止める訳がない。ただ、なぜだろう。歌を歌うと体から生気を吸い取られる様な感覚が…体から力が抜ける。そうか、私はもう…


 それでも私は、ワイアーム様を助けたい。彼は何度も私を命がけで守ろうとしてくれた。だから今度は、私の番。


 さらに大きな声で歌を歌い続ける。


 その時だった。私の体を大きな光が包み込み、そのまま意識を飛ばしたのだった。



 ※次回、ワイアーム視点です。

 よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ