7.
そんな風に婚約破棄とざまぁを繰り返しているうちに年を重ね、私の人生は終わりを迎えた。
一応早死にではないくらいは生きられたし、結婚関連以外の面では平均値より恵まれた人生だったと思う。
……愛だけは手に入れられないままだったけれど。
大変なこと、辛いこと、たくさんあったがそんなのは誰だってそうだろう。だから私だけに降りかかった災難だとは思わない。生きていれば時に苦痛も感じるもの、それが人生というものなのだから。
◆
そして私は生まれ変わった。
そこそこ良い家の長女として生まれた。
「フォリアナは可愛いなぁ! 本当に、女神のようだなぁ!」
父は私のことを大層可愛がっていた。
……少々過剰だと感じるほどに。
ただ、それは、時に面倒臭いと感じることはあっても悪いことではない。
親から愛されながらのびのび育てる、それはとても幸せなことである。
しかし例の無限ループはまだ終わりではなかった。
◆
「悪いねフォリアナ、君との婚約だが破棄することにしたよ」
十代前半に将来結婚するという話でまとまっていた婚約者の彼と結ばれる予定だったのだが、ある日突然その時がやって来てしまった。
「え……」
「ぼくはもっと偉大な女性と生きたいんだ」
「……そう、ですか」
「理解したくないかもしれないけれど、理解してほしいんだ。君がぼくにできることはそれだけだよ」
仲が悪かったわけではないのに、突然告げられてしまった婚約破棄。
でももう以前のようには苦しまない。
こういうことは前世で何度も何度も経験したから。
ちなみに彼はというと、やはりまた、婚約破棄を告げてきた日の翌日この世を去った。
彼は一人での散歩中に山賊に襲われ、拘束され、山奥にまで連れ去られたそう。で、身に付けていた金になりそうなものをすべて剥ぎ取られた状態で屋外に放置されたらしくて。衣服もほぼまとっていない状態であったために、身体が冷えすぎてしまい、朝が来る前に凍死してしまったのだそうだ。