61.
ロリーテオの死後、独り身になってしまった私のことを心配した親戚の女性が洋服屋を営む青年リリーガオスを紹介してくれた。
「ええと……リリジーナさんでしたっけ」
「はい」
「どうぞよろしく」
「リリーガオスさん、本日はよろしくお願いいたします」
見た感じ不快感はないリリーガオスだったが。
「それはそうですよ! なんせ、あれは二番目が正しいのですから! おや? もしかして、一番目と思ってました? はっはぁ! それはお馬鹿ですねお嬢さん! 二番目が正義、二番目こそが正しい! それは間違いないことですよ、それが分からない理解できない人がいるのだとしたらその人は蚊以下の知能ですね! はっはっははぁ!」
性格はクズだった。
なので。
「今日はありがとう。話聞いてもらえて楽しかったよ。リリジーナさん、よければまた……」
「いえ、もう二度と会いません」
「え!?」
「申し訳ありませんが、これきりです。……さようなら」
はっきりと次はないと告げた。
するとリリーガオスがごちゃごちゃと愚痴に似たような私を貶める言葉を発し始める。それはもう、とにかく酷い、心ない内容が並んでいて。どうしてそんなことを平気で言えるのだろう、とシンプルに思うくらいの言葉を、無数に並べられ吐かれてしまった。
結局リリーガオスと私は婚約しなかったのだが、彼は後に怪しい女性に引っ掛かり詐欺事件に巻き込まれてしまい痛い目に遭ったようだった。




