56.
私はもう、婚約はしない。
そう宣言した夏の日。
なのに運命は婚約と婚約破棄のループから逃れさせてくれない。
「オレ、ゴロゴーナス。五男だ。よろしくな」
チョーゼットやジレットらの弟であり五男であるゴロゴーナスが私の前に現れた。
「オレとハッピーエンジェルなあの国へ行こうぜ」
「すみません、意味が分かりません」
「またまたぁ冷たいレデーだなぁ」
「……すみませんが、私はこれで失礼します。急いでいますし、これから色々用がありますので」
もう彼らには騙されない。いや、騙されるうんぬん以前に、関わらない。ややこしい兄弟たちにはもう散々迷惑をかけられてきた、だからこそ、もう少しであっても接触したくはないのだ。
だからこそ敢えて冷たい態度をとった。
……だが。
「何だよテメー! 兄さんらとはいちゃついて散々婚約とかしてたくせによ! オレの時だけ拒否すんのかよー! アックッマ! アックッマ! アックマアックマアックマアックマアックマなレデーだなクソがー!」
激怒され、ボロクソに言われてしまい。
しかも後日刺客を送り込まれてしまった。
……幸い、街の警備隊基地の付近でのことだったので警備隊員に助けてもらい生き延びたのだけれど。
その後ゴロゴーナスは殺人未遂で逮捕された。
彼は牢屋送りとなったのであった。




