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第1話:全てが嫌になりました

 雲一つない真っ青な空、太陽の光を浴びキラキラと輝く美しい青い海。


 “お父様は海と空が大好きでね。セーラの髪と瞳はお父様の大好きな色だ”


 幼い頃、いつも私の髪を撫でてくれたお父様。優しくて強くて、大好きだったお父様は、2ヶ月前事故で急死した。


 “セーラ、あなたは私とあの人の宝ものよ。私の可愛いセーラ”


 優しくていつも私を愛してくれたお母様。お父様を亡くしたショックで、見る見る衰弱し、今はベッドから起き上がる事も出来ない。私やお兄様を認識する事も出来ない。


 両親がこんな状況の中、17歳という若さで、急遽マレディア侯爵家を継いだお兄様。なれない仕事を必死にこなしている。そんなお兄様に寄り添い支えてくれているのは、1ヶ月前に結婚したばかりのアレリス侯爵家の令嬢、アマリリスお義姉様だ。


 アマリリス義姉様はお父様が亡くなり混乱するマレディア侯爵家を支えるため、急遽入籍する事を決意してくれた優しい女性。混乱の中急遽結婚したため、結婚式もまだ出来ていない。そんなアマリリスお義姉様とアレイス侯爵の協力の元、お兄様は侯爵家を必死で守ってくれている。


 でも…


 “聞きましたか?セーラ様が公爵令嬢のレイリス様を暗殺しようとしたという噂”


 “ええ、聞きましたわ。ワイアーム殿下が、美しいレイリス様にご好意を持ってしまわれた事で、婚約者のセーラ様が激しい嫉妬をされているそうですわね”


 “元々セーラ様とワイアーム殿下の婚約も、当時権力者だったマレディア侯爵の強い要望で結ばれたと聞きましたわ。セーラ様は相当我が儘で、ワイアーム殿下も手を焼いていたと…”


 “そんなマレディア侯爵は事故で亡くなりましたし、跡を継いだ令息はまだ17歳。今は侯爵家を維持していいくだけで精一杯でしょう。大きな後ろ盾を無くしたセーラ様は、近々殿下から婚約解消を申し出られるのでは?”


 “婚約解消だけならまだいい方ですわ。セーラ様には公爵令嬢のレイリス様に行った数々の嫌がらせを理由に、裁判に掛けられると聞きましたわ。最悪、極刑なんて事も十分考えられますわね。殿下も相当お怒りな様ですわ。愛するレイリス様を、傷つけられたのですから”


 “それにしてもセーラ様は、何を考えていらっしゃるのでしょうね。お父様が亡くなり、今お兄様が必死に侯爵家を守っていらっしゃるというのに。お兄様の手助けを行うどころか、足を引っ張るだなんて”


 “どのみち、マレディア侯爵家もお終いですわ。セーラ様のせいで”


 “まあ、そんなにはっきりと申し上げなくても。さあ、私たちも次期王妃殿下になられるレイリス様の元に向かいましょう”


 “そうですわね、レイリス様と仲良くならないと”


 8歳の時、この国の王太子殿下でもある、ワイアーム様と婚約を結んだのだ。ワイアーム殿下とは良好な関係を築けていたと思っていた。もちろん、王妃教育も必死にこなしてきた。


 でも、半年前に王都に戻ってきたレイリス様が現れてから、全てが狂い始めた。お家騒動で長年もめていたクレイジー公爵家の令嬢、レイリス様。お家騒動が落ち着くまで、4歳から15歳まで他国に避難していたらしい。


 やっと落ち着いたことで、レイリス様が戻っていらしたのだ。とても美しいレイリス様に、すっかり夢中になったワイアーム様は、事あるごとにレイリス様と一緒にいらっしゃる様になった。


 美しくて爵位が私より高いレイリス様に、もちろん私が何か言える訳がない。ワイアーム様の事は愛していたが、彼がレイリス様を選ぶのなら、その時は身を引こう、そう思っていたのだ。


 でも、なぜか事実無根の噂が流れだした。元々王妃教育ばかりで仲の良い令嬢がいなかった私は、どんどん孤立して行ったのだ。


「大好きなお父様はもういない…お母様も私を認識する事も出来ない。婚約者からは嫌われ、私を無実の罪で裁こうとしている。私がいる事で、お兄様やアマリリスお義姉様、さらには我が家に協力してくれているアレリス侯爵にもご迷惑がかかる。私さえ…いなければ…」


 子供の頃から大好きだった海。


 でも殿下と婚約を結んでからは、なぜか海に行く事を禁止されていたな…でも、もう関係ないか…


 なぜか私は、子供の頃から海に来るとある歌を歌いたくなるのだ。物心ついた時から知っていた歌。


 気が付くとあの歌を口ずさんでいた。


 足元は崖。真下は海。


 ゆっくりと体を前に倒した。


 “さようなら、皆様。お父様、今あなたの元に向かいます”


 体がゆっくりと落ちていく。何なのだろう、この感じは…


 その時だった。


「行くな!セーラ!」


 なぜかワイアーム様の声が聞こえたが、きっと気のせいだろう。さようなら、ワイアーム様。どうかお幸せに

新連載始めました。

よろしくお願いします。

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