表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄とざまぁを繰り返すことに意味なんてあるのでしょうか? そうすることで幸せを掴める、と、神は言っていましたが……。  作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/68

59-1.

 私、アイニーティアは、当分男性と関わらないようにしようと考えた。で、その思考に従って行動していたのだが、それでもなお悲しき運命からは逃れられず。またしても私と婚約したいと話す男が現れた。


「ロックさんはお優しいですね」

「そうですかね? 特に……自覚はないですが。そんなものかと」

「ですが、これまで私の前に現れた男性は皆、私に対して心ないことを言ったりしたりしました」


 彼ロックは良き人だった。


 魔法使いだったけれど。

 でもその能力に驕るような人物ではなかった。


「アイニーティアさん、今度、良かったらなのですが……」

「何でしょう?」

「海、見に行きませんか」


 だから私の心も少し動き始めていた。


 そんなこと、あるわけがない。誰かを愛せるなんて、誰かに愛されるなんて、そんな普通の幸せを手に入れるなんて……そんなこと、できるわけがないのだ。実際、私はずっと失敗してきた。まともに愛されることはなく、酷い仕打ちも多々、そんな人生だった。そんな私が幸せを掴む……? あるわけがない、そんなことは。大切にされる? 愛してもらえる? ……そんなのはくだらない夢、幻想だ。もちろん結婚なんてできるわけがない。そんな世界がひっくり返るようなことが起こるはずがない。なんせこれまで数えきれないくらい失敗を重ねてきたのだから。絶望ばかりの人生だった。何度生まれ変わっても。そんな私が幸せを求めるなんて期待するなんて……愚かなこと。


 でも。


「海、ですか」

「嫌でしたか?」

「いえ……」

「では」

「行きたいです、海」


 私は期待してしまった。

 彼と共に道を歩むという未来を。


「良かった……!」


 安心したように笑うロックを見ていたら、一緒にいたい、と思えてきて。


「では日を決めましょうか」

「あ、はい。そうですね。ロックさんはいつが良いですか?」

「ええと、そうですね……」


 馬鹿なことと思いながらも、幸福への道という幻同然のものに期待してしまう。


「……はい、そうですね、はい、ではその日で」

「決まりですね!」

「とても楽しみです」

「そ、そんな、照れます」

「ロックさんとお出掛け、楽しみです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ