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全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています  作者: Karamimi


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第27話:王宮で話し合いが行われました

「セーラ、殿下は急用を思い出したみたいだよ。さあ、行こう」


 急用?そんな風には見えなかったわ。一体どうしたというのかしら?ワイアーム殿下を気にしながらも、お兄様に連れられ会議室へとやって来た。そこには陛下と王妃殿下がいた。でも、ワイアーム殿下の姿はない。


「セーラ嬢、マレディア侯爵、よく来てくれたね。それからセーラ嬢、君には随分と辛い思いをさせてしまって、すまなかった。婚約を白紙に戻した件も、そうしないとクレイジー公爵を油断させることが出来なかったのだよ」


「セーラちゃん、あなたは全てに絶望し、自ら身を投げた事は知っているわ。でも、どうかもう一度ワイアームの婚約者になってもらえないかしら?あの子にはあなたが必要なの」


 殿下には私が必要?そんなはずはないわ。だって殿下は…


「陛下、王妃殿下、お久しぶりです。どうかもう謝らないで下さい。私は今、こうして生きておりますので。それから、殿下と再び婚約を結び直す件ですが…あの、本当に殿下はその事を望んでいるのでしょうか?もし私に対する罪悪感からなら…その…」


 無理はしないで欲しい、そう言いたいが、さすがに陛下や王妃殿下にはっきりとは告げにくい。


「ワイアームはセーラちゃんに対する罪悪感から、再びあなたと婚約を結び直したいと考えた訳ではないのよ。あの子はずっとあなたの事を、愛しているわ。だから今回だって…いいえ、何でもないわ」


「セーラ、陛下や王妃殿下、もちろんワイアーム殿下も、セーラが再び殿下の婚約者に戻る事を望んでいる。そもそも、セーラが知らないところで婚約を白紙に戻すこと自体違法だ。だからどうか、セーラも分かって欲しい」


 マレディア侯爵家の当主でもあるお兄様が、私にワイアーム殿下との婚約を結び直せと言っているのだ。侯爵令嬢でもある私に、拒否権はない。でも…何だか胸の奥がモヤモヤするのだ。


 そもそもどうして、ワイアーム殿下はいらしていないの?こんな大事な時に。その時だった。


「遅くなって申し訳ございません。少し取り込んでおりまして。セーラ、今日はわざわざ王宮に来てくれてありがとう。既に話は聞いているかと思うが、僕はもう一度君と婚約を結び直したいと考えている。君を傷つけた分、一生をかけて償いたいんだ。どうか僕の気持ちを、受け入れて欲しい」


 そう言って頭を下げたワイアーム殿下。償いをさせて欲しいか…


「陛下、王妃殿下、ワイアーム殿下、我が儘を承知で申し上げます。正直今、頭が混乱しております。どうか少しだけ、お時間を頂けますか?それからワイアーム殿下、もし私への罪悪感から再び婚約を結び直そうと考えているのでしたら、どうか私の事は気になさらないで下さい。むしろ殿下には、感謝しているのです。父の無念を晴らし、私の名誉を回復させてくださってありがとうございました」


 立ち上がり、殿下に頭を下げた。


「セーラ…僕は…すまない、ちょっと失礼するよ」


 再び部屋から出て行ったワイアーム殿下。


「国王陛下、王妃殿下、セーラとはもう一度よく話し合います。それにセーラもまだ頭が混乱している様でして。どうか少しだけ、お時間を頂けないでしょうか?」


「ああ、分かったよ。セーラ嬢、無理を言ってすまなかったな。また気持ちが固まったら、教えて欲しい」


「セーラちゃん、どうか…どうかワイアームの事を見捨てないであげて。あの子はあなたがいないと、本当に生きていけないの。だから、お願いします」


 王妃殿下が今にも泣きそうな顔で、私に頭を下げたのだ。


「止めなさい!セーラ嬢、妻の言う事は気にしないでくれ。マレディア侯爵、セーラ嬢、今日はもう帰っていいよ」


「はい、それでは失礼します」


 お兄様と一緒に部屋から出た。


「さあ、セーラ、帰ろう。陛下も王妃殿下もお時間をくれるとおっしゃっていたし。ただ、君は侯爵令嬢だ。その事はしっかりわきまえておいてくれ」


「ええ、分かっておりますわ」


 王妃殿下、どうしてあんな事を言ったのかしら?いつも冷静で感情をあまり出さない王妃殿下が、泣きそうな顔であんな事を言うだなんて…それに殿下は、どうしてすぐに出て行ってしまうのかしら?


 そういえばアレリス侯爵様が“自らのお命を削って”と言っていたわ。もしかして殿下は…


「セーラ、一体どうしたというのだ」


 殿下はずっと顔色が悪かった。もしかして、殿下は体調が悪いのでは…それに皆、何かを隠している気がする。その事が気になって仕方がないのだ。


 急いで殿下の部屋へと向かう。すると…


「殿下、また吐血したのですか?さすがに殿下のお体が心配です」


「僕は大丈夫だよ…それよりも、せっかくセーラが来てくれているのだ…せめて彼女の前では…弱った姿は…ゴホゴホゴホ」


「また吐血を。このままでは殿下の体がもたない。今すぐ安定剤を…」


「安定剤はいらない…あれを使うと…意識が飛ぶ…せっかくセーラが来てくれているのに…とにかく、吐血を抑える薬を。せめてセーラが帰るところを、見送りたい…」


「いいえ、いけません。すぐに安定剤を」


 すぐにお医者様が殿下に何かを注射した。すると、その場に倒れ込んだ殿下を、ベッドに寝かせる使用人たち。


 一体何が起こっているの?ワイアーム殿下の体は大丈夫なの?

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